「野のへらぶな」釣りを始めるための道具(第2回)
今回は、前回に引き続き「野のへらぶな」釣りを始めるための道具についてお話します。前回の内容は以下の通りです。
お財布に優しい超初心者用へらぶな釣り道具
「へらぶな釣りにちょっとだけ興味があるけど、まだ本格的に始めるか分からないから、とりあえず自宅から近い場所にある川や沼に行って、どんな感じか試してみようか。でも、月のお小遣いもこの数年上げて貰えていないし、最初から大金を使って道具を買うのは抵抗があるなぁ。」
そんな人がへらぶな釣りをスタートするための最低限の道具のお話の後半です。なお、一部を除き、全て新品で購入した場合を想定しています。(勿論、物によっては家にあるもので代用も可能です。)
へらぶな釣り道具リスト(最小限のもの)
第2回紹介内容
ハリはずし
ハサミ(水に濡れても大丈夫なもの)
バケツ(紐付きが便利)
プラスチック計量カップ(目盛りが付いているもの)
エサボウル
柄付き玉網
折り畳みコンパクトチェア
タオル(汚れても良いもの)
ビニール袋(濡れ物や汚れものを入れるため(スーパーでもらえる持ち手のあるビニール袋でOK))
釣り竿以外の道具一式が入る大きさのバッグやデイパック
1.ハリはずし
ハリはずしは、魚がハリに付けたエサを飲み込んでしまい、喉の奥に掛かってしまった際に、そのハリを外すために使う道具です。へらぶな釣りでは、ハリが魚の上唇の中央に掛かった状態で釣りあげられるのが理想です。
そのような理想的なハリ掛かりをしている場合は、親指と人差し指でハリをつまんでハリの曲がりに沿ってクルっと回して先端部分を抜いてあげれば、簡単に外せます。(へらぶな釣り用のハリは、海釣り用のハリや他の淡水魚用のハリと違って一度掛かったハリが口から外れないようにする「カエシ」というかぎ状の構造になっていないからです。)
ところが、魚がハリを飲み込んでしまい、喉の奥にハリが掛かってしまった場合、指を口の中に入れて取り出すことが出来ないので、専用の道具が必要となるわけです。
ハリはずしには様々な種類がありますが、最も安価なものは、他の魚の場合でも良く使う、ハリはずし全体が金属でできているものです。
例として、以下の3本セットの場合(私も最初はこれを買いました)ですと、釣れた魚の大きさによって使うサイズを選んでいました。
このタイプのハリ外しの場合は、へらぶなを釣り上げて後ほどお話する玉網ですくって手元に魚を置き、ハリスを軽く引っ張りピンと張った状態でハリはずしの丸く空いている部分にハリスが入った状態でハリの場所まで滑らせ、ハリを軽く後ろに押すと、喉の内側の肉からハリが外れます。
一方、へらぶな釣りに慣れた人達や、玉網に魚を入れず、水面から魚が顔を出した状態でハリを外してリリースする人達は、自分が座っている位置より
水面が数十cm下にある状態でハリはずしを魚の口に入れてハリを外す必要があるため、へらぶな釣り専用の、持ち手の長いハリはずしを使います。
こちらはちょっと値段がお高くなってしまいますが、使い勝手は圧倒的に良いので参考までに載せておきます。以下の商品ですと、40cmの他に、長さが30cm~60cmまで10cm刻みでラインナップがあるようです。ちなみに私は現在、この40cm物を使っています。
2.ハサミ(水に濡れても大丈夫なもの)
他の魚を釣る場合と同じように、へらぶな釣りでも小物の道具としてハサミを使います。用途は以下の通りです。
仕掛けを作る時に道糸やハリスを必要な長さで切る場合
板オモリをウレタンチューブに巻く際、オモリの端の部分をハサミの刃に沿わせて丸くカールさせ、円形のチューブに巻き付けやすくする場合
釣りをしている間、ハリスが切れてしまった場合に新しいハリの付いているハリスに交換する場合のハリスの端部処理の場合
釣りをしている間、ハリスの長さを変えたい時に必要な長さでハリスを切る場合
へら浮きのトップの位置調整に使う「トンボ(木綿糸を道糸に結びつけて作る目印)」の端部処理の場合
このハサミは、水に濡れたり、時には誤って水の中に落としてしまうこともありますので、釣り専用の錆びにくいステンレス製の物、更には万一誤って水に落としてしまっても無くさないように、落下防止用のコード付きの物がおすすめです。以下の写真は私の持っているハサミですが、コードは別売りのものを買って付けました。ただ、コードだけでも数百円しますので、はじめからコード付きのものを購入するのも良いかもしれません。
3.バケツ(紐付きが便利)
バケツは、釣り場でエサ作り、手やタオルを洗うための水を汲む際に使います。水を汲む時に、自分が座っている位置と水面までの高さがある護岸や、足場が悪く、手を伸ばしてもバケツが水面まで届かない場合があります。
そのような時に、無理な態勢で水を汲もうとして川や沼に転落してしまうリスクを回避するために、紐の付いたバケツを用意しておくと、安全に水を汲むことが出来ます。以下のような市販品のでなくても、家にバケツがあり、2m程度の長さの丈夫なひもがあれば、最小限のコストで代用も可能です。
4.プラスチック計量カップ(目盛りが付いているもの)
へらぶな釣りでは、エサとして練り餌という粉末のエサを状況に応じて何種類か配合し、それに釣り場の川や沼で汲んだ水を入れて混ぜ、練ったものをハリに付けて釣りをします。このエサ作りにおいて、それぞれのエサをどのくらいの量の割合で配合するかがエサの入った袋に書いてあります。この量を正確に測るため、プラスチック製の計量カップを使います。
へらぶな釣り専用の計量カップには、以下の写真のように、200ml、100ml、50ml、30mlのカップがセットになって売っていたり、最近ですと、エサの粉末で手が汚れないように、取っ手付きのものも売られています。
5.エサボウル
複数の種類のエサを混ぜ合わせるために、エサボウルを使います。エサメーカーや釣り具メーカーが売っているものもありますが、ブランド品は高いです。しょせんはエサの粉末と水を合わせて混ぜられればいいものですので、余程ブランド名に拘りがある場合以外は、ぶっちゃけ100円ショップのプラスチック製洗面器や植木鉢の下に敷くプラスチック製の皿で全く問題ありません。(私はまさに、100円ショップの洗面器と植木鉢下用の皿を使っていて、何の不都合もありません。)
エサボウルの使い分けですが、大きいものは、お麩でできているエサを複数種類混ぜて作るエサ(魚を寄せるためのバラケエサ、魚に食わせるための食わせエサ(ダンゴエサ))を作るために使います。標準的にはエサ1種類につき100mlや200ml単位、多い時ですと、4種類ほどの異なるエサの粉末を混ぜ合わせるため、粉末だけで800ml~1000ml、これに水が200mlが入ります。このため、人が顔を洗う時に使用する洗面器程度のサイズが便利です。
一方、冬や春先、流れのある川で使うグルテンエサの場合は、1種類当たり50ml、多くても3種類程度の配合でエサを作ること、お麩のエサよりも粉末の粒子が小さく密度が高いので、容積が小さいです。このため、直径15cm程度で底の浅い植木鉢の下に敷くプラスチック皿のようなエサボウルを使用します。
参考までに、エサメーカー製の商品は以下のような価格です。
6.柄付き玉網
へらぶな釣りはキャッチ&リリースが基本です。このため、釣れたへらぶなは柄付きの網(玉網(たも)と呼びます)で掬って、出来るだけ直接手で魚の体に触れずにハリを外して元の水の中に帰してあげます。玉網は、1,000円未満で買えるお手頃のものから、玉網の部分と柄(玉の柄と呼びます)の部分が別売りになっていて、それぞれが10,000円以上する本格的なものまで様々な種類があります。
魚を掬うという目的に関しては、1,000円未満の物であっても問題はありません。但し、価格が1,000円前後のものですと、玉網の部分と柄の部分が一体化された構造になっているため、持ち運びの際にかさばること、柄の部分が金属製のため重く、魚を掬う時の取り回しの際に多少力が必要です。
一方、10,000円以上の物ですと、玉網の部分を柄から外せること、玉網のフレーム部分が木やカーボン製、柄の部分がカーボン製で軽量なので、魚を掬う時の取りまわしや持ち運びが便利です。どのような価格帯の物を買うかは予算、持ち運びの便利さ、軽さへのこだわり、趣味、嗜好によります。ある程度長くへらぶな釣りを続けていて、道具集めにもこだわりを持つようになったら、徐々にグレードアップして自分好みのものを買い揃えて行けば良いと思います。
因みに私は、最初1,000円未満の一番安い魚掬い網からスタートし、先日まで玉網と玉の柄がそれぞれ10,000円程度の金額のものを使っていましたが、玉網が玉の柄から外れなくなってしまい、無理に引き抜こうとしたら差し込み部分を折ってしまい、使えなくなりました。このため、1,000円程度の柄付き玉網に逆戻りです。(お金が貯まるまではしばらく買えそうもありません。(涙))
以下の写真が最近買ったアルミ製の柄の玉網です。
7.折り畳みコンパクトチェア
へらぶな釣りは基本的に長時間座った状態でする釣りです。このため、前回お話した釣り台にまたがるか、或いは釣り台の上にあぐらをかいて釣りをするのですが、初心者で、まだ釣り台を買うお金(最近の商品の価格帯は20,000~40,000円位が一般的なので、結構大きな出費ですよね。)が貯まっていないけど、へらぶな釣りに行きたい!という人は、折り畳みコンパクトチェアを持参すると、地べたに座るよりは楽に釣りが出来ます。
私も釣り台を買うお金がまだ貯まっていなかった頃は、コンパクトチェアに座って、竿を持った状態で釣りをしていました。本来は竿も釣り台に万力をセットし、それに竿掛けをセットしてそこに竿を置いて魚のアタリを待つのですが、竿を持った状態が長く続くと結構辛くなってきます。特に、安いへら竿は重量が重めのため、初心者で高級な竿をまだ買えない内は、少し辛抱が必要かもしれません。
ただ、私の場合は竿を持っている重さよりも、釣りをすることそのものが楽しくて、最初の頃はそんなことは気になりませんでした。何度も釣りに出掛けるようになってくると、次第に物欲が出てくるものです。(笑)
いずれは釣り台での釣りに移行するという目標があるのであれば、コンパクトチェアにあまりコストを掛けるよりも、早くお金を貯めて釣り台を買った方が良いですよね。
8.タオル(汚れても良いもの)
タオルは、釣り場でエサを作って手が汚れたり、魚を触ってしまい汚れた手を洗った後に拭いたり、エサボウルの中に作ったエサに直射日光が当たって乾燥してしまうのを防いだり、釣りを終える時にへら竿や道具についた汚れを拭き取る際に使います。
タオルと言っても、新品のタオルを準備する必要はなく、家で使い古していらなくなった、雑巾として下ろされる寸前のものでも全く問題ありません。人によって考え方は違うと思いますが、私の場合はタオルを2枚持参し、1枚は川や沼の水で洗った手を拭くために、もう一枚は釣りを終える時に道具についた汚れを拭き取るために使っています。エサや魚を触った手を洗ったタオルで道具を拭くと、かえって汚れがついてしまうために使い分けをしています。
たかがタオルと思うかもしれませんが、これが無いと、結構ストレスになります。特に、毎回ハリにエサを付けて水に投入する時、エサの残りが指についているので、そのまま放置しているのは気持ちが良いものではありませんし、手を洗った後に濡れたままの状態になっているのも余計なストレスになります。
9.ビニール袋
釣りに行く際は、ビニール袋を2、3枚持っていくと、何かと重宝します。スーパーで買い物をするともらえる、持ち手のあるビニール袋が良いです。用途としては、釣りを終了し帰宅する際に、濡れているタオルを入れたり、使い切って空になったエサ袋のゴミや、ハリスの余分な部分を切った残り、板オモリの長さを調整した残り片などのゴミを入れたり、泥で汚れた長靴を入れたり、魚を掬って臭いの付いた玉網を入れて持ち帰るために使います。
ビニール袋も、いざ持って行き忘れると、私の経験上、何かと不便な思いをすることが分かっていますので、是非忘れずに釣り場に持って行きましょう。
10.釣り竿以外の道具一式が入る大きさのバッグやデイパック
上記のような、釣り竿や柄付き玉網のような長尺物以外の様々な小物の道具は、バラバラで持って行くと、釣り場についていざ釣りの準備を始めようとした時に、必要なものがどこにあるか分からなくなったりして大変ですよね。ですので、ごく当たり前の事ではありますが、これら一式を収納できるサイズのバッグやデイパックがあると、道具一式(エサも含め)の持ち運びが便利です。
更に、お金が貯まったら、へらバッグというへらぶな釣り専用のバッグがあります。私の場合、へらバッグを買えるようになるまでは、デイパックに以下のものを入れていました。(上記以外のギアも含む)
小物道具用ポーチ(ハリはずし、落下防止付ハサミ、数量カウンター、黒の木綿糸、予備のハリを入れる小物入れ、コンベックス(スチールメジャー)、瞬間接着剤、スコープ(8倍)、スコープホルダー、オモリ入れ、ラジオペンチ、ニッパー、藻刈り鎌の刃、竿ストッパー)
プラスチック製小物入れ(ウキゴム、ウキ止めゴム、サルカン、板オモリ、ウレタンチューブ、たな取りゴム、電気ウキ用電池、ドボン用外通し仕掛け、ドボン用オモリ)
エサ袋(5~10種類)
タオル2枚
ビニール袋3枚
ポケットティッシュ
日焼け止め
ヘッドランプ(夜釣り用)
手指消毒薬
絆創膏
雨具(上下)
サングラス
虫よけスプレー
2回に亘って、へらぶな釣り用の最小限の道具についてお話しました。より快適なへらぶな釣りをするためには、まだまだ沢山の道具がありますが、ひとまず最低限、このような道具を揃えておけば、あとはエサがあれば釣りを始めることが出来ます。
次回は、へらぶな釣りで使うエサについてお話したいと思います。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。