活魚
言葉が
まな板の上で跳ね回る
包丁を
なかなかふりおろせず
毎度
やきもきしていると
言葉にも
伝わってしまうのか
大きく跳ねっ返って
気がつけば海の彼方
詩を書くときも
詩を読むときも
言葉の味つけが
気になって仕方ない
三枚おろしか
生か焼きか
はたまた活き造りか
口に入れたとき
たまに鱗が残っていたり
鯛かはまちか
イカかタコか
刺身か寿司か
答えのない
板前修行か
また一からやり直し
また一からやり直し
皿盛りまで何度やっても
醤油か塩か
何かがひと匙
ひと匙足りない
いや多い
ひと匙多い
いや足りない
いや多い
足りない?
多い?
足りない?
多い?
大きく跳ねっ返って
気がつけば海の彼方