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夕暮れに 花を見んとて メロスは走る?―今日のお花たち その41


Ⅰ みずほエコパーク、六道山公園展望塔、耕心館を巡る

 この時期、日の入りが日々早くなっていく。31日の日の入りは16時47分だという。夕方、電動自転車を全力でこいで、瑞穂町に向かう。六道山公園展望塔、みずほエコパーク、耕心館に行きたいが、前の二つは16時半には閉まってしまう。日が沈んでしまえば、耕心館の庭のお花も暗くてよく見えなくなる。時間との戦いである。

 まずは、みずほエコパークへ。秋の七草のひとつ、フジバカマが咲いていた。ほかのお花は咲いていないみたい。

 続いて、六道山公園展望塔へ。入口のベンチに年配の方が座っている。多分、時間になったら鍵を閉める係の方なんだろう。展望塔からは、ぼんやりだけれど、富士山が見える。

 丹沢方面も見えている。一番高いのは、蛭ヶ岳(ひるがたけ)。

 

 大山も。自宅からや高尾山から見える景色とそれほど大差はないけれど。

 雲のヴェールをかぶった太陽は、もうすぐ沈むところ。

 雲の色合いが面白いので撮る。飛行機が飛んだ後かなあ。

 こういう雲も、秋らしくて好き。うろこ雲っていうのかな。いやちょっと違う?

 写真を撮っていると、誰か上がって来る。鍵を閉める係の方かと思ったら、サラリーマン風の男性だった。歓声を上げながら、写真を撮り始めた。私は耕心館に行くために、退散する。
 展望塔を下りたところにある木には、つやつやの赤い実がなっていた。ガマズミかな?

 日没直前になんとか、耕心館にたどり着く。ベニバナヤマシャクヤクの実が割れて、赤と黒の種子が見えている。黒い方が結実するそう。

 耕心館のブログで紹介されていた、キイジョウロウホトトギスは、盛り。房になって下向きに花がついているのが面白い。開いたお顔をこちらに見せてくれない恥ずかしがり屋さんだ。

 ササリンドウというのも咲いていた。

 終わりかけのマユハケオモト。

 鉢植えのハシカンボクというのは、白くて清楚なお花だ。

 センリョウがもう実をつけている。お金が貯まりますように。

 葉の裏が赤い、ウラベニシュウカイドウの白花も。ひと月も前に来たときに咲いていたから、花期が長いなあ。

 ツルニンジンの花も見たかったけれど、こちらは残念ながら終わってしまっていた。これから見られる花は、ボランティアさんが鉢植えを持って来てくれるダイモンジソウぐらいだろうか。

 耕心館の建物の中では、阿部信行さんという方の、手描き友禅の作品展をやっている。昨年、訪れたときにもたまたまやっていて、風景画のような染め物にびっくりした。体験講座もあるから一度やってみたいけれど、私は不器用だからキビシイかな、と思う。

11月4日まで開催
明日香
風渡る

 こちらは生徒さんの作品。阿部さんの下絵があって、それに合わせて色を入れていくのだと思う。

 

 会場にはお花も飾ってあって、染め物とマッチしていた。シュウカイドウにホトトギス、キクの一種かな。

 染め物を見て外に出ると、日はとっぷり暮れて、真っ暗だ。冷えてきたので、綿のジャンバーの上からユニクロのペラペラしたジャンバーを羽織り、また自転車を走らせる。

Ⅱ ハロウィンに思う


 帰り道では、お母さんに連れられた子供たちがマントを羽織って、ランタンを持って歩いている。ハロウィンだから、お菓子をもらいに行くんだろう。すっかりハロウィン仕様の飲食店もある。私の子供の頃は、ハロウィンを祝うなんて習慣はなかったけれど、いつの間にかクリスマス並みに定着したなあと思う。
 古代ケルトとは何の関係もないのにジャック・オ・ランタンを飾って、魔女に仮装したりしてハロウィンを祝う。キリスト教とは縁もゆかりも無いのに、キリストの誕生を祝ってクリスマスツリーを飾り、ケーキを食べる。日本人とは面白い民族だなあと思う。

 外国人が多くやって来るだろう飲食店は、すっかりハロウィン仕様だった。

Ⅲ 太宰治『走れメロス』に思う

 みなさんご存じ、太宰治の『走れメロス』の主人公は、王の怒りを買い、死刑が決定するが、妹の結婚式を執り行なうために3日間の猶予を願う。メロスは親友を人質にして、3日目の日暮れまでに城に戻って来ようと必死で走る。 
 メロスは亡き両親に代わって妹の結婚式を執り行なう。親友のセリヌンティウスは、人質になることで、メロスに代わって磔にされるかもしれないというリスクを冒す。メロスもセリヌンティウスも、誰かに代わって自己犠牲を払うことで、無償の愛を示す存在である。つまり、太宰の憧れでもあったイエスのごとき存在なのだ。

 一方、私はといえば、日暮れまでに間に合わせようと電動自転車を走らせたけれど、単に花を見たいという自分の欲求を満足させるのが目的だった。他者に対する無償の愛ゆえに自分の足で走るのではなく、自らのエゴゆえに文明の利器を用いて走ったのだ。
 小説のメロスと違い身勝手な、現代のメロスは、目的を達成して、大満足で帰宅しましたとさ。


 最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。

 みずほエコパークの11月の開園時間は、6時30分〜16時です。
 六道山公園展望塔の11月の開放時間は、9時〜16時です。
耕心館の開館時間は、10時〜21時です。11月は、10日と18日が休館です。

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