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森から出て、文字を書く

少し前に仕事した会社から新しい仕事が入った。
小さなレビュー記事だが続けて仕事をもらえるのは嬉しい。
前回の仕事のフィードバックもあって、あれこれ話をしたのも楽しかった。

やっぱり文章を書くのが好きだ。

アニメ進撃の巨人の4期を見返していた。
世界が戦争と巨人の力でグチャグチャになっていく中、復讐の連鎖の中でもがいていたガビが、やっと自分が無条件に悪魔扱いして憎んでいた民族がただの人間で、自分の中にも悪魔がいると気づく。
その悪魔はガビを衝動的に殺そうとしたカヤの中にもいる。
同じようにサシャの仇といって子どもに刃を向けたニコロの中にもいる。
世界中、誰の中にも悪魔がいる。
そのせいで、世界はこうなってしまったのだとニコロは語った。
ガビは、じゃあどうすればいいの?と問いかける。
それに対してニコロは、少し前のブラウス氏の言葉を借りて言った。

森から出るんだ
出られなくても、出ようとし続けるんだ

いい漫画の常で進撃にも名言がたくさんあるけど、個人的にはこの言葉がもっとも好きな言葉だ。

作中における「森」は、復讐がくり返される世界という迷いの森のことだ。
あっちが先に迫害したから報復した。
報復によってひとが殺されたからこっちも報復してやった。
それをくり返す限り出られない迷いの森。

セリフだけを見るなら、それはわたしの人生にも当てはまる。
復讐とか報復とかではなく、わたし個人の人生にも転用が可能だった。

自分にできることが、なにもない。どこにもない。
性風俗に戻るくらいしか行先がないんじゃないか。

そんなふうにまた性風俗の地獄を選びそうになる時、その地獄はニコロが言うところの森なのだ。
もういっそ森で生きるほうが一番ラクかもしれない。
森の中にしか、できることはないのかもしれない。
森の中で苦しんだ過去のわたしが、森の入り口で呼んでいる気さえする。

森から出るんだ。
出られなくても、出ようとし続けるんだ。

呼び声に振り向きそうになることはしばしばある。
自分のこの先の人生に展望などないと悲観して、どうせこの先が地獄なら、すでに見知った地獄に行けばいいと思うこともある。

でも、森から出るんだ。
森から出て、今ここは森の外で、わたしは守られている。
森に戻らずにい続けること、森から出た今の状態を維持し続けることが、わたしの人生にとっての至上命題なのだ。

今日も一日、森に戻らずにいられた。
そして少しずつ文字を書く仕事を再開している。

いつか、森への戻り方など思い出せないくらい遠くまで行けたら。


では、また。

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