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【tabasheer】竹が生み出すミルクのような液体

竹を傷つけたりするとその表面から白いミルクのような液体が出てくるようです。
今日はそんな不思議な液体のお話です。

このミルクのような白い液体は時間が経つとかたまり、粒上の砂のようになるといわれています。

近年、アーモンドミルクやココナッツミルクというのが流行っていますが、竹がつくるミルクとはいったい何なんでしょう?

それでは、この怪しげな竹のミルクについて紹介したいと思います。


謎の液体の正体は?

ミルクのような液体の正体は、主にシリカでできています。
つまり竹ミルクではなくて竹シリカですね。

※竹シリカとググると、何やら科学的には怪しげな記事が出てくるので要注意(シリカ水に関する所感はおまけに書きました)
ここでは学術論文の記事をもとに竹シリカについて紹介していきます。

実はこの竹シリカには正式名称があり、英語では”tabasheer(タバシャー、タバシア?)”、日本語では”竹みそ”というようです。

”竹みそ”なんて言葉初めて聞きましたけどね

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固まるとこんな感じの塊になるみたい


竹シリカ”Tabasheer”とは

名前からして怪しげな”Tabasheer”ですが、もともともともとアジア地域(中国・インド)で薬として使われており、それがアラブの医者によって西ヨーロッパに伝えたともいわれています。

この竹シリカ”Tabasheer”はミルクのような液体を乾燥させることでできますが、何もしなくても竹の節の中で見つかることもあるそうです。

竹を切ったらかぐや姫ならぬ石ころ状の”Tabasheer”が現れるといった具合ですね。

竹シリカ”Tabasheer”成分は
70% シリカ
30% カリウム(石灰)、水、有機物
とのことです。燃焼して水を飛ばすとかなり純度の高いシリカ成分が残るともいわれています。

この”Tabasheer”ですが、いろいろ調べられているものの他の物質とどう違うのでしょうか?でき方が異なっていても似たような物質を作ることはできますからね

通常、シリカとは二酸化ケイ素(SiO2)と呼ばれる物質で、非常にありふれたものです。(Siがシリコン=ケイ素ですね。)
砂に含まれる石英や、ガラスの主成分になったりもしています。

一方、固体になった竹シリカ”Tabasheer”は非常に小さな穴がたくさん開いているポーラス構造となっているそうです。このスポンジ状のポーラス構造は最近でも注目されており、非常に大きな表面積を持つので触媒や吸着材などに使われています。

これがポーラス構造↓ wikipediaより引用

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何の役に立つの?

Tabasheerのwikipedia記事を見ると、薬として使われていたと書かれていますが、今はどうなんでしょうね

健康や医療はセンシティブな内容なので、くれぐれも怪しげな情報には惑わされないように気を付けてくださいね

個人的に竹シリカ(Tabasheer)は、以前紹介したイネの植物が作り出すプラントオパールの一種なので、シリカゲル、シリカガラスへの応用は考えられそうですね。

そんな具合で調べてみると非常に面白い研究がありました。

どうやら、スポンジ状のポーラス構造を持つシリコンに薬剤をしみこませて投薬するという研究があるようです。注意しなければならないのはスポンジはシリコンであってシリカではないというところ。

しかし、その研究ではマグネシウムを使って竹シリカから酸素を取り除き(還元)、スポンジ状のシリコンを作ってしまうというのです。

実際、医療用材料として使えるのかは、専門でないのでわかりませんが、確かにスポンジ状の構造ができている様子はわかります。今後、竹シリカを使った新材料の開発なども行われるかもしれませんね。


最後に

この記事は普段聞いているPodcast番組researchat.fmの”tabasheer”の回を聞いて面白かったので調べたものです。

大昔のNatureに投稿された日本人研究者の特集の中で紹介されていました。

なので、原著論文を探しても1800年代後半の古いものがたくさん出てきます。しかも有用な情報はあまり多くないという…

100年前の世界でTabasheerの研究が盛んだったのは興味深いですよね。
また最近では最後に紹介したような新材料への応用も期待されているようで、意外と目を離せない物質かもしれません


おまけ:シリカ水

何やら怪しげなシリカ水ですが、いったい何なのか簡単に調べてみた所感を書いてみたいと思います。それほど明確な根拠はないので間違っていたらごめんなさい

どうやらシリカ水とは一般的なミネラルウォーターよりもシリカ含有量が多く、そのため体にいいと謳っているようです。しかしながら、現在シリカ水によって健康になるという話はないようです。

シリカ水の怪しさは、特別健康になるというエビデンスがないという点と激しい広告活動、加えて一部のスピリチュアルな人たちが愛飲するという点にあるのではないでしょうか

そもそもシリカなんて摂取しないといけないの?って思ったのですが、どうやら多少なりともシリカを摂取する必要はあるようです。まあSi元素を体内で錬成できるわけないですからね。

ただ案の定、私たちが普段食べる食材にもほんの少しシリカ成分を含むものがあり、シリカ水なんか飲むよりバランスの良い食事を心がければ、何も問題はなさそうです。

将来、普通のミネラルウォーターに含まれているカリウムやマグネシウムを使って、カリウム水とかマグネシウム水とかラベルの付いた水が売られるかもしれませんね。個人的には嘘っぽく(危なく)聞こえるので、普通においしい水でいいと思うんですが…


参考文献

The Relation of Tabasheer to Mineral Substances
JOHN W. JUDD
Nature volume 35, pages488–491(1887)


Single Plant Derived Nanotechnology for Synergistic Antibacterial Therapies
Jhansi R. Kalluri, Roberto Gonzalez-Rodriguez, Phil S. Hartman, Armando Loni, Leigh T. Canham, Jeffery L. Coffer
PLOS ONE | DOI:10.1371

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