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甲子園球児化する田舎の進学事情

年が明け、我が県では私立高校の推薦入試が始まっている。
この後は県立推薦入試、私立一般入試、県立一般入試と続くのだが、聞くところによると既に県外の高校への進学が決まっている子が、トラが知っているだけで数名いるのだという。

その内訳は、クラブチームで野球をしている男子2名、男子卓球部のエース、陸上部女子、スポ少時代から空手を続けている女子、吹奏楽強豪校から声が掛かったという吹部女子などなど。

甲子園を目指し野球留学をした子は私の同級生にも1人いた(と言っても隣の県)が、卓球や空手、さらに吹奏楽までとは軽くカルチャーショック。
中には園時代から知る子もいるだけに、一抹の寂しさと同時に、何だか取り残されたような気分になる。
この気持ち、トラの園時代からの友達が中学受験をすると知った時の感情に少し似ている。

県外組でこうなのだから、当然県内のスポーツ推薦組も多い。
昔はこの辺りの地域からはまず進学しなかった遠方の私立校に、某部員メンバー数名が推薦入試に臨むという噂も聞いた。
それがスカウトなのか仲間と示し合わせた結果なのかは知らないが、自分の希望など全く通らない家で育った私は、いったい彼らの親はどんな心境で進学を許したのか、それともまさかの親主導…?などとあれこれ考えてしまう。

もっともトラが中学に上がる時にも、スポーツで県外の中学や海外へ行った子もいた。
高校野球の県予選を見ていても、強豪校というわけでもないのに県外出身者ばかりで、こんな田舎なのにどうやって選手を集めたのか謎なチームもある。
かつての甲子園大会ではそういったチームは"外人部隊''と揶揄されたそうだが、少子化の今やそういった全国区での生徒獲得のムーブメントが地方の無名高校や野球以外の分野にも及び、トラの周辺でも起きているということなのだろうか…?

そこでである。
私が知る(昭和の)野球留学というと、田舎でたまたま非凡に生まれ県外の強豪校に進み、将来はドラフト何巡目かでめでたくプロ入りと相場が決まっていた。
とうかそれくらい非凡でないと県外の強豪校には呼ばれなかったし行かなかった。

ところが最近は状況が違う。
少なくとも県外留学をするトラの同級生らは必ずしも全国レベルというわけでもなさそう。
県内とはいえ遠方の私立にほぼチームごと推薦入試に臨む子らも、県代表レベルではない。

その進路決定においては、子の夢を全力でバックアップしたい親、子の選択に任せただけという親、或いは反対したものの根負けした親とさまざまな親子模様があったろう。
しかし最終的には(当たり前だが)親子が合意したわけだ。

スポーツ推薦だけではない。
県立一般入試でも、近くに似たような高校があるのに敢えて遠くの高校を志望する流れは増えている。

ということは、子の希望を断固否定するうちの母みたいな毒親は、もはや絶滅したのだろうか。
今どきの親は、最終的には子の希望どおりにしてやるべきなのだろうか?(実際その空気は感じる)
たとえそれが14歳の狭くて安易な価値観で選んだものであり、どんなリスクがあるかを助言しようが聞く耳持たずの反抗期真っ只中の選択だったとしても…?

この期に及んで、いまだに両親の意見と平行線(厳密に言うと平行線ではなく親が折れる形で志望校には合意、現在は出願する科で揉めている)のトラの志望校最終決定をいったいどうしたものか。
なかなかイエスと言えない私は母と同じ毒親なのか…?と葛藤の日々なのである。


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