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■大河ドラマ『光る君へ』をめぐる旅⑦―びわ湖/におの浜へ行ってきました

えりたです。

1月の終わりに、滋賀県大津市で開催された「大河ドラマ『光る君へ』スタート記念スペシャルトークショー」へ参加しました。当選倍率3.4倍をくぐり抜け、制作統括の内田ゆきさんと、ききょう/清少納言役のファーストサマーウイカさんのトークショーをめいっぱい堪能したのです。

そのときの記事はコチラです。

今回は、そのときに思いがけず「琵琶湖」に辿り着いたお話です。しかも、そこは『光る君へ』主人公まひろが越前へ渡るときに通った(かもしれない)場所だとか。

予備知識なく、張り切って探検発見ぼくの町する私の右往左往を楽しんでいただければ、幸いです。

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さて、トークショーの会場である「ピアザ淡海(滋賀県立県民交流センター)」は、膳所駅から歩いて10分ほどのところにありました。

私は、いつもの如く10分程度なら歩けばOK♬と足軽根性よろしく、うきうきと歩き始めたのです。が、iPhoneで地図を見ていた筈なのに、初っ端から逆の道を行く失態を…えぇ、迷子モードは今日も遺憾なくオン状態なのでした(笑)

それでも、よく晴れた日に、初めてながらも存外まっすぐな道を歩くのはとても快く、かなりご機嫌な道程となりました。(まっすぐな道なのに、迷子になれる特異体質ぇ…)

時間に余裕を持とうと、ちょっと早めに名古屋を出てきたこともあり、膳所駅に着いたのはちょうどランチの始まる時間帯でした。ふと空腹を感じて、途中でお店に寄ったりもして。

そうして、名古屋とは違う景色に気持ちも徐々に高揚し、あちこち写真に収めたりもしながら、楽しく歩き続けました。

そんな風に、意図せず紆余曲折しながらも、ずいずいと歩くうちにどうやら会場に近づいているらしい手応えを得たのです。

と、同時に。

向こう側にぽーんと突き抜けたような空間のあることに気が付いたのです。

私は基本的に、旅行先では行き当たりばったりに動きます。不動の迷子癖を持ち、地図感覚も装備されておらず、右と左さえ間違えがちな、いちばん行き当たりばったりに向かないタイプであるにもかかわらず、頑なに事前に調べるということをしません。

ここまで来ると、何かの信念に突き動かされているように見えます。が、これはただひたすら凡骨で、その作業を行うことを思いつかない故というだけなのです(笑)

なので、ここが領土の半分を湖が占める滋賀県であること、会場の名前にもある「淡海」が琵琶湖を指していることまでは理解していたのに、その会場近くに琵琶湖のあることをまっっっったく‼思いつかなかったのです。

だからこそ。

その「突き抜けたような空間」を見付けたとき、すごく新鮮にどきどきしましたし、「おら、わくわくすっぞ!」を絵に描いたような笑顔で走り出したのです。

そうして、突き抜けた空間に辿り着き、目の前に広がったのは

めっちゃ琵琶湖でした(言い方)

実は、私にとって「琵琶湖」は安土城に繋がる場所です。以前、安土城址へ行ったとき、その天主跡から見えた琵琶湖が私にとっての琵琶湖の全てだったのです。

でも、琵琶湖は昔々からずっとあって。戦国時代という、意外と近い400年どころか、あのでっかいものがずいずいと移動しちゃうくらい、途方もない時間をその身に宿しているのです。

そんな事実に思い当たり。「そっかぁ、接続するのは安土城だけじゃないのかぁ…」と、人に聞かれたら「この人は何を言っているのだろう…?」と思われるような当たり前のことを呟きながら、海のようなその大きく果てしない気持ちにさせる景色を見つめ続けていたのでした。

・ ・ ・

さて、その後無事に参加したトークショーで、琵琶湖のこのあたりが、「紫式部が越前へ向け出発した『におの浜』だ」と教えられました。

父為時の、越前国赴任に付いていくことになった紫式部(大河ドラマ『光る君へ』では、このときはまだ「まひろ」ですね)は、このあたりで舟に乗り、西岸を北上したとか。

それを知って、私は矢も盾もたまらず、トークショーが終わってから、もう一度湖岸へ足を運んだのです。

都から出たことはなく、基本的に自分の家の近くが世界の全てだったまひろ。

そんな彼女が生れて初めて都を出て目にした、ものっそい広大な「未知」しかない世界が、ここ「琵琶湖=におの浜」である、と。

そのときのまひろは、きっと言葉にできないほどのおそろしさも感じたことでしょう。

でも、それ以上に、きらきらとした好奇心もあったのだろうと…あのまっすぐな瞳で、凛とした佇まいで、この琵琶湖=におの浜を見つめただろう姿を私は思い浮かべていました。

実際にそれがどう描かれるかは、本編を見てのお楽しみだろうと思いますが(これを書いている現在、第14話の放送が終了したところです)。

それでも、この大津あたりから向こうに見える山には冠雪があったり。連なり形作られる輪郭がとても美しかったり。

父がようやくつかんだ大きな仕事への期待感も相俟って、きっとその出発は希望に満ちたものであったろうと…わりとすんなりとそんな想像ができて、とてもとても幸せでした。

・ ・ ・

現代は、ネットに画像や動画が溢れるほどあります。ですから、「におの浜」と検索すれば、この景色はすぐに見られます。その手軽さはやはり機器が発達したからこその恩恵ですし、容易には手放せないものです。

でも同時に。

この琵琶湖=におの浜へ来て、私は、だからこそ実際にその地へ行くことのおもしろさや豊かさを忘れてはいけないなと思ったのです。

寄せては返す波の音、その波紋。不意に聞こえる鳥の鳴き声、肌に触れる風の感触。空の広さ。湖の青の深さ。ほかにも、言葉に表すことのできない、全身を包み、全力で迫ってくる諸々のもの/ことたち。

これらは実際にそこにいて初めて得られるもの/ことであって、映像や写真からだけでは絶対に想像の外にはみ出してしまうものなのですよね。

また、そこにただよう時間や空間の積み重ねも、おそらくその場にいるからこそ得られる無言の感覚であって。

やっぱり来てよかったな、と。そういったことを、この場所で感じられて幸せだな、と。そんなことを思いながら、長い時間、その場を離れられずにいたのでした。

・ ・ ・

そんなこんなで、今回は紫式部が越前へ旅立ったはじまりの場所「におの浜」のご紹介でした。

ここは琵琶湖の大きさだけでなく、その歴史の長さも感じられる場所でした。駅から歩くと10分ほどかかりますから、「行こう!」と意識しないと来られないようにも思います。

でも、『光る君へ』のまひろが、1000年前の紫式部が感じたものが、直に我が身に刻まれる稀有な場所でもあります。

これからのお出かけ場所のひとつに、ものっそいおすすめです。


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えりた
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