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「わかりあえない夫婦の小説」3選 FIKAのブックトーク#36

こんにちは、FIKAです。
毎回1つのテーマで数冊の本を紹介しています。

今回のテーマは「わかりあえない夫婦」。
今日11月22日は「いい夫婦の日」なのですが、わかりあえずにすれ違う夫婦の小説を3冊選んでみました。(そっちの方がいっぱいあるんですよね…)




「ロウ・アンド・ロウ」 村山由佳

すれ違う夫婦の心をそれぞれの視点でリアルに描く小説です。

広告代理店に勤める43歳の涼子と、3歳年下で美容師の孝之は結婚して13年。お互いにうっすらした不満を抱えつつ表面的には穏やかな日々を過ごしていました。
ところが、20代の美登利が美容院のアシスタントになってから夫婦の微妙なバランスが崩れていきます。

美登利と関係を持ちながら、涼子とは別れたくない孝之。
涼子は二人の関係を察しているものの、今の生活を壊したくなくて見て見ぬふりをして…

性格もライフスタイルも価値観も違いすぎる夫婦それぞれの視点で、相手に対する不満と手放したくない打算的な気持ちがどこまでも詳細に描かれます。

どちらの言い分にも一理あるとは思うのですが…夫婦の実態なんてこんなものなんでしょうか?

ぐだぐだの夫婦関係に決着をつける事件がクライマックスで起こります。
この夫婦はどうなったでしょう?
一言で言えば、女はやっぱり強かった…



「きときと夫婦旅」 椰月美智子

この小説も「ロウ・アンド・ロウ」同様、結婚して十数年たった夫婦の心情をそれぞれの視点で描いているのですが、作風はかなりコミカルです。

範太郎とみゆきには中三になる息子がいるのですが、このすばるが突然家出します。行先は友達がいる富山県の氷見市。二人は慌てて連れ戻しに行きますが、昴はまだ帰りたくないと言い張り、仕方なく夫婦は数日間富山に滞在することになりました。

日頃から会話もなくお互いへの不満が積もっている倦怠期の夫婦に突然訪れた二人きりの時間…

これがまあ、たいへん。

みゆきは、息子が家出をするほど家が嫌だったなんて全然気づかなかった、自分は母親失格ではないかと悩みます。
それに対して、範太郎はのんきなもの。鉄オタなので鉄道王国富山に大はしゃぎ。あの電車に乗りたい、この名物も食べてみたい、息子のことはまあ何とかなるだろう、それより旅行なんて久しぶりで嬉しい。
なのになぜ妻はこんなに不機嫌なのか…?

倦怠期夫婦の二泊三日の旅の顛末はいかに?
富山の紀行小説としても面白いですよ。



「娘が巣立つ朝」 伊吹有喜

ひとり娘の婚約が決まり、これで一安心…と思いきや、それをきっかけに揺らいでいく夫婦の姿を描いた小説です。

真奈の婚約者の優吾はセレブな家庭で育ち親族もクセが強くて、真奈は付き合い方に苦労します。さらに優吾ともお金や将来のことで意見が衝突したり、言いたいことを我慢する日が続いてしんどい思いをしています。

この結婚で娘は幸せになれるのか。
心配する健一と智子の夫婦も、意見が対立するうちに波風が立ち始めます。これまで見て見ぬふりをしてきた心のすれ違いが露わになってきたのです。

どうして夫はいつも私には不機嫌なのか。
どうして妻は自分を理解してくれないのか。

趣味も合わない、行動も共にしない、お互いへの気遣いもときめきもない、そんな相手とこの先ずっと一緒にいる意味があるのか…?

健一は趣味のギターを再開し、知り合った音楽仲間の女性との交流に楽しさと安らぎを見出します。
智子は着付け教室の講師として今まで以上に忙しく働き、仕事にやりがいと手ごたえを感じます。

家庭以外の居場所を見つけてしまった健一と智子の夫婦はどうなっていくのでしょう?
格差婚の現実を目の当たりにした真奈はどういう選択をするのでしょう?

それぞれのカップルが出した答えをぜひ読んでみてください。



以上、3冊の本を紹介しました。
いろんな夫婦がいて、いろんな結婚生活がありますよね…

読んでくださってありがとうございました。





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