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北野唯我著(2018)『このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法』ダイヤモンド社
転職を考える時に読んでおくと良い本
わたしがそろそろ転職を考え出した2018年にアマゾンで購入したままになっていて、結局最初の転職の前にも読んでおらず、2回目の転職にも読んでいなくて、今頃になって積読本の整理をしていたら見つけた状態。
そして60歳の定年を前にして、65歳や70歳まで働ける仕事を探してみようか、それともこの辺で独立しようかと迷い始めている頃だったので、丁度良いと感じて読み始めてみた。
本書は物語形式で、黒岩という登場人物を通して、転職というか労働の流動性促進が、会社も個人も豊かにするという著者の方向性のもとで展開されているというのがざっくりした内容である。その教えの考え方というのが「転職の思考法」と呼ぶもので、その内容はp.244の「ノートまとめ」を見ると一読できる。
とは言え、感じ入った本文は色々とあり、まずは「意味のある意思決定というのは必ず、何かを捨てることを伴う」(p.25)ということで、意思決定は取捨選択でもあるので、当然ながら1つのことを決定すると、そうでないものが出てくることになる。また、ピボット型キャリア(p.77)という考え方も面白い。わたしも前々職では副業禁止でしたが、無償の社会貢献活動ということで許され、ビジネススクールの講師や起業役員向けのエグゼクティブコーチングなどを行っていたことが、その後のキャリア形成にも生かされている。さらに「才能は不平等だが、ポジショニングは平等」という思考もユニークである。
実際の転職での面接においても、面接担当への3つの質問(p.104)や転職先探し(p.149)、そして第2章で「選択肢がないと、人は「小さな嘘」をつく」という内容は、確かにその通りだと、本文の展開からそう思った次第。また、ロジック・共感・信頼のことや、「to doに重きをおく人間か、beingに重きをおく人間か」の違いについての考察も面白い。
わたしも最初の転職の時は、かなり悩んだけれど、一度転職するとそれなりに色々と勉強になったこともある。人生1つの企業で定年まで過ごすと、本当にその世界だけしか知らず、もったいないと感じることもある。
本書は、読者が最初に転職を考えた時に、その考えを整理させてくれるために必要な観点を、物語として教えてくれているので、本書の主人公でもある青野君になったつもりで、本書に登場する黒岩氏の言葉から教訓を得ると良いかも知れない。
わたしも次なる転職か起業に向けて、そろそろ自分の考えを整理するころかと思っている次第である。いわゆる要点だけをかいつまんだノウハウ本とは違い、物語風になっていることで、理解促進を狙ったのが本書なのだろうと思う。