秋田は隠れた❝かりんとう好き❞県ではあるまいか〜五城目の巨大かりんとう、湯沢・にかほの薄くてカリカリかりんとう、角館の落ち葉・うす葉かりんとう
以下の写真は先月秋田に帰省した際買って来たお菓子たちである。
今回は普段の帰省で行かないところへも行ったため、初めてのものも含まれているが、やはりかりんとうが2種類。「やはり」と言うのは、秋田に帰るとどうも私は毎回かりんとうを買っている気がするからだ。何故だろう?
実家にいた頃かりんとうは確かによく家にあり、おやつによく食べていた。最も身近なお菓子の一種だったと思う。でもそれは実家が田舎で洒落たお菓子が買えるような土地ではなかったことに加え、同居の祖母や母が甘いもの好きだからだと思っていた。
ただ、上京してからの年月の方が長くなった今、どうも自分が秋田へ帰るとかりんとうを買いがちな傾向性に気付かずにはいられない。それを見慣れた夫にも、秋田空港や駅の土産売り場にかりんとうがあると「買わなくていいの?」と言われるほど、かりんとう好きと思われている。
確かにかりんとうは好きである。だが日頃から買って常食するほどではない。現に今住む横浜或いは神奈川のスーパーでかりんとうを買ったことは殆どないはずだ。私が買うのはあくまで秋田のかりんとうであって、わざわざ取り寄せたりはしないが帰省時には買って戻る、それくらいの距離感である。つまりその他の秋田銘菓と同列で、現状それほど取り沙汰されてはいないものの、もしや秋田は隠れたかりんとう好き県ではないかと私は睨んでいる。
だって実際秋田には名物的存在のかりんとうが多いのだ。
例えば今回買った五城目の巨大なかりんとう。黒糖を渦巻き状に練り込んだ生地を平たくのばして揚げ、その上にも黒糖の蜜をたっぷりまぶした、製法上は実にスタンダードなかりんとうではあるのだが、大きい。とにかく大きい。一枚食べるとお腹がいっぱいになりそうなサイズ感である。思わず定規をあてて計ってみたくなる。
という訳で計測してみると、やや縦長ではあるがだいたい15センチ強といったところ。これほど大きいとどうしても割れやすくなるため、あまり薄くのばされてはいない。そのため尚一層食べでがある。カリッとはしていないが、パリッとして口中に素朴な美味しさが広がる。こういうの好きでつい買っちゃうんですよね。
ちなみにこの五城目のかりんとう、なんでも以前朝ドラで使われたそうで、県外からもお取り寄せされるほどの人気商品だそうだ。
続いてはこちら。
このタイプは秋田県南、主ににかほ〜湯沢市あたりでよく見る形状のかりんとうである。
「あつみのかりんとう」と呼ばれるにかほ市の渥美菓子店のものが特に有名だが、同店では夏場は生産されていない。とても薄くのばした生地を付箋程度に小さく切ってパリパリに揚げる。薄いので壊れやすいが、それ故スナック菓子のようなカリカリ、サクサクとした軽い食感で、ついついたくさん食べてしまう。
黒蜜掛けとなしの両方があり、私はどちらかと言うとない方が好き。今回買ったこれはかなり好みで、練り込まれたごまの香ばしさも手伝って案の定すぐに食べ切ってしまった。
そう、普段かりんとうを常食しないようにしているのは、つい食べ過ぎてしまうからである。確実に太る。だって糖質と油だもの、太る要素しかないよ…。糖質と油、美味しいけど。
ちなみにこの湯沢市「稲庭うどん販売」のかりんとうは、数年前に湯沢市出身の菅元首相が就任した際に非常によく売れた。当時はコロナ禍だったこともあり、お取り寄せ需要が相当高かったようだ。他にも菅ちゃん関係のお菓子がかなり発売されたが(なにぶん初の秋田出身総理だったので)私はこれが一番美味しいと思っている。おすすめです。
更に、今回は行かなかったが武家屋敷で有名な角館もかりんとうが名物である。これは本当に好きで、行くとつい、割れやすいとわかっていてもバッグに入るだけ買い込んでしまう。
ゆかり堂の「うす葉かりんとう」という平たく細長い大きな葉っぱ型のものと、やや厚めの生地をねじってボリュームを出した「落葉かりんとう」の二種類があってそれぞれ黒蜜・白蜜掛けがあり、どちらも同じくらい好き。
こうして見てくると、やはり秋田はかりんとう好き県と言えなくはないだろうか。
もちろん他にも名物の美味しいお菓子はいろいろある。が、かりんとうという素朴なジャンルにおいてこれほど多くの名物的存在があるのは少々珍しく感じる。他県でかりんとうがこのように扱われるのはあまり見た記憶がない。
それも元来稲作が最も盛んな産業で、小麦はそれほど多く生産されない秋田でこれほどかりんとうが作られ、愛されているのは少々不思議な気もしなくもないが、その昔、北前船で米を輸出し、代わりに小麦や砂糖がもたらされたと聞けば非常に深く納得できる。
書いていたらまた食べたくなって来た。
そんな訳で秋田のかりんとう、よろしければ是非食べてみてください。