白隠と不老長寿の道(第1話~続)
100歳を健康に生きる方法ーその1 白隠の寝禅から探る。
1話 白幽仙人と白隠
上虚下実ー心火を降ろす。
2話 気海丹田と長寿
気海丹田に気を集め煉精する。
下丹田の充実
3話 煉丹から還丹への道
真丹を煉丹し、還丹する。
「抱朴子」の金液・還丹・胎息
4話 築基、煉精・煉気・煉神・還虚
煉精化気、煉気化神、煉神還虚
「玄機直講」にみる煉丹火候説
5話 白隠の禅と煉神・還虚
面壁九年(禅定)と仙人・還虚
「天仙正理直論」にみる築基・煉薬・伏気・胎息
菩提達磨の禅定(面壁九年)
第1話 白隠と仙人の出会い
白隠さんは、京都の黒谷で白幽仙人に出会い、内観の秘訣を教えてもらったといいます。それは、「長生久視の秘訣、神仙煉丹の至要」であると。
つまり、不老長寿の秘訣、仙人となる秘訣であると。
その内観の秘訣をさぐりながら、不老長寿につながる道を探ろうとおもいます。
白隠さんは、仙人から仙人還丹の法を教えてもらった。その方法は、寝る前に、「長く両足をのばして、強く踏みそろえ、一身の元気を臍輪気海、丹田腰脚、足心の間に充実させる。そして、この下腹部(気海丹田)に意識を集中する。」というものでした。
そうすると、「一身の元気が、いつしか、腰脚足心の間に充足して、臍下丹田が、いまだ篠打ちしない鞠(まり)のごとくに固く張りつめるようになる。そうして病はすっかり癒えるであろう。」ということです。
仙人曰く「至人のいう所によると、これは神仙長生不死の神術なり。」と。
また、仙人がいうには、「生を養い長寿を保つの要は、形を練るにしかず。形を練るの要は、神気をして丹田気海の間に凝らしむるにあり。神凝る時は気集まる。気集まるときは、真丹なる。丹なる時は、形固し。形固き時は神全し。神全き時は寿命ながし。これ仙人九転還丹の秘訣にかなふ。」といいます。
これを探求し、不老長寿の方法をみつけていきたいとおもいます。
第2話 気海丹田に気を集めて、煉丹する。
白幽仙人はまた言います。「荘子という人は、真人は踵で息をすると言っている。」(踵息)と。これは、細く長く息をすることを意味します。
また、「元気が臍下丹田にある時は、そこから出る息は長く、胸部にある時は短い」といいます。」
白隠は、「おおよそ生を養うの道、上部は常に清涼ならんことを要し、下部は常に温暖ならんことが大事」とさとります。
下丹田の充実にともない、下腹部がぽかぽかと温かくなります。
「元気をして、常に下に満たしむ、これ生を養う枢要なることを知るべし。」ときづきました。
とにかく「心火を降下して、丹田及び足心に収めるを以て至要とする。」ことです。
「心火を臍下丹田に収めることを第一にする。」ということです。
白隠さんは、「丹田は、一身の上に3箇所あるが、自分のいうのは、下丹田のことである。気海も丹田も臍下にある。丹田は臍下三寸、気海は一寸半、真気は常にこの中に充実して、心身常に平坦なるときは、百歳の年齢になっても、頭髪は衰えず、歯牙も動かず、眼も少しずつはっきりして、皮膚も次第に光沢を帯びる。これ即ち元気を養い得て神丹成就したる効験なり。」といいます。
ここに、百歳まで健康に生きる秘訣があります。
第一話に戻って「気を気海丹田・足心に収めることを続けて、腹が鞠のように固く充実するようにしてみましょう。」これを続ければ病気を一掃し、無病息災、長生できるようになります。
そこで、気海丹田に気を集めるのに次の方法を試してください。
それは、両足を長く伸ばして、細く長く下腹部を膨らませる呼吸を数回した後、踵を1㎝床から浮かす方法です。下腹部がギュッと充実し肛門を閉めます。そして、少し経ったら、踵を床にストンと落とします。そして、また下腹部を膨らませる呼吸をするのです。以前より、呼吸が深く長くなっているのが分かるでしょう。
呼吸の間、下腹部に座布団を置いて呼吸するのもよいです。下腹部が膨らんで、また下がるのが明確にわかります。気海丹田が日に日に充実してくるのが分かります。臍下丹田がバスケットボールのようなゴム鞠(まり)状態になります。竹刀や、木刀でたたかれても平気な感じがしてきます。
これを続けてやってみましょう。
臍下丹田に気を充実させることが無病・長生のすべての出発点です。
先ず、下丹田の真丹造成が重要と述べている。
白隠さんの言っている無病・長生の効果が実現します。
参考までに、次の図を載せます。「道海玄微」という書物に紹介されている睡効図・臥効図です。図11の臥効図と図12の臥効図が補強的なものです。両方共、下丹田に意識を集中しておこないます。これにより、気海丹田が充実します。
臥効図11は、足を少し上げて、Vの字型になる感じです。足はあまり高く上げない方がよいです。頭は枕にのせ、肩と背中と腰は宙に浮き、腕は床につける。胃はへこませ、両足は合わせ上に上げる。呼吸はなだらかに自然にまかせる。
臥効図12は、臍を頂点に山型になる感じです。両手は後頭部を抱え、両足踵を床につけ、全身を宙に浮かせる。胸をふくらませ、腹をへこませる。肛門を引き締め、気を下げて丹田に意識を集中する。呼吸はなだらかに細くして、綿々と続ける。
道海玄微の臥功図。
気海丹田に気を集めるのに有効です。
次回から、白幽仙人の言っている
仙人練丹及び仙人九転環丹の法とはどういう方法なのか探って行きたいと思います。それにより、不老長寿の方法がわかるのではないかと思います。
3話 真丹・煉丹・還丹について
下丹田の充実から、真丹を形成(築基)して、下丹田ー上丹田ー中丹田と還丹(小周天)する。
ここに、成仙の秘訣があります。
長寿と真丹については、抱朴子に始まるようです。
抱朴子の金丹の章で「養生の書は、皆、還丹・金液ををもって大要となさざるなし。しからば則ち此の二事、蓋し仙道の極みなり。」
「丹を服し、一を守れば、天と共に寿命を全うする。精を返し、胎息せば、寿命を延ばすこと極まりなし。」とも言っています。
服丹、守一、返精、胎息ということが大事と分かります。
不老長寿の方法はある。寿命を延ばす
かどうかは、自分で管理できるという考えです。それには、丹田、精の保持(還精補脳・元気・エネルギーの素を大事にする。)、胎息(胎児のような呼吸・真人の呼吸)ということが大事といっています。
胎息について、抱朴子・釈滞篇の中で、こう述べられています。
「気を行(や)れば(行気)、以て百病を治すべく、或いは年命を延ばすべし。その大要は胎息するのみ。」
「気を行ることを学ぶには、鼻の中に息を吸い込み、それから息を閉じて、止息・保息します。
そして、心の中で数を数えて百二十に至れば、口から少し吐きます。
この吐くこと吸うことを、常に吸うことを多く、吐くことを少なめにする。
そして、鳥の毛を鼻口の上に置いて、吐く息が動かないようにするくらい、細く微かに吐く。なれると、その心の中で数える数が増して、長く続けると
千まで数えられるようになる。千に至れば、老いた人も、一日ごとに若返る。」と言います。
初心者は、まず、心の中で数える数を、十をめざしましょう。
ヨガの方では、吸う息4,止める息4,出す息4から始めます。
この方法で、すぐ、吸う息4,止める息16,吐く息4にまでいけます。
そして、吸う息5,止める息20,吐く息2ぐらいにもっていきましょう。
止める息は徐々に長くできます。
慣れると、息を止めて歩きながら、少しづつ止める息のまま行動できるようにもなります。臥せる禅(臥禅)だけでなく、行ずる禅(行禅)にも応用できます。武術にも応用できます。
白隠さんの、気海丹田に気を集めて、腹をゴム鞠のようにしていくと、
この細く長く呼吸する、閉じる息の長さも増します。
先ず、白隠さんの寝る前の気海丹田の腹呼吸を続けていきましょう。
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