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『 自己紹介(私がnoteを始めた理由)』/ 小説 pt2 観測編

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〜第1幕〜↓


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〜第2幕〜 / 観測編


「fgさんはよく頑張ったのですよ。少し休みましょう。」


20××年×月×日現在。
私は初めて「適応障害」と診断された。


「診断書」なるものを貰った。
私の病傷名を告げた川久保医師は、今の私の心理状況や私のコト、仕事のコトを総合的に見て、

「休職すべき」

と判断し、そう言われた。

私自身も正直、心身共に疲れていたため休めるなら休みたかった。
(昔からずっとスポーツをやっており、体力面には自身があるのだが精神面は強くなく、疲れやすく、常に眠くなりやすい。)

診断書を受け取り、病院を後にした。
外は暗黒世界。
正直な所、短時間での情報量の多さ、これから先の仕事のコト、初めての精神科と精神薬云々……
この時の具体的な気持ちはあまり思い出せない。

家に帰る。
疲れた。
普段ならアルコールを体内に投入するのだが、アルコールとは縁を切らなければならない。
アルコールとの付き合い方を間違っていた私は、会社の健康診断でも肝臓等に異常値が毎度あるのはこれを見て下さっている皆様には容易に想像出来るだろう。


それでもあの時は辞められなかった。
朝昼夜、関係なし。
休みの日は朝ご飯のお供に9%のチュウハイからスタート。

狂っていた。
これを機にアルコールを辞めよう。


帰宅してから遠方にいる家族に説明し、両親は絶対零度で凍結した私の心をジンワリと溶かしてくれるような温かい言葉をくれた。

そして次に仕事のコト。
課長に結果を説明、諸々の手続きをし、

「休職」

となった。

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……………
…………
……

私は汽車に乗っている。
涙を流しながら汽車に乗っている。
次は湯河崎駅だ。

「まもなく湯河崎〜湯河崎〜。」


汽車アナウンスが流れた。


何をするんだっけ?
そうだ。

「簡単な事」

だ。
しにいかないと。
しにいかないと。


そろそろ目的地の湯河崎に着く。
湯河崎は私にとって非常に大切な場所だ。


湯河崎へ向かうこの湯河崎線には
トンネルが沢山あり
リズムよく車窓がトンネルで真っ暗になる。


窓に私の姿が映った。
また窓に私の姿が映った。
窓に映った私が言った。

私の心の限界が私の世界の限界である。※1」


私は口を動かしてはいない。
窓の向こうに映る私がそう言った。
確かにそう言った。
窓の向こうに映る私が言ったコトの意味や真意は全く分からない。


そして汽車に揺られること約10分。
湯河崎駅に着いた。
ドアが開き
プラットホームに私の足が着いた。

それは瞬間だった。
目の前に何故か警官が立っている。
そして
警官に私は撃たれた。
瞬間だった。

「無差別○人の犯人を射○しました!」

その声は駅中に轟いた。
湯河崎警察署の警察官が撃ったのだ。
左胸からは杜若色の
ドロっとした
生暖かい液体が停めど無く流れ
私は絶命した。

騒然とする駅内に
先程と同じ場所の汽車窓にひゅーっと私が映り
少し残念そうな表情を浮かべ

消えた。

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私は

「休職」

した。

昨晩は睡眠導入剤を飲んでも常に動悸が荒く、ベッドを揺らせるレベルで緊張し、全く眠ることが出来なかった。
お陰で心身共に体調が悪い。

そして現時刻は9時36分。
本来なら働いている時間だ。
にも関わらず私は目が覚めているが、ベッドから何故か起き上がれない。

起き上がる気力が出ない。
なので、ひたすらに天井を見る。

ぼーーーーーーーーーーーーーーーーっと。

外は快晴だ。
保育園の園児と先生が散歩している声が聞こえた。
そんな明るい世界と私の今の暗い世界とのギャップで更に辛くなる。泣きたくなる。

他の人達は働いている。
同年代の人達は働いている。
年下の人達も働いている。
数日前の私はこの時間働いている。

「どうしてこうなった?」

「何故、今こうなっている?」

「そもそも何故、生きているんだ?」

自分でも整理が出来ず、全く意味が分からなかった。
そしてベッドからいつまでも起きられず、携帯も触る気力も無く、時間だけ無駄に過ぎていくのを感じるコトは出来た。
そこでまた辛くなる。泣きたくなる。


それからの生活は一変。
記憶が曖昧だが、入浴が好きな私(1日2回は入る)が汚い話、4〜5日入ることが出来なかった。

更に趣味であるPCゲームやファッション、スニーカーにも興味を向けることが出来なかった。
食欲もあまり無い。
しかし何も食べないと○んでしまうため、なんとか気力を振り絞り「食糧調達」という1日1回唯一の外出へ。

何も出来ない、何も変化が無いまま夜になり、また眠れない。
寝れたとしても毎日酷い悪夢を見る。
不幸にも悪夢の内容は今でも鮮明に記憶しているのだ。

例えば、

「何故か汽車に乗っていて、降りた瞬間撃たれる夢。」

「小さい女の子に日本刀で○される夢。」

「病院の屋上から飛び降りる夢。」

等々。

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……………
…………
……

私は汽車に乗っている。
涙を流しながら汽車に乗っている。
次は湯河崎駅だ。

酷く疲れた。
酷く疲れたため
イスに座ることにした。

数分後。
小さい女の子が母親らしき人と手を繋いで歩いてきた。

「良かったら座って下さい。」

私は席を女の子に譲った。
母親は懐中時計を手に持っており
光の反射でふと
懐中時計に鏡のように私が映り
その時
私の声が聞こえた。

納得は全てに優先される。※2」

私は口を動かしてはいない。
懐中時計の向こうに映る私がそう言った。
確かにそう言った。
懐中時計の向こうに映る私が言ったコトの意味や真意は全く分からない。

まあともかく女の子に席を譲ろう。
女の子は

「ありがとう!そしてさよなら!」

女の子に席を譲るため
入れ違いになった際に何かに刺された。
日本刀だった。

私は日本刀に刺された。
酷く痛かった。
痛い。
私は痛くて泣いた。
イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ。
痛い遺体いたい。

あまりにも痛く
気絶してしまった。

刺されたのは腹部周辺。
女の子は
何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も
私のコトを刺したらしい。

私からは杜若色の
ドロっとした
生暖かい液体が停めど無く流れ
私は絶命した。

何故周りの人達は何も動じていないのか
不明であったが
絶命した私を眺めるように
懐中時計からもう1人の私がひゅーっと現れ
少し残念そうな表情を浮かべ

消えた。

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朝になり、起きた。
今日も酷い悪夢を見た。
体調が悪い時は本当に悪夢を見るものだな、と身を持って実感している。

精神科の川久保医師から処方された精神系の薬はしっかり飲んでいる。
しかし風邪薬と異なり、直ぐには効果が現れにくく、効いているのか効いていないのかサッパリ分からないのだ。

更に自身に合う薬、合わない薬があり、合わない薬を飲んでいた私は酷い頭痛と吐き気が常にあった。
ただでさえ、適応障害による酷い鬱から来る「落ち込み」があるにも関わらず、プラスアルファで薬による副作用の追加症状が襲ってくる。

薬の効果もあり、お酒はなんとか断つコトが出来たが個人的には何より、満足に眠れていないのが1番辛かった。

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……………
…………
……

私は汽車に乗っている。
涙を流しながら汽車に乗っている。
次は湯河崎駅だ。

窓には湯河崎湾が広がる。
杜若色となった海を眺める。

今日は天気が悪い。
雨の湿った匂いを感じる。
外は雨が降っており
傘を持ってきて正解だった。

酷く疲れていたため
吊り革に捕まり
立ったまま寝てしまったようだ。

気がつくと湯河崎駅に到着。
慌てて降りた。
湯河崎駅は大きな駅ではない。
改札は2階にあり
階段を上らなければならない。

私は

「簡単な事」

を遂行すべく
傘と少しばかりの銭を持つといった軽装である。

階段を上がる。
階段途中に設置されている窓をふと見た。
ふと。
雨が降っており
水滴が窓に付いている。
窓には私が映る。
窓に映った私は私に対して


破鏡重ねて照らさず、落華枝に上がりがたし。※3」

私は口を動かしてはいない。
窓の向こうに映る私がそう言った。
確かにそう言った。
窓の向こうに映る私が言ったコトの意味や真意は全く分からない。

唖然としていた私は
眠気も相まって階段上でよろけてしまい
後ろに倒れる形で階段から落下した。

不幸にも傘が私を追い越し
先に○(4)を待っていたかのように
傘の鋭い先端が私の頚椎に上手く刺さり
後ろ向きに首に傘の先端が貫通して
絶命した。

駅内は叫び声が飛び交う中
先程の階段窓に
絶命した私を眺めるように
もう1人の私がひゅーっと現れ
少し残念そうな表情を浮かべ

消えた。

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朝だ。
飛び起きた。
汗が凄い。
また酷い夢だった。
睡眠導入剤を飲んでも、寝て起きての繰り返しで全く熟睡出来ていない。

眠れないのが非常に辛い。
「どうして私だけ…。」
周りの人々は普段通りに恐らく仕事をしているだろう。周りと比較し、そんなコトも思ってしまう。

相変わらず何に対しても全く興味が湧かない。
今まで好きだったモノに興味が湧かない。
好奇心を失うのがここまで辛いとは思わなかった。
生きている心地がしない。

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「休職」

してから数日が経過した。
依然として気力は無いが、なんとか入浴や買い出し等は以前より楽にこなすことが出来るようになった気がした。

しかしやはり生きている心地はしない。
本日も今朝は幼稚園生や小学生の楽しそうな声を聞き、ベッドの上で絶望する。
涙は枯れるまで泣いたので、涙すら出てこない。
笑うことも出来ないし、そもそも「面白い」と感じることが少なくなった気がする。

気力を振り絞りなんとか買い出しをして、ぼーっとしながら夕食の準備をしていた。
私は煮物を作るためにニンジンを切っていた。
抜け殻の様に、切っていたであろう。

ふと、包丁を見る。
ふと、右手を見る。
ふと、思う。


(右親指を落としたら痛いのだろうか?)

何故か試したくなった。
無性に試したくなった。
仮に実行が成功した際には恐らく病院に行き、入院?し、一度人生がリセットされると思った。
(今冷静に考えると、相当に狂っていると思うが。)

もう無気力、放心状態があまりにも辛すぎて実行しようと思った。

鍋はグツグツ沸騰している。
包丁に勢いをつければ、太さ3cmほどの細長い肉片なら楽に落とせると思った。

一度、今の生活と人生を「リセット」する目的のため、先ずは指の切断を試みる。


実行する。


〜第2幕〜 / 観測編 終

〜第3幕〜 へ続く。

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以下、参照

※1 ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン様
前期 論理哲学論考より

※2 ジャイロ・ツェペリ様
ジョジョの奇妙な冒険 第7部 SBRより

※3 休静禅師様
景徳伝灯録より

(誤り等の可能性がございます。)

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