秋の恵みのおすそ分け ~ くいしんぼう ラボ活動レポート(vol.5,6)
やっと秋の訪れを感じられるようになりました。2022年9月26日(月)、27日(火)の2日間連続で行われた「くいしんぼう ラボ」第5、6回の活動報告です。今回は、1日目に東京学芸大学の農園で収穫し、2日目には、エコール辻東京で収穫したものを調理して試食するという、「くいしんぼう ラボ」が待望していた活動形態を実現することができました。
9月26日 東京学芸大学にて
雲一つない晴天に恵まれました。暑さも和らいで、動いていると少しだけ汗ばむぐらいの気持ちの良い作業日和。今日も農園を管理されている、平田さんから沢山のことを学ぶ機会となりました。活動のメインは、春にまいて待ちに待った落花生の収穫、そして8月にまいた小カブの試し抜きをしました。
◆落花生の収穫
春にまいた落花生は、四方に葉を茂らせ1株1株が大きく成長していました。1粒の種から、直径1メートルくらいの大きさに枝葉を伸ばし成長していました。「葉っぱが少し黄色く色ついてきたら収穫のサインです」と平田さん。
「落花生は、栄養価が高くおいしいので、カラスなどの鳥がほじくって豆を食べてしまいます。それを防ぐために、畑の上に鳥よけのテグスをひいています」と平田さんの説明がありました。よく目を凝らすと、畑の畝に沿って黒いテグスが張り巡らされています。この糸が羽に引っかかるのを嫌がるため鳥が寄ってくるのを防げるそうです。こうして、私たちの落花生は、カラスから守られたのでした。
いよいよ落花生の収穫です。四方に広がった枝を優しく寄せ集め、ゆさゆさと揺らしながら、地面の中の落花生につながる茎をちぎらないように優しく引き上げひっくり返すと、沢山の落花生が顔を出しました。「おおっー」と一斉に皆の歓声の声が上がりました。
落花生は「おおまさり」という品種で、さやの大きさは6センチ程あり、通常の落花生よりも一回り大きく食べ応えのある品種です。
「落花生などのマメ科の植物の根には、根粒菌が付いています。根っこを見てみると、根っこに数ミリメートルの瘤(こぶ)のようなものがいっぱいくっついています。これは根粒と呼ばれる器官で、この中に根粒菌(バクテリアの一種)という土壌微生物が住んでいます。根粒菌は大気中の窒素をアンモニアに変換し(窒素固定といいます)、植物の生育に欠かせない窒素を豆に供給する働きをしています」と平田さん。
そのため、豆類は肥料をあまり与えない方がよく育つそうです。
◆カブの収穫
8月にまいたカブは、葉を勢いよく茂らせ黄緑色の柔らかい葉が茂っていました。根っこはまだ小さく、直径1~2センチくらいの大きさでした。柔らかくて栄養豊富なカブの菜っ葉を収穫しました。
◆そのほか
野菊やタデなどの秋の花が咲き乱れ、稲穂が頭を垂れ稲刈りまであともう少しの様子でした。
9月27日 エコール 辻 東京にて
今日のくいしんぼうラボの会場は、エコール 辻 東京です。朝から調理と製菓の学生と先生達で、昨日収穫した落花生、カブ菜の仕込みがスタートしました。東京学芸大学の平田さんと学生さんもコックコートを着て実習室に入り、待ちに待った試食会をしました。
今回のメニューは、
− かぶのお浸し
− カツオと昆布で贅沢に出汁を引いたかぶのみそ汁
− 夏に収穫したトマトとバジルをソースにして冷凍しておいたものをかけた2種類のパスタ
− とれたての塩ゆで落花生
− 製菓の町田さん特製梅ドリンク
調理の野中先生が作ってくれた猪丼と猪の南蛮漬けも加わり、試食の準備ができました。
どの料理も、収穫した時のことを思い出して一層おいしく感じました。中でも落花生のおいしさはひときわでした。豆の熟し具合により異なる味わいで、完熟した豆は、ほくほくとした食感でかみしめると甘みと香ばしさが広がりました。少し未熟の豆はしっとりした食感でジューシーでした。さやの周囲のワタの部分もほじくるようにして食べると、落花生の甘みと塩味、ほのかな苦み、香りが感じられました。一番驚いたのが、未成熟の豆です。なんと殻ごと食べることができました。インゲンやさやえんどうと同じなのだなと思いました。さや全体が柔らかい歯ごたえで、筋っぽさはなく、存在感のある苦みと甘み、落花生の香りが口の中に広がりました。初めての経験でした。
作った料理は、全て完食(黙食で)しました。試食の後は、ラボの活動で感じたことや料理の感想、今後のことなど食と農について語り合う(マスクを着けて)時間になりました。冬の試食会、春の試食会に向けて今後も楽しく活動しようと皆でワイワイ話していると、あっという間に時間が過ぎてしまいました。次回の活動も楽しみです。
辻調理師専門学校
井原啓子
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