半袖が、じっとりとこちらをみている。なのに、街は着々とメリークリスマス。 気温では季節のうつろいが感じられなくなってきたものの、自分の心理状況の変化ではそれを感じるようになってきた。 誤変換多発、と書いて、冬がはじまるよ、とよむ。 冬、と書いて、繁忙期、とよむ。 そして、これはもうほぼ核心にちかい確信なのだが、その誤変換には深層心理があらわれがちである。 自分が打った社内メールの文面をみて、目をうたがう。 年末年始は長期で配送がとまるから、計画的な発注を、と伝えた
自然治癒力頼みにしていた鼻づまりがちっとも治らず、モンテルカスト錠、という薬を処方された。 寄る年波には勝てない。 モンテクリスト伯みたいな名前だな、と思って検索したら、同じことを思っている仲間がけっこういた。 自然治癒力に裏切られたから、モンテクリスト伯よろしく、復讐してやろう。 自分自身に。 ベイスターズ26年ぶりの優勝の熱気で、飛行石のように青く光り、3㎜くらい浮いている横浜へ向かう。 《HB style KIYOKEN》は、グルテンフリーの米粉スイーツ専門
長期休暇にはいる方から、かわいらしいものをいただいた。 サイズ感や袋の風合いから、オーガニックせっけん?と思うやいなや、ちがうとわかった。 袋には《OKASHIYA Karhu》と書かれている。まぎれもなくお菓子だ。 業態はとてもわかりやすいのに、そのあとの店名とおぼしき筆記体が、たやすく読めない。 おかしや、のそのあと、何語? karhu(カルフ)は、フィンランド語で「クマ」を意味するという。 巾着に描かれたクマは、この店のマスコットキャラクター「アイシングマ」
とてもひさしぶりに、横浜ベイサイドアウトレットに行った。 正確には、ついて行った。 ふだんなら「んー、わたしはいいや」と言うところを、なんとなく。 海を臨むこのアウトレットは、ルールを守ればペット同伴可である。 大人や小さい人がウキウキと服や靴を選ぶあいだ、「衣」にさほど関心がないわたしは、 ・コーギーのふわふわのおしり ・ミニチュアダックスの短い足 ・トイプーのぷるぷる震えるしっぽ ・サモエドのふさふさの白い毛 を愛でていた。 アウトレットどころか、もふもふの
新入社員のころ、味覚官能検査で苦味が判別できなかった。 品質保証部長に「そういうひとはねェ、毒を食べてしぬよォ」と笑顔で言われた場面は、たぶん走馬灯にでてくる。 こどもの頃、うっかり錠剤をかみ砕いてしまい、それより苦いものなんて今のところないから、仕方ない。 ――味オンチじゃない。 味噌汁にだしを入れ忘れたかどうかはすぐにわかる。絶対にわかる。 どんなに味噌を入れたって、だしを入れ忘れた味噌汁は、なんだか平面的な味。 人生の最後に食べたいものは味噌汁。 欲を言えば
思うところあり、社会人になってまもないころの自分の日記(手書き)を引っ張り出した。 マシンガンのようにうちつけられた文字が綴るのは、仕事、仕事、仕事、信念、たまに文句。 今はどうか。 このnoteにはずむ指が打ちつけるのは、菓子、菓子、菓子、歌詞、たまに瑕疵。 先日、とある若い方がわたしの記事を引用して と書いてくださった。 恐縮しながら読んでいたら、そのあとに と続いていて、いかにも、と思った。 時を経て、菓子を食べる余裕も、味わう余裕も、それを楽しげに書き
新札が発行されてしばらく経つが、手元にあるのはまだ旧札ばかり。 ほぼキャッシュレス決済なので、ぜんぜん循環しない。 ところで、先日訪れた仙台の和菓子屋《まめいち》は、毎月テーマに合わせた創作和菓子を出しているという。 9月のテーマは「新札発行」。 季節だけでなく、世相も感じられる和菓子、あたらしい。 新札そのものより先に、新札モチーフの和菓子を手に入れた。 1000円(モチーフ)の和菓子と、10000円(モチーフ)の和菓子を購入。 実際のお値段は、一般的な和菓子+α
旅の行程は、天候や体調などの不確実要素に対応できるよう、ざっくり3パターンくらい考える。 でも、はやぶさとこまちが走行中に手を離してしまうなんて、想定外。 その日、17時半までには仙台へたどり着かねばならなかった。 なんで…よりによって…。 はねた髪のまま飛び出して、誰よりも速く駆け抜け、とりあえず東京駅へ。 結果、運転再開一番列車のやまびこに飛び乗って、ふつうに間に合う。 大事故にならなくてよかったし、復旧がおもいのほか早くて驚いた。 ライブハウス2階の指定席
いつかまた逢いましょう、と思ってはいたものの、そのいつか、がこんなに早く訪れるとは。 商品コンセプトが「サウダージ」の歌詞を連想させる、あんバタースコーンサンドのお店。 和歌山のスナックからはじまり、各地での催事を経て、ついに東京駅のグランスタに常設店が。 最初から、こうなることが決まっていたみたいに。 泣いたり、笑ったり。 実店舗は、ミスチルの「しるし」の歌詞を彷彿とさせた。 オープン翌日の朝、出社前に立ち寄る。 大行列だったらまたの機会にしよう、通勤で必ず通
どうやら、わたしより先に杜の都を気ままに旅して廻ったひとがいるらしい。 先週のちんすこうに続き、出社したらデスクに銘菓が。 燦然とかがやく、菓匠三全 萩の月。 奇しくも、中秋の名月が目前である。 小さい秋見失った状態だが、おみやげが着々と季節をすすめてくれる。 すこし離れたところで、諸先輩方が 「萩の月ィ~!だいすきィ~!」「冷やして食べよう」「名前書いておかないと!食べられちゃう!」 と沸いていた。 手にした瞬間から守り抜きたい、手のひらの月。 (ほぼ)みんな
会社のデスクに置かれていたこれを見て、「ああ、無事に帰ってきたんだな」と思った。 同僚が、休暇で沖縄へ旅立った。 その直後、迷子の台風が天気を翻弄したため、無事に東京へ帰ってこられるかどうかみんな気にかけていた。 彼女は営業職なのであまり顔を合わせることがなく、デスク上のちんすこうで無事に帰ってきたことを確認。 あとで聞いた話だと、延泊はしたものの現地はずっと晴れており、なんだか悪いことをしている気持ちになっていたとか。 永年勤続の休暇なのだから、堂々と帰ってきたら
早いもので、もう9月。 遅い夏休みが近づいている。 今年は所用もあり、仙台に行く予定だ。 いろいろ名所を調べているが、Google Maps上で保存しているのは仙台のフルーツパーラー、洋菓子店、和菓子屋ばかり。 旅の醍醐味、風景より味覚。 そういえば、一般的な夏休みの終わりとともに、これはもう一回食べたいと思っていた季節限定プリンも去ってしまった。 その日は蒸し暑かったので、MARLOWEで《湘南ゴールドのジュレ》を買うぞ、と息巻いていた。 湘南ゴールドは、温州み
百貨店の、銘菓百選や諸国銘菓が好きだ。 全国の選りすぐりのお菓子が集まっていて楽しいので、用もなく立ち寄りがち。 なにかいいものあるかな、とうろうろしていると、一角に各地から集めた琥珀糖のコーナーが。 青や白などの涼しげな色合いや、パステルカラーのかわいらしい色合いに混ざって、それは文字どおり異彩を放っていた。 本来の意味とはちがうが、紅一点。 柘榴琥珀。 〇〇のしずく、とか、〇〇のかけら、とか、キラキラネームを授けられがちな昨今の琥珀糖界隈において、直球のネーミ
AIで写真を動かす、という技術を最近よく目にする。 すごい技術なのだけれど、しばらくすると人物の顔や服装が溶けるように変わったり、背景や登場人物がグラデーションのようにすり替わったりする。 情報がない部分は、AIが想像で創り出すからいたしかたない。 あの奇妙さ、夢の中に似ているなと思う。 昨夜の夢は、TT兄弟、もとい、チョコプラのふたりが街ぶらロケしているところに出くわす、というものだった。 ところが、ふたりはいつの間にか知らないおじさんにすり替わっていて、街もちが
一度行ってみたいと思っていた場所に、ふと思い立って行ってきた。 竹林が有名な、鎌倉の寺である。 地元なのに、行ったことがない。 なぜか竹に惹かれる。 通っていた幼稚園の裏が竹林だったから、原風景になっているのだろうか。 はたまた、「竹は根を張ってて倒れにくいから、地震が来たらつかまるのよ!」と親に言われて育ったせいで、竹に絶大な信頼があるのだろうか。 地震の時は竹薮に逃げろという言いまわしまであるくらいだから。 鎌倉といっても、報国寺は鎌倉駅からバスで約12分。歩
中学生のとき、夏休みに「美術館か博物館へ行き、レポートにまとめる」という宿題が出た。 親に連れられ、自宅からいちばん近い横浜美術館へ。 ブロンズの彫刻がたくさん並んでいて、館内はひんやり涼しく、ひかえめな照明が心地よかったのを覚えている。 時は流れ、今度はわたしがその宿題の引率をすることになった。 姪(以下N)が通う中学でも、同じ宿題が出たからだ。 よく美術館に行ってるから、という理由でわたしに役目が回ってきたらしい。 うれしいご指名。 Nは幼少期からイラストが