『ねにもつタイプ』を読み終えた。
岸本佐知子さんの妄想が詰まった作品集。
僕の頭の中だけで考えている誰にも言わないようなことみたいなのもあってすごく共感した。
その中から一つ。
刑事「なぜ火をつけたのだ」
犯人「モヤモヤしていたからです」
刑事「つまり、むしゃくしゃしていたわけだな?」
犯人「いや、”むしゃくしゃ”はちょっと違うな。自分的には”モヤモヤ”が一番ぴったりくるんですけど」
—刑事”むしゃくしゃしてやった”と記入。
犯人(それを覗き込んで)「ちょっと待ってください。#むしゃくしゃ”じゃ私のあの時の微妙な心理は表現しきれません。”モヤモヤ”に訂正してください」
刑事「大して変わらないだろう」
犯人「いや、全然違います。私は私の心に忠実でありたい。あなたは私の表現の自由を奪うのか」
—刑事”むしゃくしゃしてやった”を二本線で消し、”わけのわからないことを供述”と記入。
他の人からすると「こういう事でしょ?」てことが自分の中ではそうじゃないことがある。
そんな言葉のちょっとしたニュアンスや意味や自分の中での存在を大切にしたい。
伝わらないから”わけのわからないこと”で済ませてはいけない気がする。