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「鉄道の本」3選 FIKAのブックトーク#20

こんにちは、FIKAです。
毎回1つのテーマで数冊の本を紹介しています。

今回のテーマは「鉄道」。
10月14日は「鉄道の日」です。
小説、エッセイ、ミステリ…色々ある中から選んだ3冊を紹介します。




「オリエント急行の殺人」         アガサ・クリスティー

「鉄道ミステリ」と言えばこれでしょう!

豪華な国際寝台列車の中で起きた殺人事件。12人の乗客の中に犯人がいるはずなのに全員に強固なアリバイがある。
その謎を名探偵エルキュール・ポアロが鮮やかに解き明かすアガサ・クリスティーの傑作ミステリです。

有名な作品なので結末を知っている人も多いと思いますが、私自身久しぶりに読んでもとても楽しめました。

豪華な国際寝台列車の雰囲気。
一癖も二癖もある乗客たちとポワロが交わす会話の心理的な駆け引き。
秘められた過去の因縁。
そして驚天動地の謎解きもさることながら、物語の幕切れがまた心憎い…

クリスティーの代表作というだけでなくミステリファンなら必読の書だと思います。

ところで、私がこれを初めて読んだのは中学生の頃。地名をよく分かってなくて、タイトルからヨーロッパからオリエントに向かっている列車だろう、と何となく思いこんだまま長年過ごしてきました。
ところが、実際は逆!
トルコのイスタンブールからフランスのカレーに向かっている列車だったのです!

それが再読して一番の驚きだったかも…



アンソロジー「鉄道小説」

「鉄道小説」というと、鉄道がガッツリメインの話を想像しますが、このアンソロジーの作品は単に鉄道に乗る話ではなく、鉄道が背景の一部でありながらストーリーにおいて重要な役割を果たしているというのが面白い。

各小説のタイトルと作者は以下の通り。

「犬馬と鎌ヶ谷大仏」乗代雄介
「ぼくと母の国々」温又柔
「行かなかった遊園地と非心霊写真」
 澤村伊智
「反対方向行き」 滝口悠生
「青森トラム」 能町みね子

目次から

地元の鉄道にまつわる思い出、祖父母と東京の電車の話、幼い日の怪異譚、反対方向の電車に乗ってしまった女性の小さな冒険、新天地で出会った路面電車トラム
しみじみした話、ホラー、ファミリーヒストリーなどバラエティに富んでいて、鉄道の種類も舞台となる土地も様々です。

人生のひとコマにおける「鉄道」を味う「大人の鉄道小説集」をお楽しみ下さい。



「女子と鉄道」 酒井順子

「負け犬の遠吠え」で有名なエッセイストの酒井順子は、実は大の鉄道ファン。
そんな著者が男性とは全く違う視点から綴った「女子鉄」エッセイです。

「女子鉄」とは何か。
一言で言うなら、とにかく「ゆるい」。
鉄道に乗るのは好きだけど、「列車の型に詳しい」とか「全ての路線に乗ってみたい」とか「鉄道写真を撮りたい」という気持ちはほぼゼロ。ただ鉄道に乗れれば満足、車体や車内や構造を見なくても知らなくてもかまわない、うっかり寝こけて窓の外に広がる絶景を見損ねてもまあ良しとする。その「こだわりのなさ」こそが男性の鉄道ファンと全く違う「女子鉄」のあり方だと著者は語ります。

どの路線に乗ったという鉄道旅エッセイだけでなく、「鉄道の制服」「東大と京大の鉄道研究会比較」「Suicaペンギンの魅力」「鉄道での痴漢行為」「東京ステーションホテル滞在記」など、様々な角度から鉄道について考察しているのも「女子鉄」ならではの視点で面白い。

鉄道にあまり興味がない女性はもちろん、男性の鉄道ファンも違う観点で楽しめるユニークで含蓄に富んだ鉄道エッセイです。


以上、3冊の本を紹介しました。
鉄道の本は多くて、紹介したい本がまだまだあるのでいずれまた…

読んで下さってありがとうございました。



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