【おうちで発酵・漬物】#11 山形のせいさい漬で「弁慶飯」「谷沢梅入りひきわり納豆巻」、高菜とせいさいでめはりの食べ比べ
少し前に書いた山形の菜っ葉「せいさい(青菜)漬」。
もともとはこれをつくりたくて漬けたようなものかも知れない。
せいさい漬の葉を広げ、味噌おにぎりを包んで炙った「弁慶飯」。「弁慶飯」という勇ましくもどこか質実剛健な山形っぽい名前も良いし(青菜漬でおにぎりを巻いた様子が袈裟で顔を覆う武蔵坊弁慶の姿に似ているから、らしい)、想像しただけで美味しそう。
早速つくってみた。つくり方は超簡単。
《山形のローカルおむすび・弁慶飯》
1)せいさい漬の葉を広げ、茎と葉に分ける(高菜漬やしゃくし菜等、他の青菜漬でも代用可。塩が強い場合は塩抜きしても)。厚くて食感の良い茎の部分は使わず(山形の人はこの厚くてシャキシャキした茎が好き。こちらはそのまま美味しく食べましょう)、薄い葉の部分を使用。
2)好きな大きさでおにぎりを握り、表面にまんべんなく味噌を塗る。お好きな味噌でどうぞ。田舎味噌のような素朴なタイプがおすすめ。なお、具は入れなくても良いし、せいさい漬の茎の部分を刻んで入れても美味しい。味噌や漬物の味、ごはんの量等に応じてお好みで。
3)魚焼きグリルや網などで2)のおにぎりをこんがり炙ってできあがり!
想像通りの香ばしさと旨味の凝縮感。焼いて水分が飛ぶことで、せいさい漬の旨味も味噌の風味もひきたつ。今回はやや優しい風味の味噌を使ったが、もう少し赤い味噌の方が合うかも。山形の味噌だとまた違うのかな。
それと、炙る際ごま油を微量塗っても香ばしさが引き立って美味しいだろうと思った。
続いてこちら。
一見わかりにくいかも知れないが、とても山形らしい納豆巻き。
・せいさい漬
・ひきわり納豆(山形の人はひきわり納豆を好む)
・谷沢梅の梅干し
という山形っぽさ満点の食材三点を使用。
元のレシピは「せいさい漬を海苔の代わりにして納豆巻きをつくる」だったが、思いついてひきわり納豆に叩き梅を加えてみたところ大正解。梅の香りと酸味でより食が進む美味しい納豆巻きになった。谷沢梅を使ったのも良かったと思う。酢飯にも梅酢を使った。
谷沢梅は山形県寒河江市谷沢地区で古くから栽培されている在来種で、酸味の強さと渋みのなさ、梅干しにした際の種離れの良さが特徴。近年珍重されているブランド梅のひとつだ。食べやすい中粒サイズで独特の香りの良さがあり、えぐみが少ないのでジャム(超おすすめ!)やシロップ煮にしても美味しい。今回は都内のアンテナショップで購入したこちらの梅干しを使用。程よい塩気の美味しい梅干しです。
こちらも作り方を書くほどでもないが、いちおう記録。
《せいさい漬のひきわり納豆巻き・谷沢梅風味》
1)酢飯を用意する。
固めに炊いたご飯軽く2膳分に(昆布・酒を入れて炊くとなお良い。梅干し1個を入れて炊いても美味しい)に梅酢大さじ1と微量の砂糖(梅酢に塩が入っているので塩はなし。普通の酢の場合は塩ひとつまみも加える)を混ぜた寿司酢を回しかけ、練らずに切るように混ぜる。
2)具を用意する。
ひきわり納豆1パックに、種を除いて叩いた梅干し中2個分と添付のからしを加えてよく混ぜておく。香りが足りない場合は添付のたれまたは醤油をごく少々たらしても。
3)せいさい漬けを海苔代わりにして巻く。
巻きすにラップを敷き(せいさいの水分が巻きすにしみないように)、その上にせいさい漬(高菜でも代用可)を広げ、1)の酢飯の半量を広げ2)の納豆の半量をのせ、一般的な細巻きの要領で巻く。巻きすを外した後、ラップをしばらくそのままにして香りや味をなじませてから切るとよい。
※漬物の風味が酢飯にしみてからの方が美味しいので、食べる2~3時間前に作っておくのをおすすめ。せいさいの風味をより濃くしたい場合は葉を2枚重ねても美味しいかも。
最後に、最近試してみたこちら。
左のやや茶色い方がせいさい漬(醤油漬)、右が高菜の塩漬けのめはり。以前から両者のめはりずしを食べ比べてみたくて、自分ランチ用につくってみた。ごはんは同じ米の全く同じ分量、具は各々茎の部分を刻んで入れた。
漬け方の違いも含め、このような結果に。
せいさい漬(山形産の葉を国産の粗塩、千葉県の醤油を使って漬けた)めはり:葉が厚いため高菜に比べてやや噛み切りにくいが、漬物の風味が濃くて旨味が強い。漬物の味自体で楽しめるので、このサイズなら具はなしでOK。
高菜漬(神奈川県産の葉を国産の粗塩で漬けた)めはり:フレッシュでジューシーな感じ。葉が薄くて噛み切りやすいので食べやすい。一方で旨味がやや薄いため、具を入れるかごはんに何か混ぜ込んだ方が美味しいかも。
高菜漬をつくった時から気になっているのが、葉の薄さが神奈川県産特有なのか?という点。この薄さも美味しいけれど、高菜ってこんなに薄かったっけ…(よく買う市販のはもっと厚い気が)という疑問は残る。
来年、他県産の生高菜がもし買えたら確かめてみたい。