見出し画像

ご高齢者の転倒事故について叫びたいこと。


「上手に転べーーーーーー!!」


私が高齢者の転倒事故に対して
思うことはこれしかありません。

人は必ず転びます。

高齢者になると、その確率は大幅に高くなります。というよりも…転ばない高齢者はいないです。

だって、何十年と使い続けてきた体ですから。
これまで一生懸命身を削ってきて
生きてこられた方々ですから。
足の骨だって、筋肉だって
すり減っていておかしくない、
というかそうでなければ怖い!逆に!

どんなに自立しても
どんなにリハビリを頑張っていても
どーーんなに気をつけていても

転びます。
転ぶ日は必ず来ます。

それが衰えだと、私は思います。
だけどそれは自然の成り行き。
それに逆らおうとする必要はないのではと思います。

だから、せめて一言言わせてください。
「転ぶ時はうま〜く転ぶこと」

上手い転び方とは 
まずとにかく頭を守ること。
手の骨、足の骨は最悪諦めても
仕方がないです。

だけど頭は必ず守って欲しいです。
頭…脳に損傷を受けたら、
手足の骨折よりも深い苦しみを
背負うことになります。

全身、または半身が思うように
動かなくなる麻痺。

伝えたいことが伝えられない、
または相手の言うことが理解できない
言語障害など。

最悪な場合、死もあり得ます。

特に高齢者ならなおさらです。

脳に損傷を受けてしまうと、
怪我をしたその人はもちろん、周りのご家族様、そして私たち職員である介護者もとても悲しい気持ちになります。

だから、どうか皆さん。
若い人たちも、そして私も。
高齢者の方は特に!

転ぶ時は先に地面に打ちつける部位は
頭以外を目指しましょう…!
頭はしっかり守ることを意識しましょう…!


事故報告書について

施設では転倒事故が起きたら、
「事故報告書」を作成しますが、
これは上手く施設内で話し合っておかないと
ハチャメチャなことになるので
注意が必要です。 

転倒事故が多ければ多いほど
事故報告書は確かに多くなります。

これが、介助中の事故であれば改善の余地があります。また、環境の工夫がまだできる段階であれば、改善はできます。

だけど、利用者様の身体的機能低下の問題で
起こっている転倒事故であれば
手の尽くしようがないんです。

ちなみに、環境の工夫といっても、ご家族様や施設の金銭的問題や部屋の構造的問題で、どうしても限界が来ます。

その上で事故の対策でできることとなると…
改善点は
リハビリを増やすとか、
身体機能向上に向けたリハビリを実施する。
日中は常に職員のいるフロアにいてもらう。また、夜間は巡視時間を増やすなどしかありません。

でも、それって何だか縛りが多くて
利用者様の立場になって考えると、
監獄のような自由のない生活みたいで…
私はあまり良い方法ではないように
感じるのです。

事故報告書としてはこういう書き方で
良いんですけどね…。


転倒事故0って目標が理解できない。

有料老人ホームで多いのですが、
介護をよく知らない本社から
「転倒事故を0を目指しましょう!!」
とよくわからない目標をぼんっと、
そのまま介護士に投げてくることがあります。

ああいうの本当にやめてほしい。

「転倒事故0」って、何が目的なんだろう。

「怪我をさせないため」とか簡単に言うけれど、その怪我をさせない相手は、身体が衰えている。絶対にこの先も転ぶリスクは高い。

「転倒事故0」という言葉は自然な身体機能の衰えに反している考えだと思います。

また、「転倒事故0」の目的には
「事後報告書」を0にするという目標も隠れています。
「事故報告書」は転倒事故、誤薬、金銭的トラブル、他利用者様の部屋に誤って入ってしまったなど…。

極簡素に、大まかに言えば
ご利用者様の身に危険が生じたときに
書くものです。


転倒事故で多いのは意外と
外傷、痛みなしのものが多いです。
「軽く尻もちついちゃった〜」
くらいのものでしょうか。

だけどそれでも「事故報告書」は書きます。
もちろんご家族様にも連絡を入れます。

転んだ時に痛みや外傷がなくても、時間が経過して突然悪化することもあるからです。
「万が一に備える」その心を持って
私は「事故報告書」を書いています。

また、それで「あざができている」場合であれば、介護者側が虐待をしたという可能性をなくすために書いているとも言えます。

決して「転倒事故0」にする目的で
事故報告書を挙げているわけではありません。

だけど、介護経験のない本社の人たちは
「事故報告書」はただ単純に「ダメなもの」と考えて0にしようとします。

「ダメなもの」ではなく、備え。
ご利用者様の体を守るもの。
私たち介護者側を守るもの。

本社の人たちには、その考えを持って
改めて目標を提示してほしいと願います。

そして、変な目標や目的を
介護士に向けないでほしい!!
掲げるのは簡単だけど、
実践する方は大変なんですよ!!

それを重々わかってほしいものです。


長々と語ってしまいましたが、
これが私の転倒事故に対しての強い気持ちです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?