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自分で本を出した後、どうやって売るか?
わたしは、今、自分で書いた小説『すべてのことばが起こりますように』を、自分で本にして出そうとしている。今まで本を出したことはない。何もかもがあまりに手探り。とはいえ、ネットで調べたり、人に訊いたりして、少しずつカタチになってきている。
このところ、本をつくる作業は少し止まっているように見える。しかし動いている。少しずつ動いている。今、本のデザインをやってくれる人が、まさに表紙のデザインをやってくれている。少しずつ。ゆっくりと。だから一月に出すつもりだったが、このままだと二月になりそうだ。その旨を藤原印刷に連絡を入れた。
その間にわたしは、どうやって売っていくかを考えていた。300部刷るつもりなので、300冊売る。とはいえ、金儲けでやっているわけではないし、どれだけ売っても金にならないから、自由に売っていこう。BASEという自分でオンラインショップを開設できるサイトにまずは登録してみた。他にBASE やstoreなど同じようなサイトが色々あるようだが、BASEにした。決めた理由はもう忘れた。開設したのは一ヶ月ほど前のことだ。後々、出す。
色々と調べていくうちにトランスビューという出版社があり、そこが取引代行とうサービスを行っていることを知る。「百万年書房」や「いぬのせなか座」をはじめ、数々の小さめの出版社の本がそこから発信されていることに気づく。
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出版社から本屋に本が移動する間には、「取次会社」という本を全国にばら撒いてくれる業者が入るのをご存知か。わたしは知らなかった。この仕組みは色々とややこしいのだが、ISBN+JANコードがついた本なら、取次を経由して全国の書店に売ることができるという仕組みらしい。とはいえ、売れる本じゃないと書店はいつまでも置いてくれず、返品も当たり前。それはおかしい、となるべく返品率を下げるべく、実際に直接注文された本をなるべく早い日数で卸すようにしているのが、トランスビューの取り組みだそうだ。わたしの説明はかなり雑だ。おそらくところどころ間違っている。出版社側としては、取次会社に任せれば楽な分、当たり前だが使用料金がかかる。
そもそも数千部ならまだしも、わたしのような300部という小部数でトランスビューに頼むなんて、逆に損をするのではないか。ここら辺の匙加減のことは、調べても全く出てこない。部数とかお金のことはどこも公開しない。自分で何とか調べるしかない。ということで、ネットで文献を読み漁り、次いで図書館でトランスビューについて書かれた本を借りてきて、読んでみた。
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読み終わった。
全てを理解できたわけではないが、読むとやはりとてもいい仕組みに思える。しかし同時に、そんなの自分で売ればいいじゃん! そもそもなぜそんな全国規模で売りたいんだっけ? とも思う。ISBN+JANコードを高い金を払ってわざわざ付けたのだから、制度上それは可能だ。だから……か? そんな必要あるんだっけ? じゃあ、なぜISBN+JANコード取得したのだ。いらないじゃないか。3万2000円ももったいない! ……あまり何も考えずに買ってしまったのだ。バカだ。うん、もったいないから、取次を通して全国に売ろう! バカ、売れるわけねえだろ! 本末転倒!
散々考え、結局いくらかかるかの料金表を知りたくなり、それはホームページには載っていなかった、わたしはトランスビューに申し込みを考えているという旨のメールを送った。それと、わたしの300部という規模感はどの程度のものなのですか? あまりこれくらいで御社に依頼する人はいないのでしょうか?
翌日、返事が来た。
結論からいって、小説の作者であるわたしが自分で本を出すというこの形態で、トランスビューの取次代行をお願いするのは、金銭的にかなり難しいということわかった。料金表を拝見して、毎月の料金がどんなくらいのものかを把握した。それは、もっとひとり出版社としてかなりしっかり経営している人向けのサービスなのだとわかった。300部で、この先継続的に本を出す見込みもないわたしには、そもそもまだ一冊も出ていない、だいぶハードルの高い話だった。
この当時、わたしはいざとなれば1000部刷って売ってやる! いやもう1000部刷ろう! キリもいいし、とかなり息巻いていたのだが、すぐさまその思いは消えた。
なるべく自分の手で、300部売っていこう。
本屋さんとの直取引という話も少しわかったことだし。
さてこの先、わたしの本を取り扱ってくれる本屋が現れるのだろうか。本屋に限らずカフェでも雑貨屋でも何でもいい! こんなところに本が! 誰が買うんだ! と思われるような場所で、売られていたら最高だ。
おれは、何年も小説を書いていて、新人賞に応募して落ちてオシマイとしてきました
— 江藤健太郎 (@EtoKentaro) October 19, 2024
でも最近、「賞をとってない本は出してはならぬ」という「刷り込み」が消え、だから自分で本を作って出すことにしました
12月中に、多分出ます
タイトルは『すべてのことばが起こりますように』#小説 #自分で出す