■深慮遠謀が跳梁跋扈する―平山優『徳川家康と武田勝頼』
大河ドラマ『どうする家康』、ご覧になってますか? 6月は長篠の合戦があったと思いきや、築山殿の事件にねこまっしぐら! で、まじそれどうする?となっていますね。
そんな殿潤さまに襲い掛かる困難の連打が、実際はどのようなものだったのかについて、みっちり調べ上げ、考え尽くし、分かりやすく書かれた本が出ました!
それがコチラです。
■『徳川家康と武田勝頼』について
■平山優 著
■幻冬舎新書
■2023年5月
■980円+tax
『どうする家康』で時代考証を担当されている、平山優先生の最新刊『徳川家康と武田勝頼』(幻冬舎新書)です。
「家康をもっとも苦しめた男」とは、武田勝頼だった!
戦国時代について、ぼんやりとした知識しか持っていない私にとっては、まずそれが大きな衝撃でした。
『どうする家康』を見ていても、武田信玄公のローマな佇まいがあまりにも印象深かったり、織田-俺の白うさぎ-信長公の存在感が強烈過ぎて、殿潤さまを「もっとも苦しめたで賞」を迷いなく授与したかったり。
でも、よくよく考えてみると、私、「武田勝頼との戦が9年にも渡っていた」ことに気づいていなかったんです。
信長公が戦い続けた石山合戦は10年続き、それが公の天下統一を遅らせた要因の一つだと言われています。家康公が武田勝頼と対峙した「9年」という年数は、十分それに匹敵します。そう考えれば、勝頼に与えられた「もっとも苦しめた男」認定も納得です。
そして、その間に家康公自身も変化し、家族や家臣などその周囲も変化を余儀なくされた。もちろん、そこには武田氏、武田勝頼の存在が大きく関わっている。
それらの様子も含め、最新研究を基に緻密に活写したのが、今回ご紹介する『徳川家康と武田勝頼』(幻冬舎新書)です。
■何を描く? 何を描かない?
『どうする家康』において、6月の前半に多くの時間を割いて描かれたのが長篠の合戦に至る一連の出来事たちでした。
山県正景の誇り高き壮絶な最期も胸に迫りましたが、さらに強く印象に残ったのは、信康の「これが…戦なのか…」というつぶやきが代弁するように、圧倒的な戦闘力で相手を蹂躙していく、織田軍のとった戦術の残虐さでした。
記事をお読みいただき、ありがとうございます。いただいたサポートはがっつり書籍代です!これからもたくさん読みたいです!よろしくお願いいたします!