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アラン・ケイ・トーマス著(2011)『スティーブ・ジョブズ 世界を変えた言葉』イースト・プレス
次の夢を追うために
本をめくると始めに「僕らはいつも次の夢を追っている。」というジョブズの言葉が現れる。
本書は、ビジネス、始まり、イノベーション、競合を章立てとして、選び出された言葉が紹介されている。
この本も先に読んだ『スティーブ・ジョブズ 自分を貫く言葉』同様に、単に言葉だけを追って読むのであれば、30分もあれば十分読み終える事ができるだろう…
でも、その放たれた言葉からイメージしながら感じ取り、そしてその言葉に対して自分はどうすべきかということまで思いを馳せると、なかなかページを進めなくなり、一つの言葉で考え、また次の言葉で考えながら読み進めて行くと、不思議と大作のような広がりを与えてくれる。
「顧客の欲しいものを与えているようではダメだ。できあがった頃には、彼らはもっと新しいものが欲しくなっている。」つまりは顧客の考えを先回りして、価値あるものを提供し続けていくというアップルの戦略にも結びついた言葉なのだろう。
そしてこの本にも「ハングリーにいけ。」(p.55)という言葉が出てくる。かれは妥協をしなかった逸話も多いが、その推進力は貪欲に自分の思う価値観の実現を妥協せずに目指してきたことが言葉の節々にも宿っているかのようである。
また「リーダーとフォロワーを分けるのは、イノベーションである」という認識もスティーブ・ジョブズ流の考え方ではないかと思う。
あのiPhoneも「恋に落ちてしまうような素晴らしい携帯電話をつくろう」という言葉が導いたのかも知れない。
著者の選びだしたスティーブ・ジョブズの言葉の妙を感じ取るに十分な本だった。