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『仏教思想のゼロポイント』読んだよ
「読書の秋」と言うものの秋に限らず本は読んでるわけですが、それでもせっかくの「読書の秋」というわけで最近読んだ本の読書感想文と参りましょう。
先日『仏教思想のゼロポイント』読み終えました。「ニー仏」こと魚川祐司による仏教の解説本です。仏教の始祖であるゴータマ・ブッダの教えはなんだったのかが主なテーマ。
以前、はむっち先生とニー仏さんが対談しているツイキャスを拝聴してた時に出てきていた本であり、その時に気になって買っておいたものです。最近『限りある時間の使い方』などを読んで、人生の無常さに打ちひしがれていたところもあり、「無常」と言えば仏教ということで、仏教の勉強をしてみようと思い出したのでした。
もちろん、「仏教に入信せよ」とか、「仏教を信じないものは地獄に落ちるぞ」とか、「この大変霊験あらたかでご利益のある100万円の壺を買いなさい」とかの宗教勧誘や詐欺には一切無縁な至極真面目な本です。
ひたすら、仏教の原点にして始点である「ブッダの教え」という仏教思想の「ゼロポイント」に理性的に迫る本となっています。
仏教の教えは何かと聞かれた時、一般には「一切が無常な世にあってこだわりが人の苦しみの源であるからこだわりを全て捨てて悟りを開いたら楽になれるよ」ぐらいの理解の人がほとんどだと思います(江草もそのレベルです)。
でも少し考えてみれば、「じゃあこだわりを捨ててるなら生きることにも意味がないはずなのにブッダは悟ったあともなぜ生きていたのか」とか「こだわりを捨ててるはずなのに仏教はなぜ人々に教えを説いているのか」とか「こだわりがないはずなのになんで仏教はあんなに○○宗やら✗✗宗やらいっぱいあるのか」とか、仏教には不思議なことが色々ありますよね。
本書は、そういった仏教に関する素朴な疑問を解明してくれていて非常に面白かったです。
もちろん、内容的には複雑で高度な仏教概念も飛び交う難しいもの。これを読んだだけで「仏教完全に理解した」などとは到底言えませんので、ここでド素人の江草がそれぞれの疑問の答えを解説することは力不足過ぎてできません。
詳細はぜひ書籍をあたっていただきたいのですが、ともかくもこういった素朴な疑問の解説を通して、素人の江草も仏教の教えの基本に少しは触れられた気がしたのです。
ようやく仏教のことが色々と腑に落ちた感じです。
そして仏教の教えに腑に落ちたついでに気づいてしまったのが「あ、こりゃ自分には悟るの無理だわ」ということでした。
言ってみれば、悟れないことを悟ってしまったわけです。
というのは、本書でも度々出てくるように、基本的に仏教が理論だけでなく実践も必要とする教えでもあるためで、本を読むなどこうやって言葉で学ぶだけでは残念ながら絶対に悟りの境地にはたどり着けないわけです。
もちろん実践もちょちょいのちょいでできるようなものでなく、そこそこ大変そうなことをしないといけない様子なので、現在進行系で煩悩や日常生活にとらわれまくりな我が身には実践をするのは難しいなと。
まこと残念なことではありますが、悟れないことが悟れたのもひとつ貴重な経験になったと思いましょう。
それにしても、これだけ難しい内容にもかかわらず、それでもとても分かりやすく読ませるニー仏さんの筆力が半端ないです。
ニー仏さんはnoteで有料マガジンも書かれており、江草も購読させていただいてるのですが、いつも思慮に富んで、かつ理路整然とした論の運び、それでいて読みやすい文章で舌を巻きます。
この文章のうまさはnote界隈でも随一なんじゃないでしょうか。
本書は、面白い上に学びも豊富、陳腐化することのない普遍的な内容で、何度も読む価値のある良書でした。
いい読書体験をいただいて感謝です。
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