役員インタビュー|f4samurai流のゲーム開発。「好きな人たちと、楽しく仕事する」の真意とは
採用面接にお越しいただいた候補者の方から「f4samuraiのゲーム開発の体制・フローや、その裏にある考え方を知りたい」というご質問をいただくことがあります。
同じゲーム開発という業種でも、ゲーム作りに対するスタンス、体制面の特徴、経営陣の関わり方などは会社によって大きく異なるため、就職先や転職先を考えるうえで重要なポイントのひとつになりますよね。
そこで今回は、創業者で取締役(COO)かつ現役ディレクターの田口に、ゲーム開発に関するインタビューをおこないました。
「新規プロジェクトはどのように立ち上がっているのか?」「メンバーアサインの考え方は?」「IP(版権)とオリジナル、どちらに注力していく予定なのか?」など、ゲーム作りのスタンスや考え方に迫った内容になっています!
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新規プロジェクト発足までの道のり
― f4samuraiでは、どのように新規プロジェクトが立ち上がるのでしょうか? 企画立ち上げのペースや流れについて教えてください。
新規企画が発足するペースとしては、年に1〜2本です。企画立ち上げの流れは、オリジナルなのかIP(版権)ものなのか、個々のタイトルによって異なります。IPものに関してはこれまでの実績もあるため、ありがたいことに多くのお声がけをいただいています。むしろ「作りたい」と思いながらも、タイミングやリソースとの兼ね合いからお断りしてしまうこともあるくらいですね。
ー新規タイトルの発足に関しては、どのような基準でプロジェクト化に至るのでしょうか?
複数の条件があるのですが、ちょうど別タイトルが落ち着いてリソースを割けるタイミングであるとか、IPものの場合は「作りたい!」というリーダークラスのメンバーが社内にいるとか、協業企業さんとお互い信頼できる関係性を作れそうか、とかですね。複数の条件が合致するタイミングや‟ご縁”を大切にしています。
例えば、経営陣だけで「この企画だと多くのユーザーを獲得できそうだから」とプロジェクト化することを決めてしまうと、結局現場の熱量が足りず、いいものが作れない気がしていて……。だからこそ「やりたい!」と手を挙げるメンバーがいるかどうかは、特に重要視していますね。
実際にリリース済みのIPタイトルのなかには、社内に「そのIPのゲーム化を目指してこの業界に入った」というメンバーがいたことがプロジェクト化の決め手になったものもあります。
協業先と話を進めていくなかでは、いいパートナーシップを築けそうか、一緒におもしろいゲームが作れそうかということも見極めていきます。同じ熱量でゲーム開発に取り組んでいただけるのか、信頼できる関係性を築けて一緒にお仕事をしていけそうなのかなどの観点も大切にしながら判断しています。
ゲームを作って、リリースして、運営して……となると、何年ものお付き合いになっていくわけですよね。そうなると、やはりお互いにリスペクトを持って、楽しくいいものを作ることができる間柄になれないと難しいと思うんです。お話を進めるなかで、価値観やフィーリングのすり合わせもしっかりとおこなうようにしています。
あとは技術面なども含めて、会社やメンバーの成長に繋がるプロジェクトになるかということも考えています。
新規開発の流れ・メンバーのアサイン
ー そうして発足したプロジェクトでまずおこなわれるのは、プロトタイプの制作でしょうか? 開発が本格化するまでの流れを教えてください。
オリジナルでもIPものでも、プロジェクト発足から半年〜1年間くらいは数人(プランナー・エンジニア・UIデザイナーなど計5〜10名未満くらい)でプロトタイプ制作をおこなっていきます。
最初はとにかくスピード重視で、形にしてみてはああでもない、こうでもないと議論し、さらに作り直して……というプロセスを重ねていきます。
特にIPものの場合、企画段階では細かい要件が無くても、実際に動くものを見てはじめて、原作の先生やパブリッシャーさんから「やっぱりこうしてほしい」「もっとこういう風にできないか」と具体的なフィードバックをいただくことが少なくありません。なのでなるべく早い段階でプロトタイプをお見せして、イメージのすり合わせをおこなうことが重要だと感じています。
ー 初期メンバーのアサインはどのようにおこなわれるのでしょうか? 個人の希望も考慮されますか?
メンバーのアサインを決めるときは、個々の希望とタイミング(現ポジションを抜けられる状況か否か)、そしてプロジェクトとの相性などを見ています。f4samuraiは役員陣とメンバーの距離が近い会社なので、(さすがに全員の人となりを熟知しているとまでは言えませんが)約180名いるメンバーそれぞれの性格や仕事における強み・弱み、本人のやりたいことなどは把握しているつもりです。
運営しているタイトルがある以上、「新規タイトルを作りたい」と言っている人全員にそのチャンスを渡せるわけではありませんが、やっぱり頑張っているメンバーの希望はできるだけ叶えたいという思いがあります。
正直、開発効率だけを重視するなら、例えば少数精鋭の新規開発専門チームを作って、各プロジェクトの立ち上げ工程はそのチームにやってもらう、という方法が効果的なのかもしれません。ですが、それだと固定のメンバーにしかノウハウが蓄積されないですし、他の人が新規タイトルに関わるチャンスも今以上に限られてしまいます。
なので現状のやり方としては、新規開発経験があるメンバー数人と、まだ経験はないけれど新規開発をやりたいと希望している社員を組み合わせたチームでプロジェクトを立ち上げることが多いですね。そこから開発が軌道に乗ってきたら、さらに人を寄せたり採用をおこなったりしてメンバーを増やしていきます。
運用がスタートしてからのほうがチームに必要な人員は増えていきます。スマホゲームはリリース後の約1年間が一番大変な時期になることが多いので、少なくともその間は開発メンバーもそのまま運用を担当してもらっています。リリースが終わったらすぐにメンバーを人事異動するようなケースはあまりないですね。
ー 採用の話も出ましたが、採用に関する考え方を教えてください。
採用はできる限り慎重におこなっています。もちろん新規プロジェクトを作っていくにはそれ相応のメンバーを確保しなければいけないのですが、かといってものすごく大きい会社にしたいとは思っていないんです。
僕を含め、うちの経営陣は「社員全員の名前と顔が覚えられるくらいの規模感でやっていきたい」という思いがあります。活躍してくれている人に対して「この人が誰なのか分からない」とはなりたくないし、採用した人たちがどんなふうに成長し活躍しているのかが見える組織でありたいと思っています。
なので採用のペースとしては、年間で20〜30人くらいでしょうか。「スマホ ゲームを開発・運営している会社」というと、ガンガン人を採用して、次から次へと新規タイトルを作って……という環境をイメージするかもしれない ですが、うちは少し違った価値観でやっています。
あと、大規模な会社を目指すとなると、どうしても物事を組織化・仕組み化していく必要が出てきますよね。もちろん業務の効率をあげたりゲームのクオリティをあげるための仕組みづくりはおこなっていますが、どちらかというとメンバーの“個”としての力を伸ばし、思い思いに活躍してもらうスタイルを目指しています。システマチックさを必要最小限にしたいという思いが 強いです。
マネジメント・育成の考え方
― ルールやシステム化によって組織機能を強化するよりも、個々の人間力や個性を伸ばすことで組織としての成長も目指すというのは、かなり難易度の高い選択だと思います。
そうですね、難しいと思います(笑)。現場でも、スケジュールを細かく設定して、後から参画した人にも「あなたの仕事は〇日までにこれをやることです」と決まった作業が割り振られる……というやり方のほうが、正直分かりやすいじゃないですか。人によっては指示が明確ではないとか、もっと細かくルールを決めてくれたほうが楽だと感じるケースもあるでしょうし。
でも、「どちらのほうが楽しいのか?」「本当の意味で個々の成長が見込めるのか?」と考えると、メンバーをただの作業者にしてしまうより、一人ひとりがオーナーシップを持って取り組めるほうがやはりいいと思うんです。
もちろん、人による部分はありますし、枠組みを決めてもらったほうが実力を発揮しやすい場合もあると思うので、いろいろな人にとって働きやすい環境にできるよう、仕組み化とのバランスを模索している感じですね。
ー経営陣の皆さんは、トップダウン文化にならないよう気を付けていると感じます。日々のマネジメントや育成でも、社員の自主性を引き出すことを意識されているのでしょうか。
はい。これもまた正直、トップダウンのほうが楽だという考え方もあると思います。でも僕は、例えばプランナーから企画の相談を受けたとき、「A案とB案どちらが良いでしょうか」と聞かれたら「自分がいいと思うほうにしなよ」と返すことが多いです。
もちろん、あまり良くない案が含まれている場合は指摘やアドバイスをしますが、どちらを選んでもユーザーさまが喜んでくれそうで、かつ少なくともゲームの品質を下げるようなことがなさそうであれば、担当プランナーに責任を持って選ばせるようにしています。
プランナーからは困った顔をされることもありますが……(笑)、自分なりの考えを持って選択し、実際にやってみてどうだったかを振り返り、そこから得た学びを次に活かすという経験を積んでいかないと、なかなか成長できないと思うんですよね。うまくいってもいかなくても、決断したのが自分でないと、次に繋がらないというか。
ただ、決めてもらううえで「中途半端なことはするな」ということは伝えるようにしています。A案とB案のどちらかに決めきれず、両者の間をとったような折衷案に着地してしまうと、結局その後の結果についても何が良かったのかよく分からないまま終わってしまいます。自分で決めて、それをリリースまで持っていき、ユーザーさまからの声を受け止めて次に活かす。特にプランナーにはその積み重ねが必要だと考えています。
ー 若手のうちからそのような経験を積めることはすごく恵まれていると思う反面、プレッシャーもあるのかなと思います。
特に最初のうちは、悩むメンバーも多いです。ゲームはそれを楽しんでくださるユーザーの皆さまがいてこそのサービスなので、その期待に応えなければというプレッシャーはつきものだと思います。
ですが社内的には、例えば売上のノルマを課したり、失敗を責めたりするようなことはしないようにしています。うまくいったこと・いかなかったことの振り返りはおこないますが、「責任を取らせる」みたいな考えは当然ないですし、ガミガミ言うようなこともありません。
若いうちはまだいいものの、決断ができないままベテランになっていくことって、すごく怖いことだと思うんです。だからこそ、なるべく早いうちに決断すること自体に慣れておく、判断力・決断力のトレーニングをしておくというのは、将来のプロデューサーやメインプランナーを育成していくうえでもかなり重要なことだと考えています。
そのためにも、少しでもメンバーが挑戦を恐れない環境にできれば……という思いでやっています。「決めることの怖さ」を払拭するのはなかなか難しいですけどね。
― 性格のタイプや、成長意欲も人によってさまざまだと思います。メンバーの育成に関する会社のスタンスはどのようなものですか?
そこは個々のあり方に反しない範囲でやってもらうのが良いと思っています。本当にいろいろな人がいますからね。極端な例だと「どんなに大変でもめちゃくちゃ成長したい」という人もいれば、「私は成長することに興味がありません」という人もいるでしょうし、ライフステージなどによって仕事にかけられるエネルギーが変わることもあります。
そこで、僕たちはよく「成長重力」という言葉を使っていて、『ドラゴンボール』のフリーザ編みたいに「重力何倍で特訓したいのか」を社員たちに聞くようにしています。そして彼らの求めている成長レベル・到達したいゴールに合わせて、どれくらいの要求をしていくのかを決めています。
もちろん会社なので、評価の基準となるアウトプットの水準や行動指針はありますが、基本的には「個々のスタンスを否定せず、チームとして良い仕事をする」ことを目指すようにしています。
ゲーム開発におけるf4samuraiならではの強み
― f4samuraiのゲーム開発における強みは何でしょうか?
僕たちの強みは、設計力とクリエイティブ力だと思います。
設計についてはプランナーやUIデザイナーがユーザーさまにとって触りやすい画面づくりを日々追及してくれています。開発段階からかなり綿密な運営計画を作り、中にはリリースから3年後に登場するキャラクターの性能まで決めてからリリースしたタイトルもあります。
運営計画では、例えばユーザーの皆さまがいつまでにこのレベルまで到達するだろう、という見込み数値なども用意するのですが、その数値も実態と一致していることが多く、しっかりと分析・予測して設計に繋げられていると感じています。
その設計力の背景にあるのは、過去のデータ分析など数字と向き合うこと以上に、「ユーザーさまのことを想像している」ということだと考えています。具体的には、10くらいの仮想ユーザータイプを作り、「こういうユーザーさまはこうやってプレイするだろう」とイメージして数字に落とし込むということをしています。
クリエイティブ力について特徴的な例を挙げるならば、2015年にリリースした『オルタンシア・サーガ』ですかね。当時シナリオを重視したゲームが少なかったなかで、社内にシナリオチームをつくり、企画設計と連携しながら 開発をおこないました。その後、イラストやLive2Dなどのアートワーク面においても、その時々でできる限り挑戦し、キャラクターの魅力を最大限に引き出せるような工夫をしてきました。
社内の挑戦するための体制作りにもこだわっていて、シナリオライター・各種デザイナー・イラストレーターといったクリエイティブ職の方もf4samuraiのメンバーとして採用。内製チームを築くことで、より挑戦しやすい体制・環境を作っています。プランナーと密に連携してもらうことで、クリエイターの皆さんが作品のコンセプトを深く理解できるので、内製チームでの開発には今後もこだわっていきたいですね。
実際に、クリエイターがプランナーに仕様やコンセプトを積極的に尋ねている姿をよく目にするので、この密な連携がf4samuraiのクリエイティブ力を高めてくれているのだろうな、とうれしく感じています。
今後も体制の強化をおこないながら、様々な作品に取り組んでいきたいと思っています。
どんな人と一緒に働きたいか
― 役員陣の皆さんは採用面接に入ることも多いと思いますが、どんなポイントに注目して採用を決めているのでしょうか?
まず若手の採用に関しては、素直さがあるか、教えたくなるようなやる気が見えるかなどを重視しています。「どうにかしてあげたい」と先輩たちに思わせられるというのも重要なスキルだと感じていて、社内のメンバーには「後輩力を上げよう」と話しています。
プランナー職でいうと、職務領域がかなり多岐にわたることから、データまわりに強い人・文章を書くのが得意な人・企画が得意な人・デバッグの目が優れていて他の人が気づかないようなバグをなぜか見つけられる人……など、 人によって得意分野がかなり異なります。なので、何かひとつ他の人よりも秀でていると自負しているものがあれば、その強みをアピールしてもらえるとよいかなと思います。
若手でもベテランでもどんな職種でも、繰り返しになりますが、双方、信頼し合える関係性を作りたいのでやっぱり素直さ・正直さが本当に大事だと思っています。なので、転職の面接でもなるべく正直にお話ししてほしいというのが本音ですね。例えば、前職のネガティブな話などはそのまま話さないのが一般的だと思うのですが、嫌いな人がいたとか、会社のここが嫌だったとか、そういう話題もできるだけ率直に話していただきたいです。「そりゃ嫌だよね」と思うようなことであれば、その方に対してネガティブな印象になることはないですし、逆にうちでも同じことが起こりうるのであれば事前にすり合わせる必要があるかもしれないですし。
面接の段階でも、入社いただいた後も、本音で話してくれる人と一緒に仕事がしたいですね。
― 最後に、田口さんからこの記事を読んでくださった方へメッセージをお願いします。
まずはここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。
現在、複数の新規タイトルに関して、2024年以降のリリースを目指し鋭意開発をおこなっています。そしてそのプロジェクトに携わっていただけるメンバーを各職種で募集中。運営中のタイトルにおいても、随時メンバーを募集しています。
僕自身、採用面接を担当しており、企画職ならば1次面接に、デザイナー・エンジニア職ならば最終面接に出席しています。
面接にお越しいただく方がかしこまりすぎず、ありのままで面接に臨めるように努めていますので、どうか堅くなりすぎず普段通りの姿勢で臨んでいただけるとうれしいです。そう言われても難しいと思いますが……(笑)。
f4samuraiへ興味を持っていただいた皆さまと、お会いできることを楽しみにしております。
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