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「加齢と唾液と食事」

何でも実際に経験しないと本当の所は分からないものですが、分からないから適当で良いというのも無責任な気がします。

例えば私は毎日お年寄りを念頭に置いた食事づくりをしているわけですが、知識として知っている事柄が本当にお年寄りにとって良い事なのかどうかは、自分がそこまでの高齢者では無いために分かりません。

分かりませんが、私自身既に若者でもなく、それなりに年齢も重ねていますので若かった頃に比べると随分理解度が上がっているとは思います。

例えば、お年寄りの苦手な食べ物に「乾燥した食べ物」があるのですが、これは加齢と共に唾液の分泌量が減るので、口の中の水分を持って行かれるタイプの食べ物は段々と飲み下しにくくなるからです。

その事を昨年くらいまでは実感として感じた事はなかったのですが、最近唾液の分泌量が減っている事を実感する出来事がありました。

私は就寝中によく口を開けて寝ているようで、目が覚めた時に口の中がカラカラになっている事があるのですが、若い頃なら口を閉じたらすぐに唾液が出てきて元の状態に戻っていました。

それが最近は口を閉じても唾液が出て口の中が潤うのに随分と時間がかかるようになりました。つまりそれだけ唾液の分泌量が減っているのだと思います。

ところでこの「唾液が減る」という事実が、お年寄りの食事全般に大きな影響を与えます。

乾いたものが苦手になるというのは先に記したとおりですが、嚥下にも悪い影響を与えてしまいます。

唾液が出ないと言う事は、口の中で食べ物が中々まとまらない事に繋がります。

人間は食べ物を飲み込む際に、口の中で「食塊(しょっかい)」と呼ばれる塊を作ってから一気に飲み込みます。

これが上手くいかない場合に、食べ物の一部が気管の方に入ってむせてしまうわけです。

むせて咳き込んでしまう原因の一つが食塊が作れない事なわけですが、食塊を作るのに大事なのが唾液だというのは若い人でも理解出来るのではないでしょうか。

嚥下の機能が衰えた方に対してトロミ調整剤を使う事がよくありますが、トロミの付いた液体は口の中に長く留まりますので、唾液の代わりに口の中で食べ物をまとめてくれる役割をしてくれます。

つまり若い人の様に唾液がしっかりと分泌されていれば、トロミ調整剤など使わなくても普通に食事する事が出来ます。

そんな風に考えたら、何もわざわざトロミ調整剤を使わなくても、全体的に水分量の多い、しっとり仕上がった献立にすればお年寄りにも食べやすい食事になる事は、知識として是非知っておいて下さい。

*JEUGIAカルチャーセンター堺タカシマヤ教室
「介護の為の簡単な料理術」はこちら
https://culture.jeugia.co.jp/lesson_detail_65-57188.html

*アゼリアカルチャーカレッジ
健康長寿食を作ろう」講座はこちら


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中嶋洋二郎
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