見出し画像

アートの正解とは

今回は画家・クスノキタクヤの個展を通して
アートの見方や得られるものについて
個人的な解釈を含め解説していきたい。


個人の感性を大切に

アートに「絶対の正解」は存在しない。
美術業界的に評価されているものや、
著名な作家が認めた作品があったとしよう。
芸術の専門知識がない者からすれば、
あたかもそれが「正解」のように
感じるだろうが、実際の「正解」は
受け手の感性の中にのみ存在する。

絵画鑑賞の第一歩

まずは目の前にある作品が
好きか嫌いか、理屈よりも直感的に
どう感じるのかを大切にして欲しい。
そして、その直感について掘り下げることが
新しいものの見方を発見できたり、他者の
思考を受け入れられる機会になったり、
人生の豊かさに繋がっていく。

クスノキタクヤ個展「ニュートラルな実態へ。」より

クスノキタクヤの作品は実体のあるものと
二次元的創作を融合させた作風で、
鋭い色面や線のせめぎ合いにより生まれる
判然としない空間が描かれている。

例えば下図の作品は、少女が
鮮やかな色彩で描かれている。
実際には草むらで黄色いワンピースを着て
こちらを見ている様子だが、
現実には横断歩道を彷彿とさせるような
ボーダーの背景は存在していない。
空間の抜ける部分が加わることで、
奥行きや現実と幻想の狭間のような
曖昧さがうまれ、画面が成立している。

クスノキタクヤ「お気に入りのワンピースを着て#1」

直感の理由について考える

好き、嫌い、癒される、不気味、落ち着く
怖い、疲れる、面白い、不思議、など、
作品を見た第一印象に対し、
なぜそう感じたのかを考えてみて欲しい。
モチーフ、色、素材、サイズ、作風などから
自分がどういったものに惹かれ、
どういったものを拒絶するのかが見えてくる。

アートは何のために?

アートの世界に触れることは
物事の抽象度を高めることによって、
世界をより幅広く多角的に捉える
能力を育むことに繋がる。

クスノキタクヤ個展「ニュートラルな実態へ。」より

特に抽象表現については難しい、
わからない、と感じる人が大多数だろう。
しかし、説明的すぎる内容は意味を限定し、
想像の幅を制限してしまうことになる。
美術館やギャラリーで作品を鑑賞するときは、
是非「考える」ことに取り組んでほしい。

また、一緒に訪れた人と意見交換をしたり、
ギャラリーの場合は作家本人やオーナー、
キュレーターと会話をしてみると、
自身の中には存在しなかった捉え方や
新しい見方を発見でき、視野を拡げる
機会になるだろう。


クスノキタクヤ

クスノキタクヤ個展「ニュートラルな実態へ。」より

1987年福岡県生まれ、岐阜県在住。
家族をテーマに、身体性のある
シンプルな薄塗りと鋭い色面や線の
せめぎ合いによって生まれる空間を描く。
2023年には2度の個展を開催し、
精力的に活動している。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?