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夜雨の名画座

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鑑賞した映画の記録。旧作多め。
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#映画

夜雨の名画座一覧

ご紹介をした映画の一覧を作ってみた。 公開年代(たぶん)順。映画史的なところから何かが見えてくると面白いかな。 2025/02/15 現在 57本 1951/昭和26年 ◯ 巴里のアメリカ人 … 🎬️ヴィンセント・ミネリ 1952/昭和27年 ◯ 次郎長三国志/次郎長売出す … 🎬マキノ雅弘 1953/昭和28年 ◯ 怪談佐賀屋敷 … 🎬荒井良平 ◯ 次郎長三国志/次郎長初旅 … 🎬マキノ雅弘 ◯ 次郎長三国志/第三部 次郎長と石松 … 🎬マキノ雅弘 1954

映画『はなれ瞽女おりん』(1977)

水上勉原作の『はなれ瞽女おりん』を見る。監督は篠田正浩。 どちらかというと救いのない映画かもしれません。ネタバレなし。 映画の話の前に「瞽女〔ごぜ〕」についてご存じない方も多いでしょうから簡単に説明しますと、三味線を弾いて歌などを披露する盲目の女性芸能者です。宴席などによばれることもあるし、門付〔かどづけ〕のように店先や玄関先などで歌うこともあります。 本作の主な舞台は越後の国。地域によって組織の違いがあるかもしれませんが、この地では師匠となる人のもとに数名の弟子がいて、

映画『雁の寺』(1962)

水上勉のエッセイを読んだので水上文学にもう少し触れてみる、映画で。 水上の小説を原作とする映画は何本かある。今回は川島雄三監督の『雁の寺』を見た。 水上勉の原作は1961年に雑誌に連載されたもので、直木賞受賞作。原作を読んだのははるか昔なので記憶にない。映画は1時間40分くらいの尺で気楽に鑑賞できる。 水上は貧しい環境に生まれ九歳のときに口減らしで京都相国寺塔頭の瑞春院に小僧として預けられた。 このときの体験が『雁の寺』となっている。ちなみに、厳しい寺の生活に耐えかねて十

映画『土を喰らう十二ヵ月』(2022)

水上勉のエッセイ『土を喰う日々』を読んだので、これを原作とした中江裕司監督の映画『土を喰らう十二ヵ月』(2022)を観る。 原作には物語らしい起伏はないので、素材(原作)の味わいを活かしつつも、丁寧に膨らませている。 作家のツトムは信州の山家で愛犬さん“さんしょ”と暮らしている。 時どき、担当編集者であり恋人の真知子が訪ねてくる。 いちおうドラマではあるが、畑や山野の旬の食材と向き合い生きることをみつめるドキュメンタリー風の作品にもなっている。 信州の春夏秋冬がキレイで

映画『八つ墓村』(1977)

今日も横溝正史原作の映画です。1977年野村芳太郎監督による『八つ墓村』は、金田一耕助を「寅さん」で知られる渥美清が演じています。松竹で撮るなら渥美清がいいといったのは原作者横溝正史だともいわれています。 ただし『八つ墓村』の主人公は探偵ではなく事件に巻き込まれる青年の寺田辰弥。映画では萩原健一が演じています。終戦後を舞台とした原作と異なり、時代設定は映画製作の70年代に置かれています。 新聞で自分を探している人がいることを知った辰弥は、そこに書かれている大阪の弁護士事務

映画『病院坂の首縊りの家』(1979)

1976年『犬神家の一族』から続いてきた市川崑監督による名探偵・金田一耕助シリーズは本作『病院坂の首縊りの家』でひとまず終わり。 このあと市川崑監督は、豊川悦司主演で『八つ墓村』、石坂浩二主演でふたたび『犬神家の一族』を監督したりと、金田一耕助に取り憑かれていますが、これらはシリーズにはカウントしないことにしています。 物語はある作家の先生のもとを金田一耕助が訪ねるところから始まります。金田一はしばらく海外へ旅に出ると言う。そこでパスポート写真を撮るために先生がすすめてく

映画『女王蜂』(1978)

市川崑監督、石坂浩二主演の金田一耕助シリーズの4作目『女王蜂』(1978)。これまでの3作品に重要な役で出演していた高峰三枝子、岸恵子、司葉子の三女優がシリーズ再登場。 多少ネタバレ的な記述もあるかと存じます。もう古い作品でもあり、あまり気遣って書いておりません。あらかじめご了承ください。 時代は昭和二十七年。 大道寺智子は京都に暮らす父・銀造と離れ、亡き母・琴絵の生まれ住んでいた天城の月琴の里に家庭教師の神尾秀子らと暮らしていた。しかし智子が19歳になれば京都へ移り住む

映画『次郎長三国志 第三部 次郎長と石松』(1953)

令和七年乙巳最初の映画は、マキノ雅弘監督による東宝での次郎長三国志シリーズの第三部。モノクロ。 第二部の終わりに少しだけ顔を見せた森の石松(森繁久彌)が、第三部では次郎長(小堀明雄)とタイトルロールに並ぶという大出世です。 このタイトルですが、二人は冒頭で別れ、そのあとは別々の旅がらすとなり、第三部のなかでは再会しません。第二部の終わりから石松は次郎長一家と旅をしていたようですが、この時点では次郎長の子分になることはなかった。 ちなみにこの時の清水の次郎長の旅の共は、大政

映画『アラビアのロレンス』(1962)

今年の1月から映画の感想(と呼べるようなモンじゃありゃせんが)を書くようになり、今回の投稿がちょうど50本目。 50本?まだまだですね。もっと書きたい映画はたくさんあるはずなんですが。来年は年100本くらいは書きたいな。 さて記念すべき50本目の映画は、1962年デヴィッド・リーン監督による『アラビアのロレンス』〔原題:Lawrence of Arabia〕です。 節目を飾るにはよさそうな超大作ですが、これは偶然。先日デヴィッド・リーン監督の『戦場にかける橋』を見たので、続

映画『戦場にかける橋』(1957)

本日ご紹介する映画は、デヴィッド・リーン監督の『戦場にかける橋』〔原題:The Bridge on The River Kwai〕です。1957年の作品。 映画はご存知なくとも、劇中で流れるクワイ河マーチは耳にしたことがあるかもしれません。 この年のアカデミー賞では作品賞、監督賞、主演男優賞、脚色賞、作曲賞、撮影賞、編集賞の7部門でオスカーを獲得。主演男優賞は、英国軍人ニコルソンを演じたアレック・ギネスです。 また助演男優賞には日本軍斉藤大佐を演じた早川雪洲がノミネートされ

映画『獄門島』(1977)

本日は『犬神家の一族』『悪魔の手毬唄』につづく市川崑監督による横溝正史シリーズの3作目『獄門島』(1977)のご紹介です。 これまた古い映画であり古い原作でもあるのでネタバレを気にせず書いてます。あらかじめご了承ください。 終戦まもない昭和二十一年夏、瀬戸内海に浮かぶ獄門島で網元の娘たち三姉妹が次々と殺されてゆく。獄門島は、古くは瀬戸内海の海賊の拠点とされ、旧幕時代には流刑の地とされていたそうで、つまり島の住人は海賊と流人の末裔だという。 市川崑監督の横溝正史シリーズは

映画『悪魔の手毬唄』(1977)

本日ご案内する映画は、市川崑監督による金田一耕助シリーズの第2作目『悪魔の手毬唄』(1977)です。探偵・金田一耕助役はもちろん石坂浩二。 前作『犬神家の一族』は角川春樹事務所の製作で『悪魔の手毬唄』は東宝映画の作品です。前作の大ヒットにより二作目が作られたのでしょう。 今回もネタバレ気にせず筆を進めています。ご了承ください。 シリーズと申しましても前作とは雰囲気の違う作品に仕上がっています。例えて言うならば『犬神家の一族』がハリウッド映画で、『悪魔の手毬唄』はフランス映

映画『犬神家の一族』(1976)

本日ご案内する映画は、1976年公開『犬神家の一族』。角川春樹事務所の第一回作品。名探偵・金田一耕助の登場です!この時点で脳内には大野雄二の「愛のバラード」が流れまくっております!! 昭和二十二年二月、一代で巨大製薬会社を築いた犬神佐兵衛が亡くなる。莫大な遺産をめぐり一族に連続殺人事件が起きてしまう。 原作 横溝正史 監督 市川崑 原作の小説も映画も古い作品なので、ネタバレを気にせず筆を進めています。あらかじめ、ご了承ください。 金田一耕助役は石坂浩二。私的には歴代金田

短編映画『運命屋』(2024)

昨日はシネスイッチ銀座で短編映画『運命屋』を見る。上映時間25分。 主演はミッキー・カーチス。現在は御歳86。 ある日突然、運命屋と称するひとりの女性が老人の前に現れ、1週間後にあなたは死にます、と告げる。しかし寿命を延長する方法があるという。それは、最愛の人についての記憶をなくすことだと言う。 彼にとって先立たれた奥さんとの思い出が何よりである。長生きしたかったら、その想い出を失うことになる。 愛する人のことを覚えていなくても生きていたいか。そのまま寿命を受け入れるか