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#31 映画「怪物」/是枝監督/映画から現実に戻る心情に名前を

映画「怪物」

3つの視線から描かれる映画。
当事者にはわからない第三者から見える真実。

「テレビだからドッキリだとわかるんだよ」

「誰にでも手に入れられる幸せはしょうもない」

美しくも触れられない「ひと」の物語。


是枝監督

是枝監督の作品で見てきたものは
・そして父になる
・海街diary
・三度目の殺人
・万引き家族
・怪物

万引き家族を見たとき私は辛うじて学生であった。
見境なく映画を貪る私は簡単に手を出した。
その日、友人に借りていたマーベル作品を見たあと
レンタルしていたDVDの山から何の躊躇もなく万引き家族を手に取った。
予告も見ていない。表紙に映る家族写真の綺麗さと話題になっていて借りた。

あれから6年以上経ち内容は話せるほど覚えていないが。
みた衝撃。
気だるさからその日はもう映画を見れなかったことだけ鮮明に覚えている。
すぐに映画鑑賞仲間に連絡をとり、細かい説明は省き見てほしいと伝えた。
友人は見たが、「わからない」とだけ連絡をよこした。
友人と映画の話をあまりしなくなったのはそれからだ。

映画を見るときにキャストだけ気にしていた時期はもうない。
今では監督・脚本・原作で何を見るかわかるだろう。
本での出版社で購入を考えるのと同じと思う。
一度ハズレの本をみてしまえば著者のみならず、出版社も信用ならない。

私は一丁前にハズレと思うまで是枝監督の作品を見続ける。

映画から現実に戻る心情に名前を


「余韻に浸る」と言われる時間、私はどこにもいない感覚になる。

日常から非日常へ、非日常から日常へ。
その間、私はどちらにもいない。

読書終わりの余韻。
達成した仕事終わりの余韻。

どうってことないはずだったことまで敏感になる。
ドアを開ける瞬間。
新幹線を降りる瞬間。
朝、街が動き出す瞬間。
働く人を眺める瞬間。
体に悪いと知りながら犯す瞬間。
人とは分かり合えないと再認識する瞬間。
また期待してしまっていた瞬間。
落胆する自分を冷静に見ている自分に気付いた瞬間。


私を動かす言葉・人・環境・それ以外のすべてで私は待つ

こうじゃない。これが私。そんなわけ。やっぱり私だと。

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