見出し画像

同じキツさで最大のカロリーを消費するのは? 有酸素運動マシンの比較

ダイエット(ここでは、体重を減らすという意味合い)のためには、カロリー収支をマイナスにする必要があります。
そして、カロリー収支をマイナスにするには、食事コントロールによって摂取カロリーを減らすか、身体活動量の増加によって消費カロリーを増やすか、両方を組み合わせることで達成できます。

このうち、消費カロリーを増やすアプローチとしては、有酸素運動が一般的ですが、ジムに置いてある有酸素マシンには種類があります。


具体的には、
・バイク(自転車運動)、
・ローイングエルゴメーター(ローイング運動)、
・エリプティカルマシン(クロスカントリースキーのように両腕と両脚を交互に前後させて使う運動)、
・ステアクライマー(エスカレーターのように動くマシンで階段を登るような運動)、
・トレッドミル(ランニング運動)
です。

また、バイクには一般的に、
・リカンベントバイク(背もたれに寄りかかりながらペダルを漕ぐタイプ)、
・スピンバイク(ロードバイクのように前傾姿勢でペダルを漕ぐタイプ)、
・アップライトバイク(体を起こした姿勢でペダルを漕ぐタイプ)
の3つのタイプがあります。

これらの器具の中で、カロリーを消費するのに最も適したのはどれなのでしょうか?


この問いに一つの見解を与える研究が、2024年2月にFrontiers in Sports and Active Livingに掲載されました。
この研究では、レクリエーショナルに活動的な中年男性30名を対象に、上記の有酸素マシンで運動を行った際の消費カロリーやその他の測定結果が報告されています。

この研究のユニークな点は、主観的運動強度(Rating of Perceived Exertion: RPE)を使用して運動強度を制御したことです。
RPEは、6-20段階の尺度で運動の激しさを評価します。
この研究では、『RPE17と20でそれぞれ運動してください』と対象者に指示を出しています。

生理学的な運動強度を測定するためには、RPEよりも酸素摂取量や心拍数の方が望ましいですが、我々が普段運動をする上では、主観的なキツさ(≒RPE)をもとにペースを調整したり、運動を継続するかを判断したりするのが一般的です。
したがって、同じRPEでのエネルギー消費量を評価するのは興味深いアプローチです。

早速、RPEが17(Very hardに相当)のときの各運動のエネルギー消費量を見てみましょう。
エネルギー消費量(kcal/min)が高い順に並べると、次の結果になります。
・トレッドミル:15.18±0.84kcal
・ステアクライマー:13.35±0.66kcal
・エリプティカルマシン:12.82±0.95kcal
・スピンバイク:12.45±0.40kcal
・アップライトバイク:11.94±0.50kcal
・リカンベントバイク:11.07±0.41kcal
※数値は平均値±標準偏差

結果から明らかなように、トレッドミル、つまりランニング運動が最も高いエネルギー消費量を示しています(統計学的有意)。
ちなみに、RPEが20であっても傾向は同じでした。

この結果に基づき、この論文の著者らは、「レクリエーショナルに活動的な中年男性の場合、屋内での有酸素運動でエネルギー消費量を最大化するには、トレッドミルが最適であり、次にステアクライマー、エリプティカルマシンが続く」とまとめています。

もちろん、個人の好みやスポーツ経験によって結果は異なるでしょうが、カロリーを消費したいなら、ランニングをおすすめします。

この記事は、「Prieto-González, P., & Yagin, F. H. (2024). Energy expenditure, oxygen consumption, and heart rate while exercising on seven different indoor cardio machines at maximum and self-selected submaximal intensity. Frontiers in sports and active living, 6, 1313886. https://doi.org/10.3389/fspor.2024.1313886」を改変したもので、CC BYで使用されています。



執筆家としての活動費に使わせていただきます。