見出し画像

乱雑な午後に

 内側からあふれる、水の鼓動、わたしの胸元、ネックレスのすばやくゆれる鎖のあいだ、ひざこぞの骨、湾曲した足首から、大地につたうとき、麓の街路樹は枯れ、にぎわい通りの看板は、いかがわしい灯りをおとし、黙祷をささげる。

 わたしのひまわりは、けむりにむかって、黄色い花びら輝かせ、木々は、とっくに閉経してるから、傷ついた梢を空気にのばす、黒鶫がさえずる、ガラスの葉が、風もないのに揺れる、もしかしたらこれは夢、夢なのかもしれないひまわりも、だからなに、わたしのひまわり、著名な映画みたいに咲いた黄色で、空は、淡い血の色、ゆうやけ、はじまったみたい、人々は黒塗りのベンチで、くつろぎ、開け放した空から、夜がわけいってくる、わたしのひまわりは、精錬で、ビロードの花びらも、ゼンマイのみつばちも笑う、わたしは、静かに黙祷しながら、わたしの小さな部屋に帰ろう、ひまわりをつんで、わたしは。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?