【ハイディンガーのブラシ】目に見えない偏光を感知する方法
みなさんは偏光という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
理系の方なら一度は聞いたことがあるかもしれませんが、そうでなければ一生触れ合わない言葉かもしれません。
それもそのはず、偏光は光のある状態のことを指すんですが、通常私たちの目では認識することができないからです。
私もずっとそう思ってきましたが、実は人間にはこの偏光を認知できるという特徴を持っていることがわかりました。
それは一体どういうことなのでしょうか?
ということで、今回は偏光を感知できるハイディンガーのブラシという現象を紹介したいと思います。
偏光とは
そもそも偏光とはどのような状態なのでしょうか
それを知るためには、まず光の性質について理解しなければなりません。
私たちが普段目にする光というのは電磁波の一種です。電磁波というのは電場と磁場が波をなしている状態です。そんな電磁波の内、特定の波長域の波に関して私たちは認知することができ可視光と呼んでいます。
そのような電磁波の振動は一方向ではなく、様々な向きに振動している電磁波が私たちの身の回りには飛び交っています。つまり、太陽から私たちの目に真っ直ぐ届く光も実は様々な方向に振動している電磁波の集まりということができるんです。
このうちある特定の方向に振動している光だけを取り出したものを偏光と呼びます。
例えば、私たちが普段利用している液晶モニターは偏光を利用しているため、あまり感じたことはないと思いますが、日々偏光による画像を見ていることになります。
また、偏光板と呼ばれる特殊なフィルターを通すと、自然光の内特定の偏光のみを見ることができます。当然、偏光を見たところで、それが偏光であることを認知するのは困難なわけですが…
ところが、ある特殊な条件では、偏光による現象を人間の目で見ることができると言われています。それがハイディンガーのブラシです。
ハイディンガーのブラシ
なんだかかっこいい名前のブラシですが、これは一体どういう現象なんでしょうか。
これは人間の目が、ある特殊な状態の偏光を認識するときの模様です。特殊な状態というのは、一方向に振動している変更が回転しながら目の中に入るときを指します。
私はこの絵を見たときに、こんな画像見たことないと思いました。ただ、面白いことにこのハイディンガーのブラシ、コンピューターの液晶モニターを使って試してみることができるんです。
モニターいっぱいに白い画像を用意して、頭を右、左、右、左、と倒してみてください。私たちの目から見たら画面が180°行ったり来たり回転していることになります。(この記事の最後に広めの空白を用意しておきます。)
すると、白い画面の中心に淡い小さな模様が見えたのではないでしょうか。これには個人差があるようで、全ての人が見えるとも限らないようですが、私は実際にやってみて確かに見えたような気がします。
原因と応用先
ハイディンガーのブラシのサイズは網膜の中心部にある黄斑と呼ばれる部位の大きさに相当すると言われています。この現象自体は黄斑にある円環状に並ぶ色素の分子の偏光二色性によるものとされています。
また、ハイディンガーのブラシという現象は黄斑での知覚確認に利用することができるそうです。現在、ハイディンガーのブラシを利用したMacular Integrity Tester-Trainerと呼ばれる装置が眼科領域で使われているようですね。
この光と身体に関係する摩訶不思議な現象が医療に応用されているというのは驚きです。
最後に
今回は、偏光を感知するときに目にするハイディンガーのブラシについて紹介しました。
身近なところに、こんなにも不思議な現象があると思うと驚きですね。
ちょっと調べてみても情報が少なく意外にもWikipediaが一番詳しいという状態でした。情報元があまりないということもあるので、後半の原因や応用例についてはこんなものもあるのかな~ぐらいの感覚で読んでもらえればと思います。
それでは最後に、ハイディンガーのブラシを見てみましょう。下の白い空間に対して頭を左右に何度か倒してみてください。個人差あるかもしれませんが、見える人には見えるでしょう!
ハイディンガーのブラシ見えましたか?