■『沖縄から貧困がなくならない本当の理由』減税で成り立つオリオンビールが象徴する国依存体質
著者の樋口耕太郎さんは、
僕と同年代なので、感情移入しながら
読み進めることができました。
本土に暮らしていると、
基地問題をはじめ、沖縄に
敗戦のしわ寄せがきているので、
可哀そうだという論調のマスコミが多く
そこに影響されてしまいます。
しかし、沖縄に暮らし働く著者の目からは
沖縄の企業も人も、
国からの補助金などの支援に依存してしまい
自立に向けて自助努力をせず
貧困に甘んじていると映っているようです。
しかも、同調圧力が強く、
自立のために頑張ろうとすると
軽蔑されてしまうという村(島)社会。
多面的な見方ができる一冊でした。
ただ、読みながら思ったのは、
著者は沖縄と対極にある東北・岩手県のご出身ですが、
東北も同じく閉鎖的で村社会的なところが
あるのではないでしょうか。
もっといえば、
これは、何も沖縄など特定の地方に限った問題ではなく、
どの地方にも当てはまる構図。
地方に行くほど実感しますが、
民間企業の影響力は少なく
公務員比率がグンと上がりますし。
依存体質、村社会、同調圧力、出る杭を打つ・・・
これらはすべて日本そのものの問題です。
帯には
「これは日本の問題だ」
とあります。
その通りですね。
自立、個を尊重、違いを認める、出る杭を伸ばす
ことを目指し、気持ちよく働けるように
一人ひとりが意識を変える必要があります。
※備忘録
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・1988年から2013年までの25年間に、沖縄の面積は
東京ドーム約296個分に相当する
13.91平方キロメートル増加
・日曜祭日を除くほぼ毎晩
午後8時半頃から午前2時前後まで、
那覇市の繁華街・松山の「ある店」にいる
毎日平均すると8名、年間では2000名の客が来店
16年間 延べ3万人の人たちと約2万時間、心の会話
・1950年代にアメリカで大人気を博した
風刺漫画家ウォルト・ケリー
敵の正体はわかった。それは、我々自身だ。
・沖縄の「基地関連収入」は県民総所得の「5%」程度まで縮小
➀軍用地料
②軍雇用者所得
③米軍等への財・サービスの提供
しかし、・・・有形無形の補助金、税制優遇、
観光プロモーション、政治的配慮による数々のイベントや
プロジェクト・・・・、米軍普天間飛行場の辺野古移設に
対する事実上のバーダとして沖縄に提供される
一括交付金など、年間3000億円を超える
沖縄関連予算は、あくまで沖縄の「振興」予算であって、
「基地」関連経済ではないという建前
・沖縄で生産・販売される酒類について、
泡盛は35%、ビール等は20%の酒税減税措置が続いている
軽減された酒税の合計額は、
復帰から2016年度までの累計で1287億円と巨額
「ビール業」という区切りでは、この優遇措置は
オリオンビールのために存在するようなもの
オリオンビールは本土復帰から42年間(注:2014年の引用時点)で、
約700億円の酒税軽減措置を一社で享受
2018年3月期の当期利益は23億円
本土復帰以来の利益をすべて合計すると520億円
国が減免してきた税金の合計額に満たない
県内シェアは44%と圧倒的に高いのは、
この軽減措置によるところが大きい
全国的には1%のシェアに満たない
2019年1月、・・・ついに自力再建を諦めて、
野村ホールディングスと米投資ファンドの
カーライル・グルーフ゜への身売りを決断
・復帰から2013年までの41年間で、
泡盛業界は総額約410億円の税金を免除されてきた
蔵元45社のうち、上位3社だけで、
全出荷量の約5割(46.7%)
営業利益
泡盛業界合計2億2500万円のうち、
3軒の蔵元がそのほとんどを享受
全体の約半数(26酒造所)は、従業員数が
平7.1人の零細事業所で、その半数が離党にある
泡盛製造業は県内製造業の3%、約900人(2015年度)を雇用
製造業の少ない離島においては、
泡盛酒造所の就業者が製造業就業者の約26%
・「多くの弱者のため」に政治が動き、援助がなされるほど、
一部の利権者が多大な配分に与る構造が存在する
・沖縄県庁がまとめた「基地問題の沿革」
1995年9月4日の米兵少女暴行事件を境に、
資料が膨大に
・普天間飛行場の移設問題がなければ、
沖縄サミットは実現していなかったはずだ
・國場一族は地元では「キングメーカー」
ザ・ブセナテラスを経営する、ザ・テラスホテルズの経営主体
・2002年11月1日、総工費145億円をかけた
美ら海水族館(新館)がオープン
入館者数は直前の88万人から264万人へ
2005年にアメリカのジョージア水族館が開館されるまでは
世界最大級の水族館
沖縄県全域への経済波及効果は1560億円
20112年度の観光産業の経済効果が6767億円であるから、
…全体の23%に影響
・約3割の達する子どもの貧困率(1位、全国平均の約2倍)
・労働者の平均収入は全国最低水準で、
就労者のおよそ18%が100万円未満、
47%は200万円未満の年収
・非正規雇用率は全国で最も高い43.1%
・シングルマザー世帯出現率が全国平均の約2倍
・沖縄にコールセンターがこれだけ集中している最大の理由は、
人件費が日本で最も安価であるため
・対症療法は、成果がはっきり目に見える。
その一方で、副作用は非情にわかりにくい
・問題解決を行う上での最大の問題は、
私たちはそもそも本当の(根元的な、という意味だが)
問題が何かを知らない、ということなのだ
私たちが問題だと思っていることの
おそらくほとんどは、単に症状であって
本当の問題ではない
・沖縄社会は、現状維持が鉄則で、
同調圧力が強く、出る杭の存在を許されない
・模合という頼母子講が根強く残っている
・「昇進、昇給を望まない労働者」
・本土のいじめは「弱いものいじめ」
沖縄のいじめは「できるものいじめ」
・マーメー(マメ、真面目)と呼んで軽蔑
・頑張る人(ディキヤーフージー)は、
周囲の空気を悪くする
・沖縄のお金持ちは、お金を持っていることを
ひた隠しにするため、消費行動に現れにくい
・「ゆいまーる」と呼ばれている沖縄の
互助的(ときには同調圧力的な)経済
・補助金を手にした瞬間から、事業家は
ゼロから付加価値を生み出す努力を止めてしまう
・「自尊心の低さ」
・利己的な人は、自分を「愛しすぎる」のではなく
「愛さなすぎる」
・沖縄の自殺率は全国で突出して1位
教員の鬱も突出して全国1位
殺人、強盗、レイプなどの凶悪犯罪も
全国と比較して高水準
・社長に限らず、上司という立場はスポットライトの
強い光を浴びて舞台に立つ役者のようなもので、
逆光で客席が全く見えない
・「愛の経営」
・夫が妻の関心に関心を持つとき、社会の基本的な人間関係の
問題を理解することができる。
親が子どもの関心に関心を持つから、教育問題の
本質に気づくことができる
・「無感覚さ」も日本全体の傾向
・「沖縄大学の私の授業で、薄暗い中で
学生が電気もつけずに待っている」
・沖縄問題とは、濃縮された日本問題である
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※前川孝雄のはたらく論
https://ameblo.jp/feelworks-maekawa/entry-12617746238.html
すべては、日本の上司を元気にするために。
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