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安藤広大著(2024)『パーフェクトな意思決定』ダイヤモンド社
どのように最適な意思決定にしていくかが理解できる本
人間は生きる上でもビジネスを行う上でも常に何らかの意思決定をしているものである。ただ決めないと前に進まないことを知りながらも、検討するという言葉で意思決定の機会を遅らせることは、実社会では意外にも多いのが現状ではないだろうか。
本書は、意思決定というのは、頑固なように一つの考えを貫くものでもなく、むしろ柔軟にその本質に従って、また意思決定者の認識や学習、成長に従って最適な意思決定は変化するものであるという部分に依拠して意思決定のあり方を解説している。
本書の中でも述べられているとおり「検討します」という言葉は、実際には何もしていなかったりするわけで、ダメであるならきちんとダメであると行ってもらった方が、そこから話が前に進むのだが、この「検討します」はその余地すらなくなるというか、関係性が遮断・断絶することもある。
本書では、絶対的に正しい意見などは無いという前提で、仮説として一旦の結論を提示することを求めている。それにより物事を前に進める中で、仮説の検討が進められ、より良い選択、つまり意思決定へといざなえるという論理である。
また、意思決定のためのツールとして、即決、情報不足、期限を設定するという3つの箱を用意して、その判断根拠を説明し、意思決定のサポートが行える点をあげている。
さらにデメリットは次から次に浮かぶものであるが、そこからの判断軸をどうするのか、機会損失や不確実性、時間などにも言及される。またバイアスや因果関係、免責、無責任、権限などにも話が及ぶ。
また意思決定の最後のラストマイル的なところにも触れられており、企業や自分の成長に応じて意思決定のレベルが変わることの重要性が理解できる。
安藤氏の本は、一つのセンテンスが短く綴られているので、読みやすくわかりやすい構成になっているため、その点でもビジネス書として人気があるのかも知れない。
この本も仕事の昼休みの時間を利用して、数日で読了した。さらに次なる本にも期待したい。