春樹節全開の超短編集
【基本情報】
【感想】
私は村上春樹作品がすごく好きです。
なので長編や短編もほぼ読んでいます。
(最近のは読めてませんが…)
本作はイラストレーターの安西水丸さんの
可愛いイラスト付き。
シュールだったり
ほっこりする話だったり
癖の強いキャラクターが出てきたり
実体験っぽい話があったりなど
幅広い作風のお話が収録されています。
【印象に残ったキャラクター】
オガミドリさん
オガミドリさんはあだ名で
本名は鳥山恭子さんというそうです。
丁寧な対応と礼儀正しい敬語を使うので
周囲から高く評価されているオガミドリさん。
しかし「僕」だけは
オガミドリさんのある秘密を知っています。
どんな秘密なのかというと…
渡辺昇(わたなべのぼる)
名前の由来は
本書のイラストを手がけている
安西水丸(あんざいみずまる)さんの本名。
ある時は鉛筆削りのコレクター
またある時はこたつのコレクター
…とマニアックな趣味を持っています。
でも誰かを取り違えてしまう
慌てん坊さんな一面も持っています。
インド屋さん
短編「インド屋さん」のキャラクター。
妙にインパクトが強いんですよねえ。
【印象に残ったエピソード】
コロッケ
仕事をしている「僕」の所へ
「お歳暮」だという女の子がやってくるお話。
何だか青年漫画っぽい。
うなぎ
長編小説『ねじまき鳥クロニクル』の
ヒロインの1人・笠原メイが登場するお話。
笠原メイから電話がかかってきた時の
眠りから覚める「僕」のシーンの
文章がすごく好きです。
ビール
オガミドリさんが登場するお話。
礼儀正しく敬語を使いこなす
オガミドリさん。
しかし彼女には
酔っ払うと言葉遣いが乱暴になるという
裏の顔があったのです。
その時の様子がこちら↓
もちろん
ばちばちに聞こえてますよオガミドリさん!
その後
電話をかけた「僕」が
電話を切ったのは言うまでもありません。
グッド・ニュース
このお話は
ニュースの内容を締めくくるセリフの
ブラックジョークが効いていて好きです。
見方を変えれば
まさに「悪いニュースはなし」ですね。
もしょもしょ
関西弁が癖になるお話。
個人的に
「くりゃくりゃ」が一体何なのか
気になります(笑)。
夜中の汽笛について、あるいは物語の効用について
ラストのお話。一番好きです。
ある男の子と女の子がいて
女の子が男の子に
「あなたはどれくらい私のことを好き?」
と尋ねます。
男の子は女の子に
「夜中の汽笛くらい」と答えます。
こんなふうに
誰かに想われていたら
すごくステキだなあと思います。