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読書log - 終末のフール

読書再開した

今年の6月に資格の試験を受けることが決まり、勉強モチベーション確保のために図書館通いを封印した。仕事がクソ忙しくなり、持ち帰り仕事も多くなったが、なんとか勉強して、その試験がついに終わったので、また読書を再開した。このために頑張ってきたんだなぁと、目的が違っているような気もするが、禁欲後の読書の快感は格別だ。

10分で選んだ本

図書館の開館時間は17時までのため、平日は借りにいくことができない。たまたま、仕事を早く上がることができて、週末まで待てずに急いで図書館に向かうと、閉館まで残り10分。
図書館で本を選ぶことは難しい。本屋のようなポップはなく、帯もなく、ハードカバーにはカバーすらないので、あらすじもわからない。そのため、自分の記憶の中にある読みたいと思っていた本のタイトルやパッと見て気になるタイトル、作者から選ぶしかない。(この博打感がなかなかに面白い)
読書を再開するにあたって、小説から読むことは決めていた。本当は『三体』を読みたかったのだが、借りられていると事前に調べていたので、「とにかく外さない小説」を借りたかった。
文庫本コーナーを舐めるように見て、「外さないなら小野不由美か、伊坂幸太郎か…いやしかし…」と目移りし、いよいよ残り5分。ええい、と焦りながらハードカバーエリアに移動して、『終末のフール』が目に止まった。
面白い小説スレのまとめでよく見かけていたことを思い出し、生きるのに疲れていたこともあり、借りることに決めた。


心に来るが、救いのある群像劇

伊坂幸太郎氏の作品は死神の精度がめちゃくちゃ好き。他はアヒルと鴨のコインロッカーと陽気なギャングを読んだことがある。伊坂作品は仙台を舞台とすることが多いが、終末のフールも仙台が舞台の作品だった。私も仙台出身で、幼少期を過ごした仙台には良い思い出も悪い思い出もたくさんあり、今現在も親から逃げている罪悪感に苛まれる土地である。仙台の空気感を思い出す伊坂作品は面白いことは確信を持てるが、意を決して読むことになるため、なかなか手を出しづらかった。
読んでみると、期待を裏切らず、とても面白かった。『しにがみのバラッド。』や先ほどもあげた『死神の精度』のように、短編集だが、別の作品に登場した人物が別の作品にも出てくる作品がとても好きな私にクリーンヒットの作品だった。

読んでいる途中で外へ出かけると、現実の世界もあと3年で隕石が落ちてくるような気がした。とても羨ましいと思った。
とにかく早く死にたいと思っているので、あと8年で人類は滅亡するなんて、とても羨ましい状況だ。いろんな人の人生の中で、その分岐点が描かれており、それぞれ別の思い、考え方で生きている描写が素晴らしい。生きるか死ぬかの状況で初めて人間は意志を持ち、あるいは逃避して生きる。現実でも変わりはない。よし、死のうと思い切れる後押しがあるかどうかだけだ。

団地の描写で漠然と、ゲーム『Stray』をイメージした。

Strayの方は人間の残した街で人間の動きをし続ける逃げられないロボットたちだったが、同じような状況だと思った。生き続けることが無駄だとわかっているのに今まで通りの生活を続け、今までの生活を続けるために人としての矜持をなくし、罪を犯し、虚しさと死ぬことの恐怖で絶望感を常に抱いている。

物語としての完成度が高すぎる「冬眠のガール」

4年間の冬眠から目覚めた女性がまるで童話のような流れで辿り着く結末。主人公の嫌味じゃない性格がとても良い。「冬眠」というワードの使われ方もいいし、伏線回収が素晴らしい。読み終わった後の快感が強烈だった。この主人公が他の話で出てくるところもこの世界の中の癒しとしてとても良かった。救いだった。


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 次は何を読もうか。新書にするか、また小説にするか。
今日は休日なので、時間に追われることなく、じっくり選ぼうと思う。

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