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SFが好きという話

昨日、冬眠について考えていて、やっぱりわたしはSFが好きなのだなと改めて思った。

子どもの頃読んだ「22XX」という作品がある。
清水玲子さんの短編集で、表題作が特に好きだった。
空腹を感じることをインプットされたアンドロイドの男と、狩猟民族で人肉も食べるフォトリス人の女が出会う話。
フォトリス人は自分が誰かに食べられることも厭わない。
誰かに食べてもらい血肉となるのは尊いことで、食べたり食べられたりして魂は生き続ける。
というような理屈だった。
話は美しくも悲しいエンディングを迎えるのだが、テキストで説明するのは無粋なのでやめておく。
電子で読めると思うので、読んだことがないひとは読んでみてほしい。

よしながふみさんの「大奥」も、よくできたSFだと思う。
わたしが一番好きなのは田沼意次が活躍するところで、その次が家定と阿部正弘の話。
存在しない病気を創作して、史実と縒り合わせていく筋立てが本当に面白くて、一度読み始めると止まらなくなる。
今まさに家定のあたりを読み返しているところだ。

萩尾望都さんの「半神」という短編集は、多分これまでの人生で出会ったなかでもっとも印象深いSF作品集だ。小学館文庫で出ている。
表題作の「半神」や、感覚遮断実験に臨む青年を描いた「スロー・ダウン」は、ひとの自我と現実のあり方について、あの美しく精緻なる絵で疑問を投げかけている。

サイエンス・フィクションでも、
スペキュレイティブ・フィクションでも、
すこし不思議でも、
定義はとりあえずなんでもいい。
全部面白いし。
などと言ったら、SFについて真面目に取り組んでいるひとに叱られるかもしれない。

でも、とりあえずSFが好きだ。
今現実にあるのとは違う世界だったら、ひとはどう生きるだろう?
そんな疑問を持ち得る生命体に生まれたことをとても愉快だと思うし、他人が面白く仕立てた空想に触れるのも好きだ。

この現実だけを信じなくてもいいのだと教えてくれる。
そんなSFが好きなのだ。


では、また。

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