イチイガシの木 ~百年のめぐりあい~
――アキカン――
オレはアキカン。
工場のチームリーダーからつけられた、なさけないあだ名だ。
昼休みとは別に、十五分の休憩がある。
「おい、アキカン」
リーダーがオレを呼ぶのは、そのときだ。
「聞えねえふり、してんじゃねえぞ」
チームの仲間はいっせいにうつむいたり、あくびしたりする。オレはリーダーにあごで呼ばれ、つきしたがう。
倉庫の裏にある防犯カメラの死角。
そこでいきなり、ひざで腹を蹴りあげられる。うずくまった背中を踏みつけにされる。
「立てよ」
といっても、顔はビンタだ