【読書日記】#今こそ読みたい神マンガ 「夜明けの図書館」を読む 埜納タオ 双葉社
私は3つの図書館を日常的に利用しています。それぞれの図書館は、それぞれに個性があり、使い分けをし、本との快適な時間と空間を体験しています。
そんな図書館好きな私の#今こそ読みたい神マンガは「夜明けの図書館」です。
このマンガとの出会いも図書館でした。その図書館では、「図書館お助け隊」と呼ばれるボランティアの方が、図書館の本を紹介するPOPの作成をしておられます。そのPOPを見たのがきっかけでした。
POPによると、図書館のレファレンスサービスがテーマで新米図書館司書の話らしい。図書館というテーマも珍しいのに、その中でもレファレンスサービスというあまり知られていない分野に特化したマンガとは、どんなのだろう、と思いました。本棚には6巻まで置かれており、試しに第1巻だけを借りました。一気読みしてしまい、続きを借りようと図書館へ行ったところ、すでに貸出中。すぐに予約をし、読み切ったという次第です。
出版社のHPで夜明けの図書館を紹介されています。詳しくはこちらをご覧ください。
私視点での「夜明けの図書館」について書かせていただきます。
この本を通して様々な人に出会える
1巻に4つのエピソードで読みやすい
知らず知らずのうちに社会学を学んでいるような気になる
小さなテーマだが、広がりと奥がある内容である
図書館がもっと好きになる
この本を通して様々な人に出会える
この本には、実に様々な人が出てきます。新米図書館司書の葵さんが出会う人たちの中には、図書館に足が向かない人もいました。葵さん自身も、「へえ、このような人もおられるんだ」という発見をしたこともありました。出会う人たち皆さんが身近であったり、実際に接したことはないけれども「いそうだな」と思ったりできる人たちなので、私自身もイメージしやすく、様々な人に出会えた気分になりました。
1巻に4つのエピソードで読みやすい
一つのエピソードが適度な長さで描かれています。私は普段マンガを読むことはなく、読み慣れていませんが、とても読みやすかったです。起承転結がコンパクトにまとめられていて、十分読み応えがあり、満足感がありました。1巻に4つのエピソードなので、1巻で少なくとも4人の人に出会い、経験を享受できるのです。
知らず知らずのうちに社会学を学んでいるような気になる
”この本を通して様々な人に出会える”の項目にも書かせていただきましたが、実にいろいろな人が普遍的なテーマで描かれています。
・年老いた人
・子ども
・専業主夫
・読み書き障害のある子ども
・外国がルーツの子ども
など
色々なジェネレーション、マイノリティ、多文化、ジェンダー、偏見、人との交流について教えてくれるエピソードであり、登場人物であります。
小さなテーマだが、広がりと奥がある内容である
「図書館のレファレンスサービス」というあまり知られていない小さなテーマです。しかし、このサービスは図書館司書の力量が大いに発揮される、とても重要なものです。「この本はどこにありますか」から始まり、「このことについて知りたいのですが、本を教えてください」、「昔のこの写真はどこの風景なのか、知りたい」など、その内容も様々です。この本のエピソードにもあったように、レファレンスサービスを利用することで、物事の考え方が変わり、それからの生き方にも変化を及ぼすということもあります。そのようなことを、さらりと、やんわりと描かれ、奥が深い本だなあと思いました。
図書館がもっと好きになる
この本を読む人は、もともと図書館が好きな方が多いと思います。私もそうです。この本では、スタッフの雇用状態、蔵書点検の様子、役割分担などもわかりやすく描かれおり、図書館の裏側を知ることができました。また、図書館が、人との交流、市民との相互理解を目指しているという気合を感じることができました。図書館に対し、より親しみを感じましたし、より好きになりました。
しかし、図書館をあまり利用しない方にもおすすめです。ぜひ、騙されたと思って、読んでいただきたいです。きっと「図書館っていいかも」「図書館に行ってみようかな」という気持ちになります。
最後になりましたが、一つ紹介です。
著者の埜納さんが本の構想を練る時に、「現実は甘くないけど、理想の図書館を描こう」と考えられたそうです。今の図書館を知り、これからの図書館を見通す、そんなことができる、良い本です。