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ママになって着る服も読む雑誌も変わったお話

巷では、綺麗な妊婦さん、綺麗なママさんの写真が溢れている。

線が細くて、お腹だけ本当に言われてみればという感じで少しぽっこりしている妊婦さんに、3人も子供が居るというのが信じられない位に若々しくスレンダーなママさん。



かくいう私も妊娠が分かった時、産む前も産んだ後も自分の身だしなみは疎かにせず、なるべく自分なりに「綺麗」で居たいと思っていた。

けれど、妊娠後期に入り、お腹が大きくなって、徐々にお腹だけじゃなくて体全体に脂肪が増えてきて、夏の夜には寝苦しくて汗をだらだら垂らしながらアイスノンを頭の下に敷いて寝たり、お手洗いに何度も起きたり、気を付けていたのにいつの間にか出来ていた妊娠線を鏡の中で見つけたりしながら、「綺麗な妊婦さん」の難しさを知った。

妊娠を望み続けていた頃、とても神秘的で美しく見えた「妊婦さん」は、実際は神秘的というよりただただしんどくて、ミューズというよりベイマックスに近付いている感じがした。

「マタニティフォト」も特に撮る気にはなれなかった。お腹が大きくて、通常より浮腫んでいる自分の姿を積極的に残す気にはなれなかったから。


産後、「よし、痩せて綺麗なママになるぞ!」と張り切ったとて、最初の1ヶ月はただただ寝不足で、ふにゃふにゃの小さな命をとにかく守り抜くべく、眼鏡にパジャマ姿で一日奮闘しあっという間に日が暮れていく窓の外をぼんやり見つめる日々。

変わったのは、1ヶ月検診を終えて、外出が出来るようになってからだった。外出といっても、近くのスーパーで買い物をしたり、家の周りをお散歩したり。それでも、気分は大違い。「外に出る」ために、着替えて簡単にでもメイクするから。

徐々に校区の赤ちゃんの集まりや児童館にも出掛けるようになった。そこで、気付く。そういう場所で出会うママさん達の服装が「カジュアル!ママさんっぽい!」こと。

私はというと、まだ産前の洋服は苦しい感じがしたから、小花柄のマタニティワンピースのウエストを調節出来るのをよく着ていて、特に「お洒落」しているつもりもなかったけれど、「カジュアル」なママさん達が揃っている時にはなんとなく浮いているんじゃないかと感じてしまうことがあった。

ちなみに、20代後半から読んでいた雑誌は「美人百花」。着るのは、スカートかワンピースで、「ズボン」は持っていなかった。「ズボン」のことを「パンツ」と颯爽と言えないくらい、私はカジュアルから遠い所に居た。

正直、「上品で綺麗めな服」は便利だった。
仕事にもデートにも着ていけるし、「パンツ」に比べて、体型カバーもしやすい。



数ヶ月経つと、少しずつ体重も戻ってきて、産前の洋服を着られるようになったけれど、なんだかどれもしっくり来なくなっていた。だって、基本的に我が子とのお出掛けの時には抱っこ紐が必須、それに大きなマザーズバッグを持って、児童館や赤ちゃんの集まりなんかに行く時に、「綺麗めのトップスにフレアスカート」は明らかに合わない感じがしたし、「逆にお洒落じゃない」気がした。

我が子はミルクを少し吐き戻したり、よだれの多い時期もあった。何でも手で掴んで、汚れた手で、私の洋服を引っ張ることもある。

そうなると洋服の素材や色も選ぶようになる。
汚れや皺が目立ちにくくて、「無理してない、ママさんらしいお洒落な服装」を探すようになった。



最初は、なんだか悲しい気がした。
ママになったことで、「本当に自分が着たい服」が着られなくなったように感じたから。


けれど、これまで素通りしていたお店で、これまでなら手にも取らなかったはずの洋服たちと試着室に入りながら、これは「新しい自分のスタイル」に出会うチャンスなんだと気付いた。

試着してみると、これまでとはまるっきり違う、シンプルでスッキリとしたデザインの洋服たちは、今の自分に結構似合っている気がした。
パンツスタイルも綺麗めなら意外としっくり来た。



「ママ」になった当初は、諦めなければいけない、手放さなければいけないことばかりのように感じていたけれど、
今は「ママになったからこそ」知ることが出来る新しい世界、人や新たな自分自身との出会いが溢れていることに気付かされる。

これってきっと、ママになった変化だけではなくて、どんな変化にもいえることなんだろうと思う。
ライフステージの変化が大きいと、ついその変化への迎合ばかりに気を取られがちだけれど、その変化自体を楽しんで、その変化から得られるもの、得たいものに目を向けていくことで人生の密度はぐっと高まるような、そんな気がする。


P.S.
ちなみに、、
雑誌は、「VERY」を読むようになりました。

なんだか、「リボン」から「SEVENTEEN」になって、「steady」「MORE」を読みながら、たまに手にした「CamCam」を眩しく感じたり、社会人になり「美人百花」や「日経woman」を手に取るようになった遍歴を思い出します。

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おとみ@noteworld
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