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「心が疲れた時に読みたい本」3選 FIKAのブックトーク#38

こんにちは、FIKAです。
毎回1つのテーマで数冊の本を紹介しています。

今回のテーマは「心が疲れた時に読みたい本」。
毎日忙しくて心も体もしんどい、そんな時に効く(かもしれない)本を3冊紹介します。




「マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ」古内一絵

心も体も疲れた夜はこんなカフェに行ってみませんか?

そこは23時から開く夜食限定のカフェ。
メニューは「春野菜のキャセロール」「シャンピニオンのサラダ」「かぼちゃのスフレ」「ノンカフェインのジンジャーティー」など、出汁やハーブをきかせたやさしい味の夜食や飲み物。
店内に静かに流れるB.G.Mは、ドビュッシーのピアノ曲やバリ島のガムラン音楽。

店の名は「マカン・マラン」。インドネシア語で「夜の食事」という名前のこのカフェを経営するのはドラァグクイーン(女装の男性)のシャールです。

大手広告代理店で働く女性、男性の中年教師、女性ライター、宅配達員の男性・・・いろんなお客が「マカン・マラン」を訪れます。仕事にプライベートに人生に、少し疲れた彼らはシャールの作った夜食を食べて会話を交わすことで癒され活力を取り戻して日常に戻っていきます。

読んでいると身も心がゆるくほぐれていくような温かい連作小説集です。



「横浜コインランドリー」 泉ゆたか

心も体も疲れた休日は洗濯をしてみませんか?

え?なぜ洗濯?
そんなの疲れた時にしたくないよ~。
せっかくの休みの日はごろごろ寝ていたいよ・・・

ごもっとも。
でも実はこれが結構効くんです。

忙しいと洗濯をつい後回しにしがちで、着る服がなくなったり、汚れが落ちなかったり、生乾きでイヤなにおいがしたり、それでますます自己嫌悪に陥ってしまう・・・

この小説の主人公・茜もまさにそんな感じでした。ブラック企業で心身をすり減らし、退職したものの何もやる気が起きず、絶賛引きこもり中。半月ぶりに洗濯しようとしたら洗濯機が故障、慌てて近所のコインランドリーに駆け込むと、店主の真奈が利用方法を教えるだけでなく「洗濯代行」や「洗濯相談」にも応じてくれました。

久しぶりに洗濯をし、ふわっと乾いた服やシーツを手にした茜は、まるで心の憂さも一緒に洗ってしまったかのようにスッキリした気分になり、その後このコインランドリーで真奈と一緒に働くことになります。

「身も心も疲れ切った人」が「何か」に出会って心機一転する、という話は多いのですが、その「何か」が「洗濯」というのがユニークです。
確かに洗濯すると気持ちがいい!心地いい環境を整えることは、自分を大切にすることに繋がるという真奈の言葉に納得です。



「ひとりの夜にあなたと話したい10のこと」 カシワイ

心がざわざわする夜、泣きたいことがあった夜にはこんな風に過ごしてみませんか?


うれしいことがあった夜は
よく磨いて、宝箱の中に仕舞っておく
いつでも取り出して眺められるように

(中略)

さみしい夜は
遠くのことを考える
たとえば、海のどん底に眠る鯨の骨
たとえば、天の川銀河の一粒の星

(中略)

落ちつかない夜は
いつもと違う場所で眠ってみる

(中略)

眠れない夜は
眠っている生き物のことを考える
曲がり角の家の犬
車の陰で丸まる猫

(中略)

やなことがあった夜は
枕をぽかぽか叩いた後
ごめんと撫でる

(中略)

かなしい夜は
あてもない散歩に出かけてみる(中略)

部屋に戻れば
かなしみは変わらずそこにある
でもこの光の中で
もう少しだけ
生きてみようと
今は思うのだ

本文より抜粋

イラストレーターのカシワイの文章と絵が、あなたの心にそっと寄り添って、明日を生きるささやかなエールを送ってくれます。



以上、3冊の本を紹介しました。
みなさんのお疲れの心に効きますように…

読んでくださってありがとうございました。




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