「謎のタイトルの小説」3選 FIKAのブックトーク#39
こんにちは、FIKAです。
毎回1つのテーマで数冊の本を紹介しています。
今回のテーマは「謎のタイトルの小説」。
タイトルが謎すぎる小説を3冊紹介します。
「六月のぶりぶりぎっちょう」 万城目学
???
なんという奇妙なタイトル!
ぶりぶりぎっちょうとは一体なんぞや??
「ぶりぶりぎっちょう」が何かは、ご自身で読んでもらいたいので説明しません。
そういう物があって、そんな名前で呼ばれていたと言うにとどめておきます。
話の内容も、六月二日に起こった日本史上の大事件をめぐる、歴史とSFとファンタジーがごたまぜになったような展開をする、とだけ言っておきましょう。
…これだけでは本の紹介としてあまりにも不親切なので、もう少し。
この本には表題作の「ぶりぶりぎっちょう」以外に「三月の局騒ぎ」という作品が収録されています。この冒頭がまたヘンです。
・・・謎の文章ですよね。
昔「にょご」だったという女性が、京都での大学時代に住んでいた古い女子寮での思い出を語ります。その寮には寮生を「にょご」と呼ぶなど不思議なしきたりが色々あったのですが、何より忘れがたいのは謎の先輩「キヨ」だった、という話で…
「ぶりぶりぎっちょう」も「にょご」も、京都ではこういうことが起こるかも…と感じさせるリアルなホラ話感がたまりません!万城目学ワールドの真骨頂をお楽しみください。
「令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法」 新川帆立
…これまた不思議なタイトルですね。小説の題名というよりは、法律の名前みたい。
その印象はあながち間違ってはいません。
この作品は、令和ならぬ架空の「レイワ」・・・「礼和」「麗和」「冷和」「隷和」「零和」「例和」に制定された架空の法律の下で起こる様々な事件やドラマを描いたパラレルワールド・リーガル短編集です。
礼和四年の「動物福祉法」によって極端な動物の権利が認められたり、麗和六年の通称「どぶろく六法」によっておいしい自家醸造の酒を造ることが女性のたしなみとして奨励されたり、冷和二十五年の通称「南極議定書」をきっかけに南極がバーチャル世界の「メタティカ共和国」として独立したり…
元弁護士の作者が描く架空の「レイワ」のドタバタ悲喜劇は、まるで現実の日本を見ているかのようなリアル感があると同時に今の社会への辛辣なメッセージにもなっています。
私たちの「レイワ」の明日はどっちだ?
「地雷グリコ」 青崎有吾
「グリコ」ってキャラメルのこと?
それとも、ジャンケンで「グ・リ・コ」と言って進むアレのこと?
正解は後者です!
勝負事にやたら強い女子高生・射守矢真兎が挑む風変わりなゲームの数々を描く本格頭脳バトル小説です。
その内容は「グリコ」「坊主めくり」「ジャンケン」「だるまさんがころんだ」「ポーカー」…
え?ちょっと待って。
ポーカーはともかく、これらのどこが「本格頭脳バトル」なの?誰でもできる子どもの遊びでしょ?
そう思ったあなた、ごもっとも。
…もしもそのままならば。
ところが、ここに登場人物たちが独自のルールを加えることで、子どもの遊びが驚くほど複雑なロジックと心理的駆け引きを要する高度なゲームに変貌するんです!
特異なゲームの才能を持った真兎が、これまた勝負巧者なライバルを相手にハイレベルな戦いを繰り広げます。
意外なゲームの攻略法とドキドキする勝負の展開、あっと驚く結果は、まるで推理小説の見事な謎解きを見ているようでしびれます。
それと同時に、なぜ真兎はこれらのバトルに全身全霊で挑むのか、その理由が明らかになるラストも素晴らしい青春小説でした。
以上、3冊の本を紹介しました。
タイトルの謎が解けるとスッキリします!
みなさんもぜひこの快感を味わってください。
読んでくださってありがとうございました。