論理的な文章の書き方
以前,noteで文章の書き方について紹介したら,なかなか好評だったので,誰もが苦手な論理的な文章の書き方というタイトルで書いてみたいと思います.
ビジネスの現場では文章を書くときに論理的に書きなさいと言われますよね.
でも,普通の人からしたら論理的な文章ってどうやって書くの?って思いませんか.義務教育で論理的な文章の書き方なんて教えてくれませんからね.(少なくとも覚えてないですよね)
ということで,今回は論理のつなげ方という観点でわかりやすい文章の書き方を紹介したいと思います.
実は,論理的な文章を書くにはいくつかのテクニックがあります.
それが以前紹介した構造化とパラグラフライティングと今回紹介する論理のつなげ方です.
まず,文章というのは一次元の情報になっています.恐らくこれだけ聞いても,どういうこと?ってなりますよね.
例えば,地図や組織図といった図やグラフというのは,上下左右に関係性を記載することができるため2次元の情報になっています.それに対して,文章というのは一次元になっています.
いやいや,上下の文章も確認できるよ,と思われるかもしれませんが,あなたが文章を読むときは基本的に上から順を追って読みますよね.
学術的な論文や会社の報告書・提案資料など論理的に書かなくてはいけない文章というのは,たいてい次のように論理がつながっています.
①AなのでBである.②BだからCである.③Cという理由からDである.
ここでは便宜的に①②③とつけていますが,これを滅茶苦茶な順番(例えば③→①→②)で読む人はいないはずです.
地図であれば,東西南北どこから見てもいいですし,いきなり隣町を見てもいいわけですから,その点では地図は二次元,文章は一次元であるといえるでしょう.
比較的自由度の高い2次元的な情報である図やイラストに比べて,文章を書くことは難易度が急激に上がることになります.
大学の先生や職場の上司から,「文章がつながってないよ」とか,「論理が飛躍してるよ」といわれた経験がある人も多いのではないでしょうか.
これは,この一次元の情報が途中で断絶していたり,飛んでいたりするということを意味してます.自分の中だけで納得している論理はときにつながっておらず,飛び飛びになっていることが多いのです.
具体的な論理のつなげ方
さて,それでは具体的にどうしたら論理をつなげることができるのでしょうか?
例として,新しいダイエットのための筋トレ方法を提案する書類を作るとしましょう.ここではこの提案書類の内容の作り方ではなくて,文章の書き方にフォーカスして展開します.
よほどの天才でない限り,長い文章の論理をつなぐのは困難です.そこで,はじめに自分の主張を構造化します.
章・節の設定
文章構成は,会社や業界によっても異なりますが,主要な項目としては,背景,目的,方法,結果,考察,結論があれば良いと思います.これは科学論文と同じですが,ビジネスであれば,予算,ステークホルダーなどの項目があってもいいかもしれません.
これで文章における章が決まります.必要に応じて,方法や結果の詳細は分割して節にしてもよいですね.
例えば,【方法】の章の中に記載したい「胸部の筋トレメニュー」と「大腿部の筋トレメニュー」はひとまとめにするのではなく,違う説で議論したほうがよさそうです.このように,自分の主張を構造化して,一目でどこに何が書いてあるのかわかりやすくするというのが最初のステップです.
段落(パラグラフ)の設定
さらに,構造化を進めます.
「胸部の筋トレメニュー」の節の中で,メッセージが4つあったとしましょう.
その時は,いきなり書き出すのではなく,4つのメッセージを箇条書きにしてみます.この4つのメッセージが4つの段落(パラグラフ)になります.
例えばこんな感じですね(内容はテキトーです.)
筋トレ環境の準備
腕立て伏せの仕方
筋回復の正しいやり方
大胸筋によい食事(補足)
プレゼンで1スライド1メッセージということを聞いたことがある人は多いかと思いますが,文章におけるパラグラフも一緒です.1パラグラフ1メッセージとして,文章を書くのをお勧めします.
そして,次に考えるのはパラグラフの順番です.先ほど4つのメッセージがあったかと思いますが,実は自然な流れにしています.上から順に筋トレの準備→実施→翌日の休養→食事(補足)となっています.これが筋トレの準備→食事→休養→実施となると,突然話が飛んでしまって,読者は迷子になってしまいます.
メッセージをどの順で伝えるのが効果的なのかまたはわかりやすいのかをよく考えることも大事です.普段,自然にできていることでも,いざ真面目な文章になると滅茶苦茶になってしまうというのは良くある話ですからね.
文章の作成
最後に,各パラグラフの内容の論理をつなげます.
小手先のテクニックですが,私は以下に気を付けています.
パラグラフは長くしすぎない
接続詞は多用しない
適度に指示語を使用する
パラグラフは長くしすぎない
パラグラフは一つのメッセージです.これが長すぎるというのは,1枚のスライドで5分も10分もしゃべっているのと同じです.他のパラグラフとのバランスが取れていないときは,何かしらメッセージの伝え方に問題があるといってもいいでしょう.特殊なケースを除けば,パラグラフはある程度同じぐらいのサイズにまとまるはずです.
接続詞は多用しない
一つのパラグラフの中で,接続詞を多用してしまうと読み手が混乱します.わかりやすい例では,一つのパラグラフに”しかし”が2回も3回も出てくるパターンです.逆説が何度も出てくると元の主張に戻ってきてしまうため,読者はメッセージを見失います.
また,”よって”,”したがって”といった表現は論理的な文章を書いていれば,それほど使う必要がないといいます.そもそも論理的な文章が書けていれば,次の論理を導くための”よって”,”したがって”などの接続詞を強調以外で使う意味はあまり必要がありません.
真面目な文章において目的のない接続詞は嫌われます.なぜそこに接続詞を入れる必要があるのかよく考えてから使うといいと思います.
適度に指示語を使用する
指示語の多用は避けた方が良いといいますが,私は適度に使っています.よく使う例としては,以下のような使い方ですかね.
腕立て伏せをするときは,両手を肩幅以上に広げて行うと大胸筋を効果的に鍛えることができる.この方法では~~が可能になり…
指示語の効力により,接続詞を使わずとも論理をスムーズにつなげることができます.逆に,指示語がうまくつながらない場合というのは,論理構造に欠陥があるともいえます.
ちなみに,私は読みやすさよりも見やすさを優先して,noteではパラグラフをばらして2,3行になるようにしています.パラグラフライティングはSNSには向いていないでしょう.
表や図を駆使する
また,可能な場合は箇条書き,表,グラフ,模式図を利用します.人間は構造化された2次元の情報の方が理解しやすい生き物です.例えば,以下のような文章は,長くて読みにくいと感じますよね.
筋肉を増やすメニューは,バンバンジー,納豆,ポークビーンズ,回鍋肉,焼き魚,プルコギ,クラムチャウダー,モッツアレラチーズのカプレーゼ,豚の生姜焼き,豚しゃぶ,湯豆腐,タンドリーチキンなどです.
これは,以下のサイトの表の内容をバラバラにして,1行で書いたものです.このような情報は表にして示したほうが圧倒的にわかりやすいわけですね.
最後に
長くなってきたのでこの辺で終わりにしようと思います.
もう少し興味があるよって人は,おまけも読んでくれると嬉しいです.
私はもともと論理的な文章が書ける人間ではありませんでした.普段の勢いで書いているnoteをご覧になった方はわかると思いますが,私は文章が苦手です.
論理的な文章の書き方はスキルであるため,方法論を知っていれば,推敲を重ねて人並みの文章に仕上げることが可能です.
もし,文章の書き方で悩んでいる人がいたら参考にしてもらえればと思います.
おまけ:振り返り
本編の説明では,文章という非常に複雑な論理構造体を複数のレイヤーに切り分けて考えました.
どういうことかというと,はじめに章(節)を設定しましたよね.その後,パラグラフの順番を設定し,最後にパラグラフの中身の文章のつなぎ方を紹介しました.
文章作成では,フォーカスする点を変えることで,パズルのように組み立てなおすことが可能になります.
例えば,背景,目的,方法,結果,考察,結論の流れはすでに整った論理の順番なので,特別理由がない限り変わりませんが,大胸筋と大腿筋の話は並列関係なので,順番を入れ替えても問題はありません.筋肉の部位の説明順序を変えても,大腿筋パートの4つパラグラフの順序を変える必要はありません.つまり節という塊で移動させることができるわけですね.
文章というと文字の羅列のように思えます(確かにそうなんです)が,構造化すると設計図を作っているのと同じ感覚になります.
エアコンの電池がなくなったからといってボタンを取り外して修理はしませんよね.それと同じで,文章の一部が悪かったからといって最初から全部直す必要はありません.
構造化されていれば,問題の悪かったところだけを明確に直すことができます.そういう意味でも,構造化の効力は非常に強いんです.
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