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オリーブ収穫体験に参加したらオイルのなかに畑の風景と人の顔が浮かんでみえた
9月29日に澳敬夫さんが代表をつとめる高松市の「澳オリーブ」におじゃましてオリーブの収穫体験イベントに参加してきました。
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澳オリーブは、いつもnote執筆でお世話になっている「乃木坂しん」や、「No Code」をオープンしたばかりの米澤文雄さん、「ブリアンツァ」の奥野義幸さんといった高級店で見かけていて、一方的に注目していました。
米澤さんと奥野さんが主宰するオンラインサロン「Close Table」のオフ会で、運よく澳さんにお会いしできたこともあって、収穫祭に参加をさせていただいたのです。
和食にあうオリーブオイルから
始まった澳オリーブ
高松空港から車で20分ほどで、澳オリーブのオリーブ園と搾油所、そして宿泊施設があるゲストハウス「澳邸」がある場所につきます。
香川県のオリーブオイルの産地では、小豆島が知られていますが、澳さんのオリーブ園は四国本土にある山間の場所にあります。
この日は、澳オリーブの収穫体験と、東京・白金高輪の一つ星の「クレリエール」の食事(昼夜)がセットになった特別な企画でした。
クレリエールからは、オーナーシェフの柴田秀之さんだけでなく、支配人の千葉収之さんやパティシエの野田美稀さんたちスタッフ全員が高松にやってきて、一般参加のゲストとともに収穫を手伝いながら、その日限りの料理を作り、収穫したメンバーに振る舞うというもの。
澳さんいわく「収穫はオリーブ農家にとってもっとも大切な期間」ということで本来なら収穫準備期間にイベントをしないそうなのですが、澳オリーブのことを良く知ってくれている柴田シェフであれば、ということで奇跡的に実現した企画です。今回は、個人ではありますがメディア枠でお声がけいただき、貴重な機会をいただきました。
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元証券マンだった澳さんは、「和食にあうオリーブオイル」を目指し9年前にオリーブ畑を開園、4年前から搾油をはじめました。澳さんのオリーブオイルは、イタリアやスペインのパンチのある味わいとは違った、日本の風土からくる繊細なオリーブオイルは、近年評価が高く、目指している和食やフレンチの高級店で使われています。
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無心になれる収穫、意外と快感
朝10時に農園集合すると、さっそく収穫場所に移動し、澳さん自ら手摘みのレクチャーをしてもらい、さっそく収穫体験です。
みなさん黙々とオリーブの木に向かいます。高松の山の斜面を利用した畑は気持ちよく、いるだけでリフレッシュされます。さらにオリーブを摘むのは、ある意味単純作業。手でオリーブを摘みながら、次に摘むオリーブを探して、また摘む。この繰り返しをしていると、次第に余計なことを考えなくなり、ゾーンに入っていきます。
体験というより、むしろがっつり収穫作業です(笑)。
澳オリーブは、超早摘みのオリーブから作るのが特徴。品種は「ミッション」で、香川県では多く栽培されているオリーブ品種です。
ミッションの収穫時期は、10月初旬以降で2週間ほどだといいます。しかし、今年はオリーブが完熟するのがかなり早まったこともあり、イベントの数日前から大急ぎで収穫を始めることになったそうです。
イベントを開いた9月末は、本来は収穫直前。「本当は、こんなに急いで収穫をしている時期ではなかったから、イベントの予定を入れていたんだけど、天候はどうにもならないからね。みなさんに、一生懸命収穫をさせちゃってごめんなさい」と澳さん。
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オリーブの収穫のポイントは、摘んでとるときに、小さな枝をつけないこと。オリーブの実以外が加わると雑味になってしまうからです。
あとは、とにかくスピード。人差し指と親指で、オリーブの実の先端を摘んだら中指で包み込むように手前に引き込み、実だけをとります。取った実は、腰につけた袋に入れて、すぐに次の実へ。
慣れてきたら両手を使って摘んで、実を袋に入れているのはノールックで、目は次のオリーブを探し、すぐに次の標的をロックオンする。
じつはワイン用ブドウの収穫もお手伝いしているのですが、そのときの感覚とこのあたりは同じ。もくもくとやっていると、もっと早く摘むにはどうしたらいいだろうと考えながら、1回1回微調整をしながらできるだけ無駄な動きをしないような動きを編み出していきます。とにかく、最短距離で頭と手を動かす。そんなことを考えていると、あっという間に時間が過ぎていくのです。
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お昼休憩は、クレリエールのパスタ!
10時から12時までみっちり収穫した後は、楽しみなランチ。クレリエールチームがオリーブ畑内にある「ガーデンカフェ」で作ってくれたパスタに加え、甘味でカヌレも用意してくれました。
魚介のパスタに澳オリーブをスプレーで3吹きほど。オリーブ畑を見ながらカフェのテラスで食べるなんて最高です。
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園内には国際的な作家のアート作品もあります。このあたりは「瀬戸内国際芸術祭」が開催される香川県ならではです。
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お昼休憩のあとは、午後もしっかり収穫作業です。
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オリーブは、摘んだ瞬間から酸化による劣化がはじまるといいます。澳オリーブでは、収穫後4時間以内に搾油するということで、僕たちが摘んだオリーブも、その日の夕方には搾油所に運ばれ、プレス機を使って搾られます。
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オリーブの収穫後、澳邸に戻ったところで、澳さんにお話を聞く機会を得ました。そのなかでもっとも驚かされたのが、オリーブ園内のガーデンカフェのリニューアルです。そのイメージ図(下のイラスト)も見せていただいたんですが、これめっちゃいい。
畑の斜面に建てた建物の上に地面を作って、洞窟のような鏡張りのデザインになるそう。これ実際にできたらどんな風になるんだろう。オリーブという自然の美しさと、建築の美しさが重なり合う風景を想像するだけでワクワクします。完成したら、また遊びにいきたいです!
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1日90㎏を収穫して16本のオリーブオイル
一般参加の方と、メディアのみなさん、クレリエールチームであわせて90kg収穫。それでも、実際に搾ってオリーブオイルになるのは3㎏ほどでした。
オイルと水との比重は0.9ですので、3㎏だと体積は3.3kℓ。200㎖瓶で16本分になる計算です。1日、これだけ大勢でやって16本です。
澳オリーブでは、超早摘みが特徴で、完熟前は完熟後に比べて搾油量が少なくなってしまうこともあり、もともと量は少ないそうです。とはいえ、体感としては「え、それだけなの?」という感じで、オリーブオイルの貴重さを体感できる良い機会になりました。
ちなみに搾りたてのオイルを、ありがたくもテイスティングさせていただきました。さわやかで青々しい繊細な香りと、喉の奥にくる辛み、サラサラな口当たりは、澳オリーブの個性を存分にあらわしているといえます。
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自分たちで収穫したオイルを味わう喜び
夜は、澳オリーブ園内にあるカフェで、クレリエールの特別ディナーです。スタッフ全員が高松に来たので、ここは完全に白金高輪のクレリエールです。
陽もくれ、いよいよディナーがはじまります。もうこの空間だけで最高の時間が確定です。
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澳オリーブのオリーブ園の景色が、フランス・プロヴァンスをイメージさせたということで、南フランスの料理をもとにした4品の料理が運ばれてきます。
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「オリーブハマチのカルパッチョ」と「ブイヤベースのリゾット」には、搾りたてオリーブをかけて食べます。とくに、魚の出汁のうま味がたっぷりのブイヤベースのスープのリゾットは、緑のオイルを加えることで色彩の共鳴がおき、いっそう美しくオイルの緑を引き立てます。
さらに味わいも一気にオリーブのさわやかな香りが駆け抜け、南仏のギラギラ暑い景色から、昼間みた澳オリーブのオリーブ畑の景色のように一変します。オリーブオイルの魔法です。
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そして、衝撃的においしかったのがデザート。生クリームは使わず、牛乳・砂糖・水あめ、油脂分としてオリーブオイルを使ったアイスに、グラニースミスとライムでマリネしたセロリのスープに、搾りたてオリーブオイルをサラリ。
26歳のパティシエール、野田美稀さんのセンス!澳オリーブを活かしたレストランのデザートです。それもそのはず、このメニューはすでにクレリエールでも出しているものだそうです。
オリーブオイルは製品ではなく収穫物だった
オリーブオイルは、オリーブを搾油した加工品ということもあって、僕の中には、どこか工業製品としてのイメージが強くありました。
しかし今回、原料になるオリーブの収穫体験だけでなく、その搾油過程や、オリーブが育つ土地、そしてそれを育てる澳さんをはじめとする人々の手について知ることができました。
すると不思議なことにそれまでブラックボックスからポンと飛び出てきたような工業製品としてしか見ていなかったオイルの向こう側に、オリーブ園の景色や、そこで働く澳さんたちの姿が見えてくるようになるから不思議です。
そしてなにより、自分たちで収穫したオリーブを、すぐに搾油して、その日の晩に料理として使うなんて、一生に一度あるかどうかという、こんなに貴重な体験を用意してくださった澳さん、クレリエールのみなさんに感謝しかありません。
毎年やるのは大変かと思いますが、ぜひまた来年も開催していただき、オリーブオイルのことを知るきっかけを作ってくださればと思います(そして、できたらまた参加したい)。
澳さん、ありがとうございました。
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