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今でも思い出してしまう痛恨のミス。



長い人生の中で、きっと誰にでも、とんでもない失敗をしてしまった事があると思う。

私は割とうっかりミスが多いので、小さなことはすぐに忘れてしまうのだが、今でもたまに思い出す、痛恨のミスがいくつかある。

今日の話は、その中の1つ。




あれは大学3年の頃。当時、約2年間付き合っていた彼がいた。

彼は少し年上で大学を卒業していたが、定職には就いていなかった。アルバイトをいくつか渡り歩きながらの実家暮らし。ある職業になるために勉強していた時期もあったが、年齢制限がある職業だったので、もうギリギリだった。

バイトが忙しくて勉強どころではなさそう。でもそもそも、勉強が好きじゃなさそうと感じていた。それに、バイトも好きだからと選んだものではなく、彼が一体どこに向かっているのか、さっぱり分からなかった。

私は自分の進路で悩み始め、将来のことを考えた時、彼との未来に希望を感じなくなっていた。というより、現実を見て、不安。そんな感じだった。

それで、お別れも意識し、「しばらく色々考えたいから、距離を置きたい」というようなことを彼に伝えていた。


問題は、その後だった。

当時、何でも相談していた友人の1人に、事の経緯いきさつをお知らせするメールを打った。

内容は多分こんな感じだったと思う。

色々考えたけど、やっぱり別れた方が良さそう。多分、○○くんはもうダメだ。全然勉強もしてないし、多分また試験にも受からないよ。私も自分の進路を考える時期だからさ、もう不安しかない。

その友人はレスポンスが速い。当時はまだガラケーでEメールだったが、すぐに返事が受信ボックスに来る、…はずだった。

でも、1時間待っても、2時間待っても返事が来ない。

ーーあれ、おかしいな。忙しいのかな?

ふと、送信ボックスを開いて愕然とした。

なんと私、友人に送るはずのメールを、彼に送ってしまっていたのだ。

本人にはオブラートに包んで伝えていた本心を、ありのままの姿で。

ーーぎゃあぁぁ!

焦った。

Eメールの難点は、それが既読になったかどうか分からないことだ。

ーーでもきっと、彼は読んでしまったはず。

もう一度読み返す。

色々考えたけど、やっぱり別れた方が良さそう。多分、○○くんはもうダメだ。全然勉強もしてないし、多分試験にも受からないよ。自分の進路も考える時期だからさ、もう不安しかない

ひ、ひどい。


他人に送ったことが明らかに分かる内容でもないので、ものすごくストレートに想いをぶつけたようにも見える。


ーーどうしよ。


時、すでに遅し。


でも、嘘ではないし、ずっと本心を隠したままも良くないだろうから、と開き直ることにした。

改めてそれまでの経緯を友人に伝えたら、「あちゃ~」と言っていた。

「でも、時が早まっただけで、なるようになるよ」、とも言ってくれた。



それから1週間くらい、怖いほど彼からは連絡がなかった。私も敢えて触れることはしなかった。


やっぱり痛恨の一撃だったのか、しばらく考えたのか、その後呼び出されることとなる。


続きの話は、実はこれ。


1年前に書いた、この記事の彼。(よろしければご覧ください。)

また思い出してしまった。

昨日、用事があって車で移動している時に、秋を感じたからかもしれない。黄色や赤に色付いた木々や、落ち葉をたくさん見た。秋は記憶を蘇らせる季節なのだ。

その友人も一部始終をいまだに覚えていて、時々一緒に思い出しては、「あれ(誤送信メールの内容)はひどかったよね(苦笑)。それに色々(ガラケーのこととか)衝撃だったよね。」と話す。2人とも、そんなタイプの人には、その後の人生でまだ出会っていない。


もう十分時効だと思うが、完全な笑い話にもできなくて、それこそ、苦笑い話といったところ。

だけど、忘れられないのは、当時の若かった私が、後にも先にもないくらい盲目になった人だったからだと思う。そして、わざとじゃなかったとは言え、あまりにもずさんな方法(ミス)で、相手を傷付けてしまったからだ。

それに、今なら、彼も彼なりに悩み、もがいていたんじゃないかと思える(仕事のこととか)。年下の私にあまり見せなかっただけで、色々考えていたんじゃないかな。

幼くて自分のことばかりだった私も、大人になり、子育てをして少しは経験値が上がり、見る世界が広がったんだなあと思う。

苦い経験も辛い過去も、全て含めて今がある。

だから、痛恨のミスでも、こうやって思い出すことに意味があるのかもしれない。

そして、この経験から得た最大の教訓は、「メールの送信先にはくれぐれも注意」ということだ。それは常々肝に銘じている。


最後までお付き合いいただきありがとうございました。

みなさんにはありますか?痛恨のミス。
できれば傷付くのは自分だけにしたいところ。

そんなことを考えた秋の夜でした。

それではまた。

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