今日がイースターだと
目下、ホワイトデーの贈り物の消費にいそしむ日々。
菓子メーカー勤務ゆえ、社内でのやり取りはもはや業務で、差し上げた分はきっちり返ってくるのだ。
今日はどれを開けようか、と贅沢に悩みながら、ふと、今日(3月31日)がイースターだと思い出す。
イースターは、キリストの復活を祝う移動祝祭日。毎年日にちが変わるので、気に留めている人のほうが少ないだろう。
春分の日の後の最初の満月の次の日曜日、がその日にあたる。
父の妹の旦那さんの弟のいとこの娘のご子息、くらい関係性が入ってこない。
「かんのわのなのこくおう」にも、いま流行りの「ブリンバンバンボン」にも引けを取らぬ、制覇したい語感。
ワードだったら、きっと下線だらけになる。
イースターといえば、シンボルはカラフルなイースターエッグと、かわいらしいイースターバニー。
まだ賞味期限は先だけれど、せっかくなので今日はこれを開封することにした。
かわいいにも程がある、うさぎ型の缶。
イタリアの老舗チョコレートメーカー、《ヴェンキ》のスプリングコレクションだそうだ。
スマホサイズながら、お値段は季節のごあいさつレベルなので、自分ではなかなか手が出せない。
これは、いただけてとてもうれしい。
水彩画のような筆跡がたゆたう、ドラえもんブルーがあざやか。
ふちどりの花々が、なんとも春らしい。
缶の身はドラミちゃんイエローで、コントラストがくっきり。
この缶はスチールよ、分別してね的なことが側面にイタリア語で書いてある。
袋から出しただけで、ナッツとチョコレートの香ばしく甘い香りが嗅覚を刺激した。
キャンディのような両ひねり包装のチョコレートは、キラキラの緑と紫。
こちらもスミレのようで、春らしい色合い。
紫はキャラメル&ヘーゼルナッツ、緑はピスタチオ、四角いのはクレミノだった。
クレミノだった、とさも知ったように書いたが、はじめまして。ピアチェーレ。
菓子周りの仕事をしていても、まだまだ知らないことがたくさんある。
ミニチュアティラミスのような見た目。
クレミノはピエモンテ州発祥で、ナッツのペーストを使った3層が特徴のチョコレートだそうだ。
自社でも似たような単位製品をつくっているが、そのまんまジャンデュイヤと呼んでいる。
クレミノという名があったのか。こっちのほうが短くて発音しやすいじゃないか。
どれも、ナッツの香ばしさが陽気にはじけたあと、ねっとり濃厚に溶けていく。
とくに、ピスタチオチョコレートは国内のそれよりも濃厚に感じたし、ホールのピスタチオがころんと入っていて大満足である。
さすが、グリーンピスタチオの本場。
裏面表示シールは、缶ではなく袋に貼られている。缶をきれいな状態でとっておけるのがうれしい。
というか、3種類しか入っていないのに、カタカナと横棒が多すぎて原材料表示がぎっちぎちだ。
1行のなかにピスタチオが3回もスクラッチされているところがあるし、「クリーピーナッツ」がコンタミしていても気づかないかもしれない。
そもそもコンタミネーション自体、「卵・落花生・オレンジ・カシューナッツ・くるみ・ゼラチン・りんご」と、イースターの定義より長い。
でも、必要な表記である。
現時点で、表示義務のある特定原材料は8品目。
表示が推奨されている特定原材料に準ずるものは20品目。
つい数日前、消費者庁から「特定原材料に準ずるものにマカデミアナッツを追加、マツタケを削除」という発表があった。
ナッツアレルギーの方は、年々増えている。
ここ数年で、アーモンドが特定原材料に準ずるものへ加わった。
くるみは症例が多いということで、特定原材料に変わった。
そのうち、もはや菓子にかかせない存在になったピスタチオも入るかもしれない。
いっぽう、アレルギー発症事例がきわめて少ないということで、マツタケは外れた。
マツタケ、口にする機会自体が少ない。わたしはエリンギがすきだ。
メーカー勤務たるもの、特定原材料28品目はしっかり記憶しておかねばならないのだが、改正の頻度が高くて見失いがちだ。
血糖値は年々上がっていても、記憶力は年々落ちている。
ところでCreepy Nutsの「Bling-Bang-Bang-Born」は、ラップ部分を必死に覚えようとしているこどもたちが多いらしい。
だから、Creepy Nutsには九九や県庁所在地のラップもつくってほしい、という親世代のポストをみかけた。
特定原材料でもつくってもらえないだろうか。
いや、舌が回らないし、世代的にアンキパンのほうがいいか。