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ことばの作品集

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みどりにひかる本になることばの倉庫
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#魂

花のふたご

生きながら死んでいるのか、死にながら生きているのか、わたしはときどき、わからなくなる。 …

俺はまばゆい庭を見た

俺の父は教師だった。 春樹という、いくらか頭の弱かったらしいかつての教え子から、鉛筆書き…

むーやんとたんぽぽの綿毛

なんにもない空の下で、むーやんはすっかり地球が好きになりました。 どちらを向いても花が笑…

星をひろう

鏡に黒いビニールをはりました。 荒れはてた部屋をうつす鏡に、これはお前の心の中さと、冷た…

あなたはわたしの愛に乗る

うれしいとき、ちいちゃんはほっぺをふくらますくせがあります。 はじめて会った時もそうでし…

みかんのみんな

夜ふけの台所はふしぎの国。 ひるまはむっつり屋の野菜や果物が、ひそひそ、ざわざわ。 心を…

ひとひらの魂

里山のふもとに大きな木がすっくと立って、影を落としています。 晩秋の木は、ほんの二三日まえまで、ひとつの静かな炎のようでした。 そんなうつくしい色づきも、さかりはつかのま。 木の葉は風もないのに、はらはらと散ってゆきます。 ひとたびこがらしが吹こうものなら、いっせいに舞い散って、親木の根もとに折り重なります。それがまた一陣の風に飛ばされたり、輪をなして舞いあがったりしています。 そのようすを高枝から見おろす一枚の葉っぱがありました。 色あせた葉っぱは先のほうから黒ずんで、おま