菅原道仁著(2024)『すぐやる脳』株式会社サンマーク出版
脳の特性を知り、知った上で生かすことが目指せる本
この本は、何故自分が怠惰になったり、ヤル気がなかったすることが、自分の意思の弱さなどではなく、そもそも脳がそのようにできているということで、むしろそうだからこその対応で、なんとか怠惰にならないように、ヤル気がでるように仕向けていこうというスタンスで書かれてある本である。
著者は、まず脳とは「怠惰で、流されやすく、誘惑に弱い」ものと解いている。すなわち、普通に過ごしているだけで人間は、怠惰になったり、流されたり、誘惑に弱くなるのは当然ということなわけである。しかも極力省力化するのが脳だそうだ…
その克服のためには、自己暗示、例えば「簡単にできる」と自分自身に思い込ませることや、小さな目標設定で所謂スモールステップにわけて実践していくこと、そのちょっとした達成感や充実感を味わうことで、快楽物質としてのドーバミンの分泌を促すことが良いらしい。
更に、内発的動機づけや行動の習慣化等の解説も素直に読めてしまう。また少しでも手を付けてしまうことで「やるまでの時間」の無駄がなくなるなどもお勧めかも知れない。
面白い知見としては、歩きながらの方が自由な発想には役立ち、逆に特定のものに焦点を充てることについては歩きながら考えるのは不利らしい。
「先延ばし」も、心の正常な「防衛規制」らしく、脳は理性的な前頭前皮質が本能的な大脳辺縁系に負けやすいため先延ばししたくなるそうですし、過度なストレスも先延ばし癖につながるようです。
また時々マルチタスクな人がいるような世間の見方があるけど、脳的にはシングルタスクだそうで、マルチな人は、そのシングルの切替を早く行っているということで、そのタスクスイッチングは生産性を40%落としているのだそうです。また脳の収縮にもつながっているらしいので、マルチに考えるよりは、シングルで長く考えた方が脳にはお得感なのかも知れない…
また、脳は飽きっぽく刺激に素早くなれてしまう性格があるようで、マンネリ化を防ぐためにはゲーミフィケーションも有効だとか…
個人的には「キリが悪いところでやめる」ことで、その後も続けやすくなるという点がユニークで、これからは仕事も個人的な勉強も、あえてキリが悪いところでやめておくことで、そのモヤモヤ解消というか、続きをやりたい興味を持って、次に続けることに繋げていこうかと思う。
薄い本なので、直ぐに読めてしまうけど、最初の一歩がなかなか出せない人にはお勧めなのかも…