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田渕直也著(2016)『不確実性超入門』株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン

基本的なところはおさえてある本

Amazon Prime会員の特典で読んだkindle本です。
わたしはリスク管理等を研究していたこともあり、不確実性に関してはそれなりに多数の本を読んでいます。でも、学術的なことを簡単に説明するときなど、いきなり難しいことを言っても、聞いた人は理解できないと思い、できるだけわかりやすい言葉で、理解促進を促す事ができるように、この手の本も、休み時間等に結構読んだりしています。

不確実性に関しては、最近ではリスクマネジメント的なところで、リスクと不確実性の違いについてフランク・ナイトなどの古典から、理解促進を図りますが、本書でもフランク・ナイトに少し触れられている点は良いことだと感じました。

不確実性は、確率論の外にあり、本書でも「全て予測しようという考え方は捨てなければならない(p.35)」というのが端的に表現した言葉になります。

本書では、ランダム性、フィードバック、バブル、心理バイアス、思考法に触れられていますが、入門書としては基本的なところはおさえているし、引用も適切であると思います。

面白い知見では「人々が危機的と思うものは、実際には同じようなことは頻繁に繰り返され、人々は毎回同じように驚く(p.132)」という点。「経済成長は、みずから経済成長の要因となるものを次々とうみだしていく(p.142)」ところ、不確実性で言えば、「過剰な因果関係づけによって、現実の世界の複雑性は無視され、不確実なデキゴトに対しても因果関係を理解するすることで対応が可能だ、という錯覚を生んでしまう。それが、不確実性を正しく理解して適切に対処するうえで、大きな障害となることである(P.159)」ということで、そのとおりです。同じような意味は、この本の著者が最後の文章として触れています。

既に会社経営や企業の意思決定層には、正しい不確実性の理解をして欲しいことと、社会人なりたての人には、リスクと不確実性の違いをしっかりと学んでほしいと思います。そのための、ちょっと難しいかも知れないけど、一読していて損ではないと思う本です。

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