大西小西

「地方銀行に就職するぞ(したぞ)!」 そんな方々にいろいろ伝えたい。書籍📚▼ 地方銀行…

大西小西

「地方銀行に就職するぞ(したぞ)!」 そんな方々にいろいろ伝えたい。書籍📚▼ 地方銀行を目指す若者たちへ~知っておきたい現実~ https://amzn.asia/d/81bvZ06 もうすぐ勤続20年…良いのか悪いのか

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  • 第一部「地方銀行指導部〜田舎エリートの選民意識」

    私小説「地方銀行指導部〜田舎エリートの選民意識」 2024.6より連載を開始(第一部完結)

最近の記事

地方銀行指導部〜田舎エリートたちの選民意識〜第七話

- 終わらない階段 リストアップされていた行員たちを出身大学や現在の所属部店、係を考慮して班分けを行う。 同じ班に組み込まれる行員同士になるべく接点や共通点がないようにひとりひとりの経歴を確認していく。 互いにまったく面識がないなかで、どのような振る舞いを見せるのか。 すぐに打ち解ける者もいれば、なかなかなじめない者もいる。 研修とは言え、そのようなことからも評価されていく。 もちろん、ただのお調子者もなかには混じっているし、人付き合いが苦手に見えて優秀な者もいる。 そこ

    • 地方銀行指導部〜田舎エリートたちの選民意識〜第六話

      ー 異例の事態「話はわかった。まぁ、あの感じだと先に進まないだろう。」 成功させたい一心で頭を下げた甲斐があったのかもしれない。 「資料の準備はできているのか?」 はい。と答える。 「わかった。ともかく、朝礼で全員に時間をくれるように頼んでみることだ。」 伝票をサッと取り、グループ長はレジへ向かった。 慌てて、後ろを追う。 朝七時前。 グループ長が降車する駅で待ち構え、なんとか時間をもらった。 私を見つけたとき、驚いたような、迷惑そうな、それでいて哀れむ目をしていた。

      • 地方銀行指導部〜田舎エリートたちの選民意識〜第五話

        ー 沼の淵 煙草が吸いたい。 と、久しぶりに思った。 やめて十年くらいか。 昔、懇意にしていたプレス加工業を営む取引先の社長と賭けをした。 どちらが長く禁煙していられるか。 社長室のテーブルで向かい合い、お互いに煙草をくゆらせながら、笑いあっていた或る日を思い出していた。 結局、意地を張り通りした私はそのまま禁煙を続けている。 新しい職場に赴任して、まだ四日目だというのに、営業現場での日々がこんなにも懐かしく感じられるとは。 転勤や新しい仕事に取り組むことなど、とっくに

        • 地方銀行指導部〜田舎エリートたちの選民意識〜第四話

          ー 真意銀行のPCは基本的に許可されたデバイスしか接続できない。 もし、それ以外のデバイスを接続してしまうと、直ちに管理部署が感知し、当人および所属部店のセキュリティー責任者へ連絡が入り、厳重注意および顛末書の提出が言い渡される。 もちろん、情報漏洩やサイバー攻撃を未然に防ぐための措置である。 二〇時退行になったとは言え、仕事量が減ったわけではない。しかし、今日は夜の勉強会などはなく、全員が帰り支度を始めている。 いったいどのように仕事をこなしているのか。 見て盗め、か

        地方銀行指導部〜田舎エリートたちの選民意識〜第七話

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        • 第一部「地方銀行指導部〜田舎エリートの選民意識」
          7本

        記事

          地方銀行指導部〜田舎エリートたちの選民意識〜第三話

          ー 本部か否か執務室のフロアの端に、本部には似つかわしくない営業店の金庫室のような部屋があった。 コンクリートの壁に窓はなく、非常口のような金属製のドアが一つ。 現代的なオフィスに突如現れるそれは、あきらかに異質な存在だった。 中に入ると、八畳ほどの空間があり、会議用テーブルとパイプ椅子が八つ据えられている。 古い壁掛け時計と薄汚れたホワイトボード、年代物の扇風機が二台あるだけの殺風景な会議室だった。 両端にグループ長と次長、残りの六人は三名ずつにわかれて着席する。 狭

          地方銀行指導部〜田舎エリートたちの選民意識〜第三話

          地方銀行指導部〜田舎エリートたちの選民意識〜第二話

          第一話はこちら▼ ー 受け継がれた文化ここでは、原則、毎週月曜日と木曜日に会議が開かれる。それぞれ月曜会と木曜会と呼ばれていた。 その会議の場で、自身が担当する研修の内容を諮り、全員の同意を得なければならない。 研修の目的に照らして、どの年次からどのような行員を選ぶのか。メンターが必要か否か。 講師はどうするか、内容・ボリュームを鑑みて半日研修なのか終日なのか、食事の有無や内容はどうか、予算は適当なのか。 そして"指導部"の面々になにをやらせるのか。 ようやく、企画が通

          地方銀行指導部〜田舎エリートたちの選民意識〜第二話

          地方銀行指導部〜田舎エリートたちの選民意識〜第一話

          ー あらすじ地方銀行に就職し、銀行の業務に邁進する日々。 エリートととは程遠い立場から、一心不乱に仕事に打ち込み数字をあげ続け、ついに出世コースと呼ばれる本部部署に配属される。 不夜城といわれる配属先で私は今まで経験したことのない悪意を一身にうけることになる… 地方銀行の内部事情と会社員の悲哀が垣間見える物語である。 ー プロローグ突然だが、私がパワーハラスメントに伴う長時間労働のために、過労で倒れ、うつ病を患ったことを拙著を読んでいただいた方は、ご存じだと思う。 私の

          地方銀行指導部〜田舎エリートたちの選民意識〜第一話

          はじめての融資業務に戸惑う悩む

          自身の担当先について、どのくらい知識がありますか?あなたは以下の質問にスラスラ答えることができますか? 「この会社って、なにしてるの?」 「創業何年なの?」 「ずっと同じ業態?」 「資金需要は?調達どうしているの?」 「社長とは、どんな人?面談してる?」 「社長は何に困ってる?」 「社長は今後、会社をどうしたいのかな?」etc.. 私自身が初めて融資担当者になり1ヶ月経過したころ、支店長から既存担当先に上記の質問を投げかけられました。 私はしどろもどろ。必死に資料をめくり

          はじめての融資業務に戸惑う悩む

          地方銀行に就職する前に読むnote

          この業界について、いや、この地方銀行という組織で働く人々の内情を紹介した読み物を見たことがなかった。 よく知った上でポジティブに飛び込んできてほしいし、嫌だなと思ったらやめておくのもいい。 本記事は地方銀行に就職が決定しているもしくは希望している方に向けて書いた。 既に入行した若手行員の皆さんのお役にもたてるだろう。 私は20年ちかく、地方都市の地銀に勤務する銀行員だ。 本部および支店勤務を経験、他行との交流を経て、職場で受けたハラスメントおよび長時間労働による過労で倒れ

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          地方銀行に就職する前に読むnote

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          僕は何者なのか?

          こんにちは。「大西小西(オオニシコニシ)」です。 15年以上前に地方都市の第一地銀に就職しました。 ひょんなことから他の地銀の方々とも交流を持つことができました。 地銀は地銀。どこまでいっても‥地銀なんだ 小規模支店に配属の後、県内外の支店を回り、本部勤務を経て、今は銀行の外部へ。 ハラスメントを一因とする超長時間労働により心身を壊してしまいうつ病と診断され一時期休職。 一心不乱に働いた銀行員生活と人生が狂ってしまったと、一時期は怒りと悲しみ、挫折・敗北感に打ちひしがれ

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