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研究備忘録:「今日の教室におけるAIの価値」の翻訳
ウォートン・ファミリー財団は、2024年5月7日から15日の間に、ChatGPTに対する教師と学生の態度を調査する全国調査を実施した。このオンライン調査は、K-12教師(n=1003)、12歳から18歳の学生(n=1001)、学部生(n=1003)、およびK-12学生の保護者(n=1003)を対象としている。サンプルは、米国国勢調査および米国教育統計センターの統計推計に基づいて人口統計学的に調整されている。各サンプルの結果に対する信頼区間は95%であり、誤差範囲は±3.1%である。なお、サブグループの信頼区間はさらに広い。ペンシルバニア大学ウォートン校のイーサン・モリック先生のオンライン授業の教材とて、この「今日の教室におけるAIの価値」という英語の報告書が、参考資料として提示された。https://8ce82b94a8c4fdc3ea6d-b1d233e3bc3cb10858bea65ff05e18f2.ssl.cf2.rackcdn.com/42/9d/bee8d64244e8ab3dd3e92a64e422/final-impact-poll-summary-ai-in-schools-june-2024.pdf
その翻訳は下記の通り。
記
2024年6月3日
宛先:関係者各位
差出人:ブライアン・ストライカー/オーレン・サヴィール
件名:全国調査結果について
アメリカ人は、日常生活および教室内でAIチャットボットを利用しており、多くの教師、保護者、学生が今後5年間でチャットボットの使用が増加すると予測している。大多数はAIチャットボットに対して肯定的な意見を持ち、学業に対してポジティブな影響を与えていると考えているが、チャットボットの適切な使用に関する明確なガイドラインを学校や学区が設けているという報告は少なく、また教師向けのチャットボット活用に関する専門的な研修が行われている例も少ない。
教育やその他の分野におけるAIの台頭と普及について、多くの議論が行われている。これらの議論では、しばしば重要な利害関係者である保護者、学生、教師の視点が欠如している。
2023年、ウォートン・ファミリー財団は、ChatGPTに対する教師と学生の態度を調査する初の全国調査を実施した。この調査結果は、教育者と学生がイノベーションを受け入れ、AIが従来の教育を有意義に支援できる可能性について楽観的であることを示している。さらに、2024年5月7日から15日に実施された新たな調査では、保護者、学生、教師の間でAIに関する知識と教育への支持が拡大していることが明らかになった。これらのグループの80%以上が、AIが教育にポジティブな影響を与えたと回答している。
主な調査結果
アメリカ人はAI全般に対して概ね肯定的な意見を持ち、仕事や日常生活で活用している。
教師の59%、K-12学生(小中高の学生)の70%、学部生の75%、K-12学生の保護者の68%がAIチャットボットに対して好意的な見解を示している。それぞれのグループの約4分の3が、個人的または学校・職場でAIチャットボットを使用した経験があると回答している。
さらに、教師の46%、保護者の51%、K-12学生の48%、学部生の46%が、少なくとも週1回以上AIチャットボットを使用していると報告している。
大多数のアメリカ人はAIチャットボットが教室にポジティブな影響を与えていると考えている。
K-12学生の63%、学部生の66%、K-12保護者の57%が、チャットボットが自分または自分の子どもの授業にポジティブな影響を与えたと回答している。
教師はやや慎重な意見を示しているが、肯定的な意見の割合(48%)は否定的な意見(19%)の2倍以上であり、影響がないとする意見は22%であった。
教師がチャットボットを使用する主な目的
37%:授業の創造的なアイデアを得るため
32%:授業計画および教材作成の支援
32%:学生用のワークシートや例題の作成
31%:授業内容に基づいたクイズやテストの作成
K-12学生がチャットボットを使用する主な目的
56%:エッセイや課題の執筆
52%:テストやクイズの勉強
大学の学部生がチャットボットを使用する主な目的
61%:テストやクイズの勉強
56%:エッセイの執筆
53%:学問的知識の深化
学生の大多数が、AIを使いこなす能力が将来のキャリアにおいて重要であると考えている。
K-12学生の30%、学部生の28%が、AIの使い方を学ぶことが将来の職業に必要不可欠になると考えている。
多くの教師、学生、保護者が、学校にAIに関するポリシーやサポートが不足していると感じている。
各グループは独自にAIを活用しているが、AIを効果的に活用するための支援や研修、ガイダンスを管理者に求めている。
教師の66%が、学生が学校の課題でAIチャットボットを使用することを許可しているが、学校でAIチャットボットの使用に関するポリシーがあると答えた教師は32%に過ぎない。
K-12学生の34%、K-12保護者の27%も同様に、学校がチャットボット使用に関するポリシーを持っていると回答している。
一方で、大学では52%の学部生はポリシーが存在すると回答しており、他のグループより高い割合を示している。
教師の25%しかAIチャットボットに関する研修を受けておらず、32%の教師はAIを授業で活用しない理由として、研修や専門的開発が不足していると挙げている。
また、25%の教師は、AIを使用する際の適切性に関するガイダンスが学校や学区から十分に提供されていないと感じている。
保護者は子どもの学習を支援するためにAIを活用しており、特に有色人種の保護者にとって価値ある学習ツールと考えられている。
全保護者の40%が、子どもの教育に関連する目的でAIチャットボットを使用したと回答している。
全保護者の69%、黒人の保護者の74%、ヒスパニック系保護者の73%が、AIチャットボットを子どもがより多く、そして、より速く学ぶための価値あるツールであると考えている。
また、保護者の47%が学校でのAIチャットボットの使用を増やすべきだと考えており、減らすべきだと考える保護者(36%)を上回っている。
この傾向は特に黒人(57%増加を希望/33%減少を希望)およびヒスパニック系保護者(55%増加を希望/32%減少を希望)で顕著である。