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過去のレガシーでもメンテは必要

東京湾に運河を作った人々

昨日、ブラタモリを見ていて、東京湾に運河を作った実業家、浅野総一郎のことを紹介していました。
僕はその話を初めて知ってかなり感動したのですが、同時に、こんな膨大なクリエイションを考えて実行した人、賛同・支援した人、実際に構造物を作った人々に思いを馳せました。
こういう人々に支えられて、今日の日本の繁栄があるのだなと思い、ただひたすら敬意を表すより他ありません。

ITの世の中でもそれは機能している

このたかだか20年ぐらいの間に、産業には大きな異変が起きて、各分野に変革が求められる時代になりました。IT革命というものですね。
従来の産業が衰退して、新しい産業が生まれ、人材も新しい分野に適応せざるを得なくなっています。
いわゆる「パラダイムシフト」が起きている、あるいは進める必要があるわけです。

今の、情報という物理的な形の無いものに溢れた社会においても、人間は物理的なものによっても支えられているのですね。
「インフラ」と一言で言うのは簡単ですが、東京湾の運河周辺を考えただけでも無数の巨大な構造物が存在していて、それらが機能しているから生産活動や物流が円滑に運ばれているのです。

「こんな職業は無くなる」は本当か?

YouTubeなどを見ていると、近い将来にはこれほどまでの多くの職業が無くなると警鐘を鳴らしている人たちがいます。

でも、江戸時代や明治時代に基礎が作られた世の中の構造物や社会システムは、いまだにメンテナンスが続けられ、世の中の役に立ち続けていることを考えると、一度作った構造物やシステムは、それが必要な限りいつまでも存在し続け、メンテナンスされていくものだから、無くなると言っても必要なものは誰かが手を入れてメンテしないと、維持できないと思います。

プログラミング言語とか

現代のIT社会の中にいる私たちが日常的に見ている「ウェブサイト」(ホームページ)も、出来てから20年以上経過しているものもあります。
その、見えないところで動いているWEBシステムに使われているプログラミング言語(記述言語)も、かつては Perl などが主流だったのが途中から PHP が変わりましたが、最近のようにスマホアプリで使われている新しい言語が出てきている中でも、ウェブサイトに適しているためにずっと使われて続けています。Perlでさえも残っているのです。

今後のWEBシステムは新しい言語で置き換わっているのかもしれませんが、WordPressやEC-CUBEにも使われているPHPが急に無くなることなんて考えにくいし、最先端ではない世界にはずっと何十年も残っていくのかもしれません。

その間、メンテナンスをする人は必要なのです。

パラダイムシフトで取り残された「必要なもの」をメンテするのは誰か?

昔は起きなかった工事現場での惨事、工場出荷品の不具合、などは、僕が見た感じでは技術・ノウハウが継承されていないことによるものも多いのではないかと思います。
工業立国した日本の美しい「神話」が崩れるのは、まともに維持できる人がいなくなったことが原因だと僕は考えています。

これからどんどんITに人材がシフトしていくに従って、物理的なもの、機械的なものの管理は手薄になっていくでしょう。誰かが流れに逆らってそっちに進まない限り、それは避けられません。
構造物や交通機関は、不具合があると人命に関わります。
それでも満足にメンテできない状況が当たり前になりつつあるんですね。

過去の遺産だと言って無視できない、守り、使い続けなければならない生産物やシステムが、世の中に無数に存在しているのです。

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